ドイツを東西南北4つの地域に分けて、それぞれの特徴とおすすめの町&スポットを紹介します。大体どこになにがあるのか分かれば旅程もイメージしやすいので、旅の計画を立てる際に参考にしてみてください。
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ドイツ北部
北海とバルト海に面しているドイツ北部。ドイツ第2の都市ハンブルクや見本市で有名なハノーファーのほか、リューベックやブレーメンといったかつてのハンザ加盟都市がこの地域に含まれます。
どことなく北欧的な雰囲気の沿岸地域やリューゲン島、ズュルト島といった島々はリゾート地として人気。風を避けるために屋根の付いたベンチがビーチに並ぶ光景は北ドイツの海岸ならではです。
ハンブルク
ドイツ最大の港町ハンブルク。重厚な赤レンガの連なる倉庫街やアルスター湖畔の爽やかな町並み、活気あふれるフィッシュマルクトや世界的に有名な歓楽街「レーパーバーン」など、じつに様々な顔を持つ町です。
ハンブルクで外せないのが、2017年にドイツ国内人気観光地No1に選ばれたミニチュアワンダーランド。ドイツ国内や世界中の名所がジオラマで再現され、その精巧さと世界観には大人でも夢中になるほど。
かなり混んでいて入場制限されることもあるので、確実に入れるよう事前にネット予約することをおすすめします。
そしてハンブルクの新名所が、2017年1月にオープンしたコンサートホール「エルプフィルハーモニー」。内部にはほかにもホテルや高級アパートなどが入っていて、コンサートホールのロビー部分には一般の人でも入れます。ここのテラスから眺める港がまた素敵なんですよ。
リューベック
ドイツ北部には、かつてハンザ同盟に加盟していた有力都市が名を連ねます。そのひとつが「ハンザの女王」との異名をもつ美しい町リューベック。赤レンガを多用した街並みは、「女王」の名にふさわしく重厚感であふれています。
そしてリューベックの名物といえば「マジパン」。マジパンの老舗「ニーダーエッガー」の本店があり、所せましと並ぶマジパンはどれも食べるのがもったいないくらい可愛い!
1階の奥と2階のカフェではケーキや軽食が楽しめるほか、3階のマジパン博物館で知られざるマジパンの歴史に触れるのも楽しいですよ。
リューネブルク
リューベック同様にかつてのハンザ都市だったリューネブルク。中世には塩の取引で莫大な富を手にし、町は大きく発展しました。当時、食品の保存に欠かす事のできなかった塩は、「白い黄金」と呼ばれ高値で取引されたのです。
身近な存在であるものの、その歴史については意外と知らない所が多い「塩」。町の外れにある「ドイツ塩博物館(Deutsches Salzmuseum)」は、製塩の歴史や現代における塩の用途(食用だけではないのです)など、塩にまつわるあらゆることが分かる博物館です。
そしてリューネブルクで屈指の美しさを誇るのが、イルメナウ川沿いに家が立ち並ぶエリア。ここはかつて港だった場所で、ここで船に積まれた塩は川を北上しリューベックまで運ばれました。川沿いに見える豪華なファサードの家は、塩の交易で力をつけた商人が「富の象徴」として外観を豪華に改造した名残りです。
ブレーメン
「ブレーメンの音楽隊」でも有名なブレーメンもまたハンザ都市のひとつであり、その美しい街並はかつての栄華を色濃く残しています。特に市庁舎の壮麗さと美しさは圧巻のひとこと。
ブレーメンには趣の異なる2つのエリアがあります。1つめは、小さなショップやカフェ、アーティストのアトリエが集まる「シュノーア地区」。可愛らしい木組みの家に囲まれた狭い路地はまさにメルヘンの世界です。
2つめのエリアは「ベトヒャー通り」。1900年代はじめ、コーヒーの取引で財力を得たロゼリウスという商人が、芸術家をあつめて造らせた通りです。中世の街並みを再現すべく造られた通りには重厚な雰囲気が漂い、シュノーア地区と同様にショップやカフェ、そのほか美術館などが並びます。
マイセンの鐘の音とともに動く仕掛け時計も必見です。
ドイツ南部
ロマンチック街道やノイシュヴァンシュタイン城など、日本人に人気の観光スポットが集まっている南ドイツ。中でもバイエルン州はローテンブルクをはじめ中世の面影が残る町が多く、木組みの家が並ぶ可愛い町を沢山訪れたい人にはおすすめの地域です。
南部国境付近にはドイツアルプスがそびえ、夏はハイキング、冬はスキーやスノボなどウィンタースポーツが楽しめます。オーストリアやスイスと国境を接するボーデン湖もリゾート地として人気です。
ミュンヘン
日本からの直行便があるミュンヘンは、かつてバイエルン王国の都として栄えた優雅な町。中心部には王家の居城だったレジデンツやドイツ最大の仕掛け時計がある市庁舎のほか、術館・博物館も豊富です。
町から少し離れた場所には、夏の離宮として使用されたニンフェンブルク城のほか、バイエルンミュンヘンの本拠地「アレアンツアレーナ」、BMW博物館があります。中心部から離れているものの、どこもU-Banhやトラムが通っているのでアクセス良好です。
またノイシュヴァンシュタイン城へもミュンヘン発のツアーがあるほか、ミュンヘンからなら個人でも難なく日帰りで行けます。
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シュトゥットガルト
南西部に位置するシュトゥットガルトは数多くの世界的企業が本社を置く工業都市でありながら、バレエやクラシックなど芸術・文化活動も活発。黒い森の拠点としても人気です。
メルセデスベンツ博物館やポルシェ博物館は、車好きの方なら一度は訪れたい場所ではないでしょうか。ドイツを代表する高級車の歴代コレクションを間近で見る事ができ、特にクラシックカーの展示は自動車に詳しくない方でも楽しめます。
ハイデルベルク
日本人から絶大な人気を誇り、「ドイツ観光の定番」ともなっているのがハイデルベルク。ネッカー川沿いに佇む情緒あふれる町並みは、一度訪れれば誰もがファンになってしまうほど。またハイデルベルクは学問の町としても有名。「ハイデルベルク大学」はドイツ最古であると同時に、ノーベル賞受賞者や各分野におけるトップ研究者を多く輩出する名門大学です。
そんなハイデルベルクのハイライトは、「ドイツ3大名城」のひとつでもあるハイデルベルク城。記録にはじめて登場するのは13世紀で、その後は数々の戦禍に巻き込まれ、破壊と修復をくり返してきました。なので城ではゴシック、ルネサンス、バロックと、修復された時代を象徴する建築様式が各所で混ざり合っています。
直径7mのワイン樽や「ドイツ薬事博物館」のほか、テラスから眺める町並みも必見。その美しさに思わずうっとりしてしまいます。
ロマンティック街道の可愛い町
ドイツに数多くある観光街道の中でも、一番有名かつ人気を誇るのがロマンチック街道。
マイン川沿いの美しい古都ヴュルツブルクから始まる街道は、国境近くのフュッセンまで続きます。途中には、おとぎの国の様な町並みのローテンブルクや、木組みの街並みが可愛いディンケルスビュール、「進撃の巨人」の町のモデルとして有名になったネルトリンゲンなど、「ロマンチック街道」の名にふさわしい可愛らしい町が連なります。
4月~10月にかけては街道を縦断するバスも走っているので、利用する事で各町を効率よく回れます。ディンケルスビュールやヴィース教会など公共交通機関でのアクセスが悪い場所も、ロマンチック街道バスなら停車するので便利です。
ボーデン湖
私がドイツの中で大好きな場所が「ボーデン湖(Bodensee)」。リゾート地の様な優雅かつのんびりとした雰囲気が漂い、ドイツ国内のほか周辺国からも多くの人がバカンスに訪れます。
ボーデン湖で特におすすめしたいのが、「花の島」マイナウ島。島全体が季節ごとの花であふれ、まさに「花の楽園」ともいえる美しい島です。
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ボーデン湖観光の拠点となるコンスタンツをはじめ、メーアスブルクやリンダウなど、湖畔の町はどこも趣ある旧市街が魅力。また、メーアスブルクはワイン生産も盛ん。丘の上にある州立醸造所や地元のレストランでは貴重な地元産ワインを味わえます。
ドイツ西部
ドイツ観光のハイライトでもあるライン川が流れるドイツ西部。世界遺産にも指定されているライン渓谷を船で下れば、それぞれ異なる歴史を歩んできた古城が次々と顔を出します。
そのほかの見どころは、大聖堂で有名なケルンやドイツ世界遺産第一号のアーヘン大聖堂(1978年登録、世界遺産第一号でもあります)、ドイツ3大美城のひとつエルツ城など。
またライン川沿いやモーゼル川沿いはワイン生産も盛ん。ワイン居酒屋やワイナリーが沢山あり、質の良い美味しいワインをお手軽に購入する事ができます。
フランクフルト
日本からの直行便があるフランクフルトは、飛行機の関係でドイツ到着時または出発前に滞在する方が多いかもしれません。ドイツならび欧州経済の中心地となり、高層ビルがいくつも立ち並ぶ様子はドイツでもここだけ。
一方、中世に神聖ローマ皇帝の選挙および戴冠式が行われたなど、歴史ある町でもあるフランクフルト。選挙や戴冠式が執り行われた大聖堂、戴冠式後の祝賀パーティーが行われた市庁舎内部も見学できます。
ほかにもドイツが誇る文豪ゲーテが生まれた生家が博物館として公開されているほか、ドイツ映画博物館、シュテーデル美術館をはじめとする美術館・博物館の種類が豊富です。
[box04 title=”フランクフルトの詳細”] フランクフルト 基本情報と観光スポット[/box04]
フロイデンベルク
モノトーンの街並みが美しいフロイデンベルク。ドイツの旧市街はカラフルな木組みの家が並ぶイメージですが、ここでは色を失った白黒の街並みが広がります。
かつて2度の大火事に襲われたフロイデンベルク。1540年の火事では町が全焼、1666年の火事では1件のみが焼け残るという大惨事でした。町の中を歩いてみると家同士の間隔が狭く、ゆえに火の広がりも早かったのだなという事が容易に想像できます。
フロイデンベルクでは毎年秋になると中世祭を開催。中世の衣装や革製品、はちみつワインなどを扱う店が並ぶほか、騎士や十字軍などに仮装した人々が祭りに華を添えます。
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ドイツでは「父なるライン」との名で親しまれている雄大なライン川。「ロマンティック・ライン」と呼ばれている「ライン渓谷中流上部」では世界遺産の中をゆくクルーズが楽しめます。
「ロマンティック・ライン」はビンゲンからコブレンツにかけて65kmの範囲ですが、中でもハイライトはリューデスハイム~ザンクト・ゴアールのあいだ。1時間半ほどのクルーズでは古城が次々と現れるほか、ローレライもこの区間にあります。
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またライン川沿いの小さな町を訪れるのもおすすめ。ワイン酒場で賑わうリューデスハイムはもちろん、個人的にはバッハラッハ(Bacharach)の旧市街がとても美しくて好きです。
ドイツ東部
ドイツの首都ベルリンや古都ドレスデン、音楽の巨匠バッハが活躍したライプチヒがあるドイツ東部。ドレスデンやライプチヒは古典的な色彩を色濃く残す一方、ベルリンはアーティストやスタートアップ企業、そしてもちろん観光客が世界中から押し寄せる活気あふれる町です。
ベルリン
多国籍な人が集まるベルリンは、アートやナイトライフも充実して刺激たっぷり。小さなオシャレカフェや個性的な蚤の市も多く、長期滞在してじっくり楽しみたい要素が詰まっています。
ベルリンの壁建設から東西ドイツ統一までの激動の時代について伝える博物館も豊富。東ドイツから脱出を試みた人々の記録や実際に使用した道具を展示するチェックポイント・チャーリー博物館、旧東ドイツのでの日常を再現したDDR博物館や、東ドイツの秘密警察「シュタージ」の博物館のほか、ベルリンの壁も一部残されています。
ドレスデン
刺激的なベルリンから一転、重厚な町並みが「古都」と呼ぶにふさわしい町ドレスデン。18世紀初頭にザクセン王国の都として栄えた町では、いまでもその面影がはっきりと感じられます。
町のシンボルとも言えるのが、パッチワークの様な外観の「聖母教会(Frauenkirche)」。第二次大戦の空襲で崩壊後は瓦礫が放置されたままでしたが、1993年からの修復により2005年に再び元の姿を見せました。パッチワークのように見えるのは、もとの石材を再建にも使用しているためです。
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ザクセンスイス
ドレスデンから日帰りで行けるザクセンスイスは、高さ約100mの奇妙な岩がいくつもそびえ立つ不思議な場所。これらの岩は白亜紀に形成されたものが、浸食作用によって徐々に形を変えたものです。天気のいい日には、切り立った岩でロッククライミングをしている人も沢山。
ほかにも眼下を流れるエルベ川がまた絶景。新緑の時期の爽やかな眺めのほか、紅葉の季節に色づいた山の麓を流れる川もまた美しいです。
ハルツ地方
日本ではまだほとんど知られていないハルツ地方は、個人的にかなりオススメしたいエリア。絵本から飛び出してきたような市庁舎がシンボルのヴェルニゲローデや、1300件以上もの木組みの家が残るクヴェトリンブルク、銀色の街並みが美しいゴスラーなど、個性豊かな町が点在しています。
また北ドイツで1番高い山「ブロッケン」があるのもこの地域。標高1141mの山頂へはSLが走っているほか、麓からのハイキングもできます。
ハルツ地方は魔女伝説があることで有名ですが、ブロッケンには「4月30日の夜に魔女が集まって集会を開く」という言い伝えが残されています。実際にこの日には「ヴァルプルギスの夜」というお祭りが各地で開催され、魔女などに仮装した人々が町をうめつくします。
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