フランクフルト名物 ゲーテも愛した春の味覚グリューネゾーセ

グリューネゾーセ

4月になり、マルクトにはシュパーゲル(白アスパラ)もぼつぼつと出始めているドイツ。

シュパーゲルと時期を同じくして、フランクフルトでは「グリューネゾーセ(Grüne Soße)」というローカルフードが旬を迎えます。

グリューネゾーセは7種類のハーブを刻み、ヨーグルトやサワークリームと混ぜた緑色のソース。フランクフルト出身の文豪ゲーテも、このソースが大好きだったのだとか。

これから夏に向けてフランクフルトへ旅行する方も増えると思うので、今回は地元でグリューネゾーセが食べられるレストランや簡単な作り方も紹介します。

フランクフルト名物 グリューネゾーセ

フランクフルトの人々が愛してやまないグリューネゾーセ。今から2000年以上前のオリエントにルーツがあると言われていますが、誕生やフランクフルトに伝わった経緯についてはいまだ謎が多いです。

冒頭で春に旬を迎えると紹介しましたが、もっと厳密に言うと復活祭直前の木曜日に初物を食べるという習わしがあるのだとか。

グリューネゾーセの旬は春から秋までと比較的長いのが特徴。4月くらいになるとレストランのメニューにグリューネゾーセが登場し(年間を通じて提供しているレストランもあります)、フランクフルターたちはそれを心待ちにしているのです。

ゆで卵と茹でたじゃがいもを添えて食べるのが定番であるほか、ターフェルシュピッツという茹でた牛肉やシュパーゲルと一緒に食べるのも人気。ハーブの爽やかさが前面に押し出され、とても春らしい味わいです。

また毎年5月には、フランクフルトの中心「ロスマルクト」でグリューネゾーセ祭りを開催。フランクフルトや周辺地域から約50のレストランが出店し、自慢のソースの味を競います。2019年の開催は5月11日~18日までなので、この時期フランクフルトに滞在予定の方はぜひ足を運んでみてください。

使用されるハーブと作り方

グリューネゾーセに使用されるハーブは7種類と、まるでドイツ版の七草。ハーブは左からボリジ、サラダバーネット、パセリ、ガーデンクレス、チャービル、チャイブ、ソレルの順で並んでいます。

フランクフルトや近郊のスーパーやマルクトでは、こんな風に7種類のハーブをまとめてパックにしたものも並びます。これで大体200gほどです。

作り方は、ハーブとヨーグルト、マスタード、塩をミキサーにかけるだけ。分量はレシピによって様々ですが、ハーブに対して3倍量のヨーグルトを使用している物が多いです。マスタードはハーブが200gだったらティースプーン半分くらいでいいと思います。

ヨーグルトの半量をサワークリームにしてもいいですし、オイルやレモン汁を加えるレシピもあるので、そこは好みで調節しましょう。ミキサーにかける際は、葉っぱが少し残るくらいのほうがが美味しいです。かけすぎるとソースが水っぽくなってしまうので注意。

ソースは1時間ほど冷蔵庫で冷やして完成です。

フランクフルトでグリューネゾーセが食べられるレストラン

いくらフランクフルト名物といえど、グリューネゾーセはどこへ行っても食べられるという訳ではありません。

食べられる場所は、同じくフランクフルト名物のりんご酒を出している「ワイン酒場」がほとんど。このようなドイツ版居酒屋風のレストランは、町の中心からマイン川を挟んで対岸に広がるザクセンハウゼン地区に集まっています。グリューネゾーセが食べたければぜひこのエリアへ足を運んでみましょう。

ここではザクセンハウゼンと町の中心部で、グリューネゾーセが食べられるレストランをピックアップして紹介します。

Zum Eichkatzerl(ツム・アイヒカッツェル)

ザクセンハウゼン地区において、最古のりんご酒酒場のひとつに数えられるお店。フランクフルトの風景などが描かれたアットホームな店内のほか、夏はテラス席も開放されます。

グリューネゾーセはゆで卵とじゃがいもが添えられている一品があるほか、ソーセージ、リップヒェン(ゆでた豚のあばら肉)、ハンドケーゼ、グリューネゾーセなどフランクフルトの名物が少しずつ味わえる「ザクセンホイザー・タパス(Sachsenhäuser Tapas)」もおすすめ。

ソーセージやシュニッツェルなど典型的なドイツ料理がそろっているほか、小さいポーションのメニューも多いので小食の方でも安心です。

Zum Eichkatzerl

住所: Dreieichstraße 29, 60594 Frankfurt
営業時間: 17:00~24:00(月~金)、16:00~24:00(土日祝)
電話番号: 069 617480
アクセス: トラム14、18番「Frankensteiner Platz」から徒歩2分

 

Apfelwein Dax(アプフェルワイン・ダックス)

さきほど紹介したツム・アイヒカッツェルから50mほどの場所にあるお店。店名にもなっているDax(アナグマ)が夜行性であるのとは対照的に、昼の12時から24時まで通しで営業しています。

りんご酒のおつまみに合う軽食のほか、シュニッツェルや豚ロースのステーキ、ランプステーキなど肉料理の種類がかなり沢山あります。フライパンの上に牛、仔牛、豚肉のステーキとソーセージが豪快に乗った「グリルプファネ・ア・ラ・ダックス(Grillpfanne „à la DAX“)」は、がっつりお肉を食べたい方におすすめ。

Apfelwein Dax HP

住所:
電話番号: 069 616437
アクセス: トラム14、15、16、18番の「Lokalbahnhof」から徒歩3分

 

Adolf Wagner(アドルフ・ワーグナー)

フランクフルトでりんご酒といえばここ!というくらいの超有名店。夜行くといつも混んでいるので、絶対に入りたければ予約をした方が安心です。

店内はかなりガヤガヤしていますが、それがまた下町の居酒屋らしくもあります。

ここのグリューネゾーセは、茹でたじゃがいもではなくジャーマンポテトが添えられているのが特徴。他にもグリューネゾーセをシュニッツェルに添えた「フランクフルター・シュニッツェル(Frankfurter Schnitzel)」やターフェルシュピッツ(茹でた牛肉)に添えたバージョンもあります。

Adolf Wagner HP

住所:
営業時間: 11:00~24:00
電話番号: 069  612565
アクセス: U-Bahn(U1、U2、U3、U8)停留所「Schweizer Platz」から徒歩3分

 

Apfelwein Klaus(アプフェルワイン・クラウス)

ショッピングストリート「Zeil」の近くにあり、川の向こうのザクセンハウゼンまで行く元気がない方におすすめのお店。お店は地下にあり、大きなホール内に木製のテーブルとイスがずらりと並ぶ様子は圧巻です。

ただ建物の構造からか音がかなり反響するので、夜混んでいる時は隣の人の会話が聞き取りにくいほどうるさかったりします。居酒屋でワイワイ盛り上がりたい方にはぴったりですが、もう少し落ち着いて食事を楽しみたければ次に紹介する「ヴィヌム」に行ってみてください。

グリューネゾーセはゆで卵と茹でたじゃがいもを添えたスタンダードなものから、アドルフ・ワーグナーと同じようなシュニッツェル、ターフェルシュピッツと合わせたものがあります。

Apfelwein Klaus HP

住所:

 

Vinum(ヴィヌム)

最後に紹介するのは、いわゆるりんご酒酒場ではなくワインレストラン。かつてワイン樽を保管していた地下倉庫だった場所がレストランになっていて、重厚な雰囲気がとても素敵です。

ライン川周辺で生産されたワインを中心に種類がかなり豊富なので、ワイン好きの方にもおすすめ。りんご酒は残念ながら置いていません。グリューネゾーセはスタンダードなものと、シュニッツェルに添えたメニューがあります。

メニューにはケーゼシュペッツェレやマウルタッシェン、ザウアーブラーテンをはじめとする典型的なドイツ料理が並び、どれを食べても外れがありません。

私が特に好きなのは山羊のチーズにはちみつをオリーブオイル、タイムをかけてオーブンで焼いた「ヴァルマー・ツィーゲンケーゼ(Warmer Ziegenkäse)」。ちょっと癖のあるチーズの香りとはちみつの組み合わせが絶妙なんです。

またヴィヌムでは毎月第一金曜日に、日独協会主催の集まり(シュタムティッシュ)が開催されます。事前登録不要で参加費もかからない(食事代は自分で払います)ので、日本人や日本に関心のある現地人と話してみたい方は参加してみてください。

[jin_icon_info color=”#678fcc” size=”18px”]シュタムティッシュの詳細(日独協会ウェブサイト)

Vinum HP

住所: Kleine Hochstraße 9, 60313 Frankfurt am Main
営業時間: 16:00~25:00(月~金)、17:00~25:00(9月~6月までの土曜日)
電話番号: 069 293037
アクセス:

 

おわりに

フランクフルトに春を告げてくれる旬の味覚、グリューネゾーセ。使用するハーブは日本でも手に入りますし作り方も簡単なので、興味のある方はこの機会に作ってみてはいかがでしょうか。

またこれからの時期にフランクフルトを訪問予定の方は、同じくフランクフルト名物のりんご酒と一緒に地元名物を味わってみましょう。紹介したお店はほんの一部で、特にザクセンハウゼンにはグリューネゾーセが食べられる居酒屋風のレストランが沢山あります。