皆さんはドイツの大学に対してどんなイメージがありますか?
私はドイツに来るまでは「ドイツの大学は学費がない」くらいしか知りませんでした。しかし実際に通ってみると、日本の大学は異なるドイツならではの特徴がたくさん。
中には、渡独前に知っていれば、大学生活やその後もまた違ったのだろうなと思う事項もいくつかあります。
そこで今回はドイツの大学の特徴を6つ紹介。ドイツ留学に興味がある方の参考になれば嬉しいです。
入試がない
ドイツでは音大や美大といった芸術系大学や一部の学科を除き、入学試験がありません。
では誰でも入れるのかというとそうではなく、「アビトゥーア」と呼ばれるギムナジウムの卒業試験に合格することで大学の入学資格が得られるというシステムです。
学部によって入学者の定員を設けている所もあれば、学部が定める条件を満たしていれば全員が入学できるところも。人数制限のある学部ではアビトゥーアの成績によって入学の可否が決められます。
人気の学部では、席が空くのを何年も待っているなんて学生もいるんですよ。
学費が無料または格安
「ドイツの大学は授業料が無料」というのは知っている方も多いでしょう。確かに授業料は無料ですが、これは「1銭も払わずに大学で学べる」という意味ではありません。
国公立大学の場合、授業料自体は無料でも電車・バスなどの定期代や管理費、学生課へ納めるお金など、諸々の費用を支払う必要があります。
私が通っていたフランクフルト大学を例にとると、2019年の夏学期(4月~9月)に学生が支払う金額は367€(約4万5000円)。
半年で4万5000円なので日本の学費と比べるとかなり安いですが、ドイツの大学では高いほう。大学にもよりますが、だいたい100~200€前後のところが多いです。
一方バーデン・ヴュルテンベルク州では、2017年の冬学期よりEU圏外からの学生に対して授業料を導入しています。授業料は半年で一律1500€(約20万)となり、留学生にとってはちょっとした痛手です。
英語開講の授業も多い
規模の大きな大学になると、英語で授業を開講している所も多いです。
ドイツ語に触れた事のない場合、留学先としてアメリカやイギリスが候補になってくると思いますが、学部を選べばドイツも英語のみで留学できるのです。授業料もこれら2国より安く済むので、検討しない手はないですよ。
どの大学で英語開講コースがあるかはDAADのウェブサイトから調べられます。気になる方はぜひリサーチしてみてください。
2度同じ単位を落としたら退学
入るのは簡単ですが、出るのが難しいのがドイツの大学。同じ単位を2度落とすと、現在在籍している学部ではもう勉強できません。なので定期試験前になると、学生は図書館などで猛勉強します。
もし2回単位を落としてしまった場合、「学部を変える」または「退学して別の大学に行く」、「大学はあきらめて仕事を探す」といった道が残されています。
学部によっては、1年後に学生の数が3分の1になっていた、なんてこともザラです。
2度単位を落としてしまった学生もそうですが、在学中に学部変更をする人も多いです。入学試験のないドイツの大学ですから、学部が人数制限を設けていないかぎり、学生は自由に学部を変えられるというわけ。
実際私の友人にも、「授業が思っていたものと違った」、「進路を考え直した」という理由で学部を変えた子がいました。
学んでいる専攻が進路に直結
卒業後は現地で就職したい人にとってかなり重要なのが、ドイツでは大学での専攻が進路に直結するということ。なので金融業界で働きたければ金融系、IT分野で働きたければ情報関係など、専攻も行きたい進路にならって決める必要があります。
そして在学期間中にアルバイトなりインターンをし、その分野における職業経験を積むことが重要。
ドイツでは新入社員が1から研修をするなんて事はなく、募集の時点でその分野における職業経験が求められます。
日本では文学部出身でも銀行やSEに就職できますが、ドイツでは職業経験がないかぎり専攻と関係ない業界で職を得るのはかなり難しいです。
これは私が後悔していることでもあり、なんとなくドイツ学を選んでしまった私は就職をどうしようか本当に悩みました。様々な経緯を経ていまでは翻訳やライターをしていますが、専攻をもっとしっかり考えていればまた別の職業人生だったはず。
最短(3年)で卒業する人はほぼいない
ドイツの大学は学部生(Bechelor)だと3年、修士(Master)は2年で終了するように授業が構成されていますが、この期間で卒業する学生はかなり少数です。
在学中にインターンシップをしたり、働きながら大学に通ったりするのが卒業の遅れる理由。ほかにも1年休学して留学やワーホリに行くという学生も結構います。もちろん、単位を落としたから卒業がのびたなんて人も。
一応卒業までの期間は決まっていますが、伸びても誰も全く気にしないので「早く卒業しなきゃ!」というプレッシャーはかなり少ないです。
おわりに
ドイツの大学に関しては「授業料が無料」ばかりが取り上げられていますが、ほかにも色々な特徴があります。授業料無料は確かに魅力的ですが、入学したら卒業までが大変だということは、ここまで読んでくださった皆さんもよく分かったと思います。
厳しい面もありますが、学部変更や卒業期間に対しては柔軟なドイツの大学。学費も日本のように高額ではないので、学生にとって自分の興味ある分野をとことん追求できる環境が整っているともいえます。
私も実際に在学中の学科変更をしたり卒業が伸びたりしましたが、この柔軟な制度があったからこそ途中で挫折せずに学業を続けることができたのは確か。
良い点もあればイマイチな点もあるのは日本もドイツも一緒なので、ドイツ留学に興味のある方はしっかりリサーチして自分に合っているか確かめてみてください。
[…] ドイツの大学の特徴については「【ドイツ留学】日本とどう違う?ドイツの大学 6つの特徴」で紹介したので、今回は大学での授業形式について解説します。 […]
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