2月から4月にかけて留学やワーホリでドイツへ来る人が多いですが、そんな彼らがぶち当たる壁が「部屋探し」。
交換留学で来る学生にはあらかじめ寮が用意されていますが、協定校ではない大学へ留学する人やワーホリでドイツに来る人は自分で部屋を探さなくてはいけません。
来たばかりで慣れないうちに家を探すのはかなり大変。言葉の壁もあるし、なにより「このまま住む場所が見つからなかったらどうしよう」という焦りがかなり大きいです(実体験)。
という訳で、今回はこれからドイツで部屋探しをするだろう皆さんが「部屋探しってこんな感じなのか」と今のうちからイメージ&準備&注意ができるよう、部屋探しの方法や実際にあったトラブルを紹介します。
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どこに住む?
一言に「部屋」といってもその形態は様々。学生寮に入らない(入れない)場合、1人部屋を借りるかWGというシェアハウスに住む、またはホームステイをすることになります。
ちなみに私はドイツで1人部屋、WG、オーストラリアとニュージーランドでホームステイの経験があります。
ここでは学生寮も含めて、それぞれの特徴やメリット、デメリットを実体験を含めながら見ていきましょう。
学生寮
大学の学生課が用意してくれる寮。1人部屋タイプの物もあればWGタイプもあります。1人部屋タイプの部屋は部屋の中にキッチン、バス、トイレなど全て揃っていて、アパートと大して変わりません。WGタイプの場合はキッチン、バス、トイレが共有になっていますが、どこまでが共有スペースになるかは寮によって異なります。
人気の寮はすぐ一杯になってしまうほか、町によっては寮の数が足りなくて入居まで1年待ちなんてことも。寮が一杯の場合は、入居できるまでの期間住む場所を自分で探す必要があります。
私は学生寮には住んだことがないので、紹介するのは実際に住んでいる友人何人かに訊いたメリットとデメリットです。
学生寮のメリット
学生寮はドイツ人学生のほか各国から留学している学生が集まるので、国際色豊かでとても賑やか。キッチンが共有の場合は、そこで顔を合わせる学生と(運が良ければ)仲良くなれるほか、週末は寮でパーティーという事が多く、学生ライフを満喫できます。
最低限必要な勉強机やベッドが部屋に備え付けてあるので、これらを買う手間が省けるのも学生寮のメリット。
学生寮のデメリット
メリットの部分でパーティーが多いと書きましたが、部屋の場所によっては一晩中その騒音に苦しむ事になります。これがたまになら耐えられそうですが、毎週末になるとさすがにキツいです。
そして学生寮は当たり外れが大きいのも事実。大学のすぐ近くだけどかなりボロい寮があったり、かなり綺麗だけど大学から離れていたり、などなど。交換留学であれば同じ学校の学生が行っているはずなので、彼らから事前に寮の情報を詳しく聞いておけば、いざ寮に着いたときに「あれ?」となるのを防げるはずです。
また特に大都市の場合、学生寮はそこまで安くもなかったりします。同じくらいの金額を出して知らない誰かと一緒に住むより、友達同士で一緒にアパートを借りたいという学生も多いです。
1人部屋
1人でアパートを借りること。皆さんが想像する通りの一人暮らしです。
1人部屋のメリット
他人に気を遣わず、1人で自由に部屋を使えるというのが最大のメリット。シャワーやトイレが使用中だったりすることもないし、友人や彼氏も好きな時に呼べます。
ドイツ人と同居すると「部屋に臭いがつく」と香りが強い物を調理する事を快く思わない人も結構いるので、そういう事も気にせず何でも料理できます。
1人部屋のデメリット
住み始める時の準備が一番大変なのが1人部屋。家具付きでない場合は家具を一通り買い揃える必要があるほか、電気やインターネットの契約もすべて行わなければなりません。
特にインターネットの契約はルーターがちゃんと届かなかったり、工事の人が来るまで家でずっと待ったり(時には来なかったり)と、かなり面倒です。
WG
1つのアパートを何人かでシェアするのがWG。実家に住む場合を除き、ドイツの学生はほとんどが寮かWGに住んでいます。
WGのメリット
生活に必要な細々した物、例えばカトラリーや食器類、掃除道具などはWGにあるものを使えばいいので、いちいち買い揃える必要がありません。既に誰かが住んでいるのでインターネットも入居初日から使えます。
また同居人と気が合えば一緒に料理をしたり出かけたりするようになるので、寂しい思いをするという事も無いです。あくまで気が合えばの話ですが。
WGのデメリット
同居人との相性が悪いとWGでの生活は最悪なものになります。使った調理器具がいつまでも洗わずに置いてある事や、使った後の洗面台が汚いことに腹を立てたり。逆に同居人がいちいち細かいことにうるさかったり。毎日毎日同居人のことで気分を悪くするのも馬鹿らしいですし、それを避けるためにも相性はかなり重要です。
ホームステイ
一般家庭の家で一緒に住むのがホームステイ。
ホームステイのメリット
現地人がどんな生活をしているのか直に見られるのがホームステイの魅力。私はオーストラリアとニュージーランドでホームステイの経験がありますが、どちらも飾らない普段の生活の様子や子供たちの接し方などが見られてかなり興味深かったです。
家族と毎日顔を合わせることになり強制的に喋らざるを得ないので、すぐに語学力アップとまではいかないものの、しだいに外国語で喋る事に対する慣れが出てくるようになります。またホストファミリーも語学の不自由な外国人の受け入れに慣れているので、最後まで根気よく話を聞いてくれたり、意識的に話そうという姿勢をみせてくれます。
ホームステイのデメリット
家族と一緒に暮らすので、一人の時間がなかなか取れません。またお出かけやパーティーなど家族の予定には、興味のある無しに関わらず自分も参加しないといけないのが時には面倒でもあります。
また作ってくれる料理が口に合わないということも。
インターネットで部屋探し
部屋の探し方はいくつかありますがインターネットを使って探すのが一般的。インターネットなら日本から見れるので、だいたいどんな物件があって相場はどのくらいなのかを渡独前にチェックすることも可能です。
私が実際に利用したサイトを含め、便利なウェブサイトを紹介します。
ドイツのサイト
WG-Gesucht
ドイツでWGを探す誰もが利用するサイト。WGメインですが、1人部屋や一軒家もチラホラあります。
物件数がかなり豊富ですが、利用者が多いので良い物件はすぐに入居者が決まってしまいます。1日前にアップされた物件の所有者にコンタクトを取ったところで、「見学者が多いからちょっと待って」または「もう決まったんだ」と返事がくることも。
サイトはとても使いやすく、英語対応もしています。
Studenten-Wg.de
WG-Gesuchtと同じようなサイトですが、こちらは件数が少ないほかドイツ語のみ。
とはいえライバルが減るうえ、たまにねらい目な物件もあります。
ImmobilienScout24
アパートや一軒家が探せるサイトで、私がフランクフルトで住んでいた部屋や、私達が今住んでいるアパートもここで見つけました。物件数がかなり豊富。
不動産屋さんが物件を紹介しているものもあれば、大家さんが個人で出している物件もあります。
日本語のサイト
MixB ミックスビー
ドイツ生活情報が一通り揃っている掲示板。求人や物の売買などと一緒に部屋の入居者募集の掲示板があります。
ジモモ フランクフルト
フランクフルトに特化した掲示板。ルームメイト募集や入居者募集の掲示板があります。
Fecabookグループ
もし住む予定の町に日本人留学生が沢山いて彼らのFacebookグループがあるようなら、そこで呼びかけるのも一つの方法です。
私が以前住んでいた町のグループでも、渡独前にそこで呼びかけてすぐに部屋を見つけていた人が何人もいました。
公開で呼びかけるのは変な人が寄ってきそうで心配ですが、ある程度人数がいるコミュニティの中であれば、そのつながりを通して空きそうな部屋を紹介しえもらえる可能性も高いです。
インターネット以外の探し方
不動産屋
不動産屋で物件を探すのもアリですが、日本のように沢山ある中から選ぶというのではなく、1つの不動産屋での取り扱い物件はだいぶ少ないです。
不動産屋にもよりますが、めぼしい物件がなくて探してもらう場合、「忘れてるんじゃない?」と思ってしまうほど時間がかかる事もあります。
大学の掲示板
大学の掲示板では、求人やイベント情報に混じって入居者募集の紙が貼られていることがよくあります。たまにだいぶ古い募集が残っているので要注意。
知り合いの紹介
周囲に部屋探しをしている事を大々的に言っておくのも効果大。「○○が同居人探してるよ」や、「○○が日本へ帰るから次住む人探してるよ」などと声をかけてもらえるようになります。
お部屋見学
部屋の内見は大家さんとの面接
アパートを借りたくて1つの物件に希望者が複数いる場合、誰が住むのかを決めるのは大家さん。内見では大家さんもこちらの人となりや経済力を結構チェックしてきます。
大家さんだって自分の物件を貸す以上、信頼のおける人に貸したいわけです。部屋の内見は、いわば大家さんとの面接のようなものなのです。
全てが大家さんの裁量で決まるので、ドイツ人の希望者と比べて外国人学生は不利になることが多いです。働いて固定収入があるドイツ人と外国人学生だったら、大家さんは間違いなく経済面で安定したドイツ人を選びますよね。私も部屋探しの際に「家賃ちゃんと払える?」と訊かれたことが何度かあります。
覚えておきたい単語
部屋探しをする時に最低限覚えておきたい単語です。トラブルを防ぐためにも、必ず確認を。
1. Kaution(敷金):大体家賃2~3ヶ月分。退去時に住居に問題がなければそのまま返ってきます。
2.Provision(礼金):これまでは不動産屋を通して物件を見つけた場合、およそ家賃2ヶ月分を不動産屋に払ことになっていました。2015年夏より廃止されていますが、不動産屋に物件がなくて探してもらった場合には従来通り支払うことになります。
3.Kaltmiete:全体で支払う家賃から諸費用を差し引いた金額。部屋だけの金額といえば分かりやすいでしょうか。
4.Warmmiete:Kaltmieteに諸費用を合わせた金額。家賃として支払う金額です。
5.Nebenkosten:水道代や暖房代、アパートの清掃費用などがここに含まれます。暖房代(Heizkosten)が別項目になっている場合もあります。
6.Wohnfläche:部屋の広さ。
7.Bezugsfrei ab~:入居可能日。
よくある詐欺の手口に注意
住む場所が見つかるまでは何かと不安になりますが、残念ながらそんな気持ちに付け込んだ詐欺も多いです。
よくある手口は「今外国にいるからすぐには会えないが、○○ユーロを振り込んでくれれば鍵を送る」というもの。
以前私が住んだいた町でも当時部屋探しをしていた学生がこの手口に引っかかり、700ユーロほど振り込んでしまったという事例がありました。その子はドイツ人に付き添ってもらい警察に行きましたが、お金が戻ってきたかは分かりません。
被害に遭わなかったものの、私の夫もむかしこの手口に遭遇したことがあるらしく、私も「気をつけろ」と念を押されたことがあります。
「まずは振り込みを」というのは絶対怪しいので、皆さんも振り込んでしまわないようご注意を。
詐欺とはまた異なりますが、賃貸契約書の内容も入居時にしっかりチェックしましょう。具体的には家賃の内訳や、退去時に壁を塗り直す必要があるかなど。しっかりチェックする事で余計なトラブルを防ぐことが出来ます。
部屋探しは大変
ドイツ人でも苦労する部屋探し。来たばかりでドイツ語もよく分からない中での部屋探しはなおさら、不安や焦りもあり相当苦労します。
とはいうものの、なんだかんだ言って住む場所は見つかるもの。「焦るな」というのは無理だと思いますが、焦りすぎると変な詐欺にも引っかかりやすくなります。
大変ですが、地道に頑張りましょう。