最近ブログやSNS(特にインスタグラム)を通して結婚式について質問されることがよくあります。
中には「単に興味がある」という人もいますが、質問者の多くはこれからドイツで結婚予定の人たち。そういえばちょうど去年の今頃、私達も結婚式の準備に向けて重い腰を上げ始めていたのでした。
国が変われば結婚式も変わる、ということで今回はドイツの結婚式の特徴を紹介します。
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ドイツ式結婚式の特徴
結婚式はお役所で
ドイツで結婚をする場合、必ず戸籍局(Standesamt)で式を挙げなくてはいけません。教会で式を挙げる場合も、戸籍局での式は必ず行います。
ここでは証人立ち合いのもと、結婚の意志があるかの確認や書類へのサイン、指輪の交換が行われます。
とはいえここでの式は事務的なもの。荘厳な雰囲気の漂う部屋を用意してくれる戸籍局もありますが、ただの会議室みたいな部屋で式を行う所もあり、それが嫌だったりこだわりのあるカップルはわざわざ別の町の戸籍局で式を挙げます。
式の後に結婚パーティーが控えている場合は花嫁もウェディングドレスを着ていきますが、そうでない(披露宴が別の日など)場合は綺麗めのドレスやスーツで行く人も多いです。
また戸籍局によっては古城などへ出張で来てくれるところもあります。
ウェディングドレスは購入するもの
ウェディングドレスはレンタルではなく購入がほとんど。ウェディングドレスを専門に扱うお店を何件かまわり気に入った物を購入します。
値段はお店によって変わってきますが、大体1000~2000ユーロが相場。最近ではネットでも買えるようになって、そこでは200~300ユーロという激安ドレスもあります。
新品にこだわらないのであれば、セカンドハンドもおすすめ。1回しか使われていないドレスだし、定価より安く購入できます。
お色直しがない
ドレスつながりで続きますが、お色直しはなく新郎新婦はずっと同じドレスを着ています。
あちこち動いたりダンスをしたりして式が終わるころになると裾もだいぶ汚れてくるのですが、どの新婦もあまり気にしない様子。レンタルではないし(おそらく)一度しか着ないので、気にする必要もないのかもしれません。
準備・手配は全て自分たち
ドイツの結婚式は「すべて手作り」。全くのゼロから新郎新婦が全て計画・手配をします。
例えば私達の場合、会場の予約から座席表、料理のメニューはもちろん、テーブルに飾る花やブーケ、ウェディングケーキ、カメラマンの手配、当日の進行といった計画は全て行いました。
私達は呼びませんでしたが、DJや司会者を呼ぶ場合も自分達で探して値段交渉をします。
これは花嫁のヘアメイクも同じこと。良さそうな美容室を探してまずは一度ヘアメイクのリハーサルをし、良さそうならそのまま当日の予約も入れてしまいます。
義理でゲストを招待しない
ドイツの結婚式では、会社の上司や同僚を義理で招待するという事はありません。とはいえ、プライベートでも付き合いのある様な仲の良い同僚なら招待することも大いにあり得ます。
どちらかといえばパーティーの延長のような感じで、雰囲気も堅苦しくないのが特徴です。
またパートナーのいるゲストはカップルで参加することがほとんど。日本では信じられないかもしれませんが、私もほとんど面識のない夫の友人の結婚式に何度か参加したことがあります。
ご祝儀ではなくプレゼント?
招待されたゲストの中にはプレゼントを持参する人もいます。招待状に欲しいものを書くかカップルもいますが、必ずこれを用意しなければいけないという訳ではありません。
結婚式でのプレゼントとなるとものすごく高級なカップなどを想像しがちですが、ここでのプレゼントは気持ち程度の物。招待状に希望が書かれている場合は、食器や家電などがほとんどです。
日本のようにご祝儀を持ってくるという決まりはないものの、メッセージカードと現金を包んで渡す人は多い模様。私達も友人の結婚式では一言添えたカードと現金を贈ったし、私達の結婚式でもこれが一番多かったです。
金額は友人で100~200ユーロ、親族になると~500ユーロといったところでしたが、これは人によってかなり変わってくると思います。
新郎新婦がダンスを披露
ドイツの結婚式にダンスはつきものですが、ダンスの一番最初には新郎新婦がゲストの前でダンスを披露します。
このためにダンス教室へ通うというカップルも沢山いて、ダンス教室には「結婚式コース」なるものがあるほど。ダンス未経験のカップルはここで基本的なステップやターンを学び、家でも猛練習するのです。
新郎新婦が一曲踊り終えたところで他のゲストもダンスに参加。パートナーを変えながら、とにかく踊りまくります。最初はワルツではじまるのが一般的で、夜が深まるにつれて会場全体がディスコっぽくなっていきます。
深夜まで続く・・・
ドイツの結婚式はとにかく長いのが特徴です。私達の場合は日本からのゲストの疲労を考えて12時過ぎに大体終わりにしましたが、それでも早いほう。普段は明け方近くまでパーティーが続きます。
ダンスしたりお酒を飲んだり喋ったりと、若い人のみならずおばあちゃん達もとにかく元気。
式終了の時間も特に決まってなく、「そろそろ帰るか」という感じでそれぞれ適当に帰っていきます。
結婚式の中心は新郎新婦とその家族
結婚式で新郎新婦と同じくらい大切にされるのがその家族。パーティーでの食事の際も、家族が座るのは新郎新婦と同じ、または前の方のテーブルです。
日本では「新郎新婦と親族がゲストをおもてなしする」というスタンスで特に親族の立場が低いという印象を受けますが、ドイツではどちらかというと準主役のような扱い。「親族はこれをすべき」といった役割もなく、いちいち他のゲストに気づかいをする必要もありません。
これに関して私達の結婚式で特に印象だったのが、「ドイツの結婚式はお酌しに回らなくていいから楽でいいわ」という私の母と叔母の言葉。私としても、はるばる日本からやって来た家族が結婚式で窮屈な思いをするのは嫌だったので、ドイツの結婚式が親族のマナーにうるさくなくて助かりました。
ドイツならではの風習
いくつかある風習のなかでも代表的なものは「皿割り」、「のこぎりで丸太切り」、そして「ハートのくりぬき」の3つです。
皿割りは結婚式の前日に行うもので、「皿の割れる音が魔除けになる」と言われています。何枚ものお皿を割って、それを片付けるのは新郎新婦の仕事。これには「これから夫婦でどんな事でも一緒に解決する」といった意味が込められています。
のこぎりで丸太を切るのも、これからの夫婦の共同生活を象徴するもの。丸太の両側に新郎新婦がそれぞれ立ち、大きなのこぎりで一緒に丸太を切っていきます。
「ハートのくりぬき」では大きな布に書かれたハートをカップルがハサミで切り抜き、先に半分切り終えた方が今後家庭での権力を握るといわれています。
日本とは大きく異なる結婚式
こうしてド10の特徴を挙げてみると、日本とは異なる点がいくつもあるという事がよく分かります。
ドイツの結婚式は「こうでなくてはならない」という決まった型がなく、カップルが自分達の好きな様に作り上げていくもの。色々な余興やイベントが目白押しで忙しい日本の結婚式と比べ、進行もゆっくりでアットホームです。
それ故にカップルがゲストと触れ合う時間もかなりたっぷりあります。
文化の違いもあるし日本の結婚式を否定するつもりもありませんが、私はドイツの緩い結婚式の方が好だなと感じたのでした。