ドイツの学生ビザは日本では取得ができないため、ドイツに着いてから現地で申請を行います。
ビザなしで滞在ができる90日の間に手続きを済ませる必要があり、時間との勝負。ここでもたもたしているとあっという間に時が過ぎ、期限が迫るなか不安な日々を送るはめになってしまいます。
そこで今回はドイツでスムーズに学生ビザを申請するための準備と、必要書類について解説します。日本で準備が必要なものもあるので、渡独前にしっかり確認しましょう。
学生ビザ申請までの準備
まずは学生ビザを申請する前に必要な手続きについて。ここで解説する手続きが完了したら、外国人局でビザ申請の予約をします。
住民登録
ドイツでは引っ越したら原則として2週間以内(町によっては1週間)に住民登録をしなければなりません。
住民登録を行う場所は、住んでいる地域を管轄する住民局(Bürgerbüro)。予約が必要な場合もあるので、引っ越し先が決まったらウェブサイトでなるべく早めに確認/予約を。
住民登録に必ず必要なのは、パスポートと住んでいる家の賃貸契約書。
申請書は自分で記入する場合もあれば、担当の人が直接パソコンに入力して自分はサインだけする所もあります。私はこれまで4つの町で住民登録をしましたが、自分で申請書を記入したことは1度もありません。
申請書記入の有無やほかに必要な書類などは町によって異なるので、これも事前に確認する必要があります。
閉鎖口座開設
無事に住民登録が終わったら、次は閉鎖口座を開設します。
奨学金をもらっている場合は、その証明書があれば閉鎖口座は開設しなくていい場合があります。証明書は英語で発行してもらいましょう。
閉鎖口座は、1ヶ月のうちに引き出せる金額の上限が720€に決まっている口座のこと。ドイツ語で「Sperrkonto」、英語だと「blocked account」と呼ばれています。
ビザの申請では「720€×滞在する月数」分以上の金額が口座にあることを示す残高証明書を提出します。1年滞在する予定なら、申請時に8640€(105万円)が口座にないといけない計算です。
以前は日本の大使館・領事館が発行してくれる「経費負担誓約書」を提出すればよかったのですが、2018年からルールが変更されました。
学生ビザの申請・延長をする場合は、この閉鎖口座の残高証明書を提出する必要があります。
閉鎖口座は現地の銀行かネットバンクで開設します。
現地の銀行なら「ドイツ銀行(Deutsche Bank)」、「コメルツ銀行(Commerzbank)」、「シュパールカッセ(Sparkasse)」などへいき、窓口で口座開設を申し込みます。
ネットバンクでは「フィンティバ(Fintiba)」または「エクスパトリオ(X-patrio)」で開設できます。ネットバンクは怪しいんじゃないかと不安な方もいるかもしれませんが、この2社の口座はビザ申請用としてドイツの外務省にも正式に認められているので安心です。
閉鎖口座を開設したら、必要な金額を入金して残高証明書を発行します。
保険に加入
ビザ申請で有効な保険に加入していなければ、住民登録、口座開設と並行して保険にも加入します。
この「ビザ申請で有効な保険」というのは、歯の治療と妊娠(女性の場合)をカバーしているドイツの保険のこと。日本の保険やクレジットカード付帯の保険は使えないので注意が必要です。
正規留学や交換留学で滞在する場合は、基本的にAOK、DAKなどの法定健康保険に加入します。大学では保険に入っていないとそもそも学籍登録ができないので、保険の加入も早めに行いましょう。
一方で語学学校に通う場合は法定健康保険に入ることができないので、プライベート保険に加入することになります。よく利用されているプライベート保険としては、「ステップイン(STEPIN)」や「ケア・コンセプト(Care Concept)」が有名です。これらは日本でも加入できます。
外国人局でビザ申請 必要な書類
住民登録、閉鎖口座開設、保険の加入が済んだら、いよいよ学生ビザの申請です。
ベルリンなど大都市の外国人局は予約制のところがほとんどで、ウェブサイトから予約を行います。時期によっては3ヵ月待ちなんて事もあるそうなので、準備が整ったら予約はすぐ行いましょう。
申請に必要な書類などは以下の通りです。
- 申請用紙
- パスポート
- 住民登録の証明書
- 閉鎖口座の残高証明書 または奨学金の証明書
- 大学または語学学校の在学証明書
- 健康保険の加入証明書
- 証明写真
- 手数料(1年分のビザで60€~100€ほど)
町によっては他にも追加書類があるかもしれないので、できれば予約時に確認してください。または同じ町ですでにビザ申請をした友人などに聞いてみると良いですよ。
申請用紙は住民登録をする住民局でもらうか、外国人局のウェブサイトからダウンロードできます。ドイツ大使館のサイトからでも手に入ります。大使館のサイトには日本語訳もあるので、不安な方は参考にしてみてください。
証明写真は縦45mm、横35mmのバイオメトリックス認証写真が必要です。全体に対する顔の割合など色々決まりがあってややこしいですが、ドイツの写真屋さんで「ビザ申請用の写真を撮ってください」といえば適切な写真を撮ってくれます。
必要書類がそろったら外国人局へ。書類の不備がなければ指紋を採取し、申請は終了です。
ビザの受け取りは4~5週間後になります。PINナンバーの記載された手紙が家に届けばビザのカードができたという事なので、外国人局へ受け取りに行きましょう。受け取り方法について(予約が必要かなど)は申請時に聞いておくと安心です。
ビザ申請の注意
ビザ申請に必要な書類は町によって異なる場合があります。この投稿や町の外国人局、大使館のウェブサイトを参考にしつつ、できれば既にビザ申請した周囲の人にも確認すると安心です。
また担当者によって英語で喋ってくれる人もいれば、ドイツ語しか喋ってくれない人もいます。私の担当ではなかったのですが、以前住んでいた町にはドイツ語が喋れなければ相手にさえしてくれない人もいました。友人は「ドイツ語分からないの!?ドイツ人連れてきなさい!!」と怒鳴られたそうです。
こういう事もあるので、言葉に不安があるようならドイツ語が話せる人に同行してもらうと安心。ドイツ語が分かる人がいれば心強いですし、重要事項の聞きこぼしなども防げます。
大学によっては学生が留学生の手続きなどを手伝ってくれる「バディプログラム」もあるので、これらを利用するのも良いとおもいます。
おわりに
ドイツの学生ビザは現地での用意が多く、来たばかりでこれらをこなすのはかなり大変。それだけに無事にビザ申請がおわりカードが手元に届いた時は、大きな山をひとつ越えたという達成感も大きいです。
これからビザ申請される学生の方は不安でいっぱいだと思いますが、これはドイツ留学で誰もが通る道。早めの行動を心がけ、1人で全てこなせるか心配な場合はドイツ人に助けを求めることも大切です。