ドイツで妊娠・出産において、欠かす事のできない存在が「ヘバメ(Hebamme)」。
日本語でいう「助産師」にあたり、妊娠中のアドバイスや両親学級の開催、産褥期の自宅訪問、赤ちゃんのケアや産褥体操指導などを行います。
中でも重要なのが、産褥期の家庭訪問。赤ちゃんの成長具合や母体の回復をチェックしてくれるほか、分からない事や困った事があれば的確なアドバイスをしてくれる頼もしい存在です。
そんなヘバメについて、探し方や選ぶ際のポイント、主に自宅訪問時のケア内容を紹介します。
Contents
ドイツでの出産で重要な役割を果たすヘバメ
冒頭でも触れたように、ドイツでの妊娠・出産において重要な役割を果たすヘバメ。
妊娠中から産後のケアまで幅広いサポートを行う頼もしい存在で、ドイツでの出産はヘバメ無しでは語れません。
男性のヘバメもいるらしいですが、ほとんどは女性。完全にフリーランスでヘバメをしている人もいれば、病院付きのヘバメ、病院勤めをしながらフリーランスをしているヘバメなど様々です。
そんなヘバメによるサポート内容は、具体的には以下の通り。
- 妊娠中のアドバイス
- 両親学級の開催
- 産褥期の家庭訪問
- 赤ちゃんのケア
- 母体の回復度チェック
- 授乳指導
- 産褥体操の指導
ヘバメのサポートで最も重要なのが産褥期の家庭訪問。出産後10日間は毎日、その後は12週間になるまで16回の自宅訪問があります。
料金は保険でカバーされているので無料(公的保険の場合)。
両親学級や産褥体操については、ヘバメのほか産院で行っている所もあります。妊婦さんのみ保険が効いて無料ですが、保険会社によってはパートナーの参加費もカバーされます。
後述する「ヘバメ選びの際に確認したいこと」でも触れますが、ヘバメが持っている資格などによってサポート内容が変わってきます。自宅訪問や赤ちゃんのケア、母体の回復度チェックはどのヘバメでも対応していますが、例えば自宅訪問の際に産褥体操を指導してほしい場合などは選ぶ際に要確認です。
ヘバメが決まるまでの流れ
とにかく早めに探すのが吉
ベルリン、フランクフルト、ミュンヘンといった大都市ではヘバメが不足しているので、妊娠したらとにかく早めに探すのが吉です。
住んでいる地域やタイミングにもよりますが、12週頃では既に手遅れの場合も。あまり遅いとヘバメが見つからず、産後のサポートを受けられなくなってしまいます。
私の友人では10週になってからヘバメを探したものの、なかなか見つからずに結局産まれる直前になってやっと決まったという人もいます。
ヘバメの探し方
探し方としては以下の方法があります。
- ヘバメ探しのサイト「Hebammensuche.de」
- 婦人科や産院でヘバメリストをもらう
- 市の窓口で相談
- 最近出産した知人・友人に聞いてみる
「Hebammensuche.de」は郵便番号を入力し、その地域に対応しているヘバメを探すサイトです。対応しているサービスや連絡先、ウェブサイトなどが載っているので、良さそうな人がいたらメールないし電話で連絡をとります。
私の場合は婦人科でヘバメのリストをくれたので、こちらを利用。
ということで6週目くらいから探し(正確にはいつのまにか夫が電話していたのです)、幸運にも2人目で決まりました。
ヘバメとの面談
ヘバメから連絡が返ってきたら、サポートの契約をする前にいちど面談をするのが一般的です。
私の場合は自宅で面談をしましたが、カフェなどで行うケースも多いみたいです。
面談で確認した内容は以下の通り:
- 契約書、加入保険の確認
- 妊娠週や出産予定日、経過の確認
- どこの婦人科に通っているか
- ケア内容および期間、頻度
- 産院はもう決まっているか
初めて会うヘバメはどんな人かとやや緊張しましたが、人柄が良さそうでケア内容も問題なかったので、その場でサポートをお願いして契約書にサインをしました。
面談したら必ず契約しないといけないという訳ではなく、「この人とは合わなさそう」と思ったらもちろん断る事も可能。話しにくい雰囲気だったり、信頼関係が築けなさそうと感じたら別のヘバメを探した方がいいでしょう。
在独邦人のブログなどを呼んでいると、会ったあとで逆に向こうから断られる場合もあるのだとか。
長期にわたり自宅訪問をする人なので、相性はかなり重要だと思います。
ヘバメ選びの際に確認しておきたいこと
上の項目とややダブりますが、相性のほかにヘバメ選びで確認しておきたい事は以下の通り。
- 対応言語
- 出産立ち合いが可能か
- 訪問時間はいつごろになりそうか
- 訪問時以外でも電話などに対応してくれるか
- 家庭訪問の期間と頻度
- 家庭訪問時のケア内容
ドイツ語でのやり取りが心配な人は英語のできるヘバメという選択肢もあります。とはいえ住んでいる地域によっては、なかなか見つからない可能性も大です。
出産時に対応するのは通常なら病院付きのヘバメですが、フリーランスのヘバメでも人によっては出産時の立会いが可能。出産からその後のケアまでずっと同じヘバメが良いという人は、出産立ち合いに対応しているか要確認です。
特にはじめて赤ちゃんを迎えるカップルにとっては、毎日分からない事だらけ。なので訪問時間外でも快く電話対応してくれるヘバメのほうが、安心感が大きいのでおすすめです。
実際にお願いしたヘバメ サポートのようす
ここからは私達がサポートをお願いしたヘバメとの、実際のやり取りの様子を紹介します。
妊娠中の経過報告
「妊婦検診の時は経過を報告してね」と契約時に言われたので、毎回の検診後に電話で経過報告をしました。
ヘバメからはつわりの状況やお腹の張り具合などを聞かれ、状況に応じた過ごし方のアドバイスも。
いちど日曜で婦人科が休診の時に出血があり、どうすればいいか分からずヘバメにヘルプの電話をした事もあります。その時は指示通りに産院へ行って検査をし、大事をとって1晩入院しました。
何かあればいつでも電話してと言ってくれていたので、初めての妊娠で不安ばかりだった私にとってはとても心強かったです。
自宅でのケア内容
自宅でのケア内容は、主に「赤ちゃんのケア」と「母の回復度チェック」、「授乳指導」がありました。
赤ちゃんのケアでやった事は、体重を計って成長度合いを見たり、へその緒の取れ具合のチェック、母乳やミルク飲む量の確認。体重計はヘバメが持って来てくれて、そこに赤ちゃんを素っ裸にして乗せて体重を計っていました。
沐浴のやり方もよく分からなかったので、1回目はヘバメに教えてもらいながら実践しました。
母親の体の回復度チェックでは、お腹を押して子宮の戻り具合を見たり、悪露の状態を確認。食欲や便通の状態も毎回聞かれました。
そして授乳指導では、初日に搾乳機で母乳量をチェック(退院までに搾乳機を借りておくよう事前に指示がありました)。ほとんど母乳が出ていなかったので、出が良くなるように搾乳の頻度や姿勢を指導されました。
とはいえ、母乳の量はあまり増えず。便利グッズを持って来てくれたり教えてくれたサプリを試したりしたものの、残念ながら劇的に変化する事はありませんでした。
他にやった事は、メモしておいた質問事項を聞いたり、世間話をしたり。気さくで話しやすい人で、息子の事もとても可愛がってくれました。
訪問時以外でも電話でSOSに対応
担当のヘバメは、自宅訪問時以外でも何かあった時には電話で対応してくれました。
「日曜や夜遅い時間でも電話してね」と言ってくれ、何度ヘルプの電話をしたことか。いつもと様子が違う時や困ったときにすぐ指示を仰ぐことができたので、新米両親の私達にとってはとても心強かったです。
出産の頼もしい存在「ヘバメ」:まとめ
ドイツでの出産で重要な役割を担う「ヘバメ」。
産後、自宅でのケアでは赤ちゃんの様子やお母さんの回復具合をしっかりチェックしてくれるほか、何かあった時にも的確な指示を出してくれる頼もしい存在です。
そんなヘバメを探すときは、とにかく早めの行動がカギ。遅くとも10~12週頃には探し始めた方が良いでしょう。
また契約前の面談ではサポート内容ほか相性もしっかりチェックしたいところ。産後の不安定な時期に自宅でケアをお願いする人なので、信頼関係が結べるかはかなり重要だと思います。