巨大なシュトレンが町を行進!ドレスデンで開催されるシュトレン祭り

ドレスデンでは、クリスマスマーケットの期間中に「シュトレン祭り」というユニークなお祭りが開催されます。

シュトレン祭りは重量が3000kgもある巨大シュトレンが町を練り歩き、その後切り分けられて観客に配られるという人気イベント。シュトレン娘や優雅なバロック衣装に着飾った人々も登場し、お祭りに華を添えます。

ドイツの伝統菓子シュトレン

シュトレンはドイツでクリスマスに食べられる伝統菓子。洋酒漬けにしたドライフルーツやナッツ、バターをたっぷり使ったどっしりとしたお菓子で、クリスマスの時期に少しずつスライスして食べます。

ちょっと不思議な形の由来には諸説ありますが、キリストが真っ白なおくるみに包まれている姿を象徴しているという説が一般的。トンネルのようにも見えることから、ドイツ語で「坑道」を意味する「シュトレン」と名付けられました。

バターたっぷりの生地に粉砂糖もまぶしてありカロリーたっぷりですが、クリスマスマーケットが始まる頃になると無性に食べたくなるシュトレン。日持ちもし、日が経つにつれて深みの増した味わいが楽しめるようになります。

スーパーやパン屋さんでも買えますが、一度は食べてみたいのが発祥の地ドレスデンで作られるドレスデナー・シュトレン(Dresdner Stollen)。ドレスデンにはドレスデン・シュトレン保護協会という団体があり、シュトレンの品質を厳しくチェック。審査に合格したものだけに黄金のシールが貼られ「ドレスデナー・シュトレン」を名乗ることが許されるのです。

いちど本場のシュトレンを食べると、もうほかの物は食べられなくなってしまうかも。ドイツまで行けないよ!という方でも、王室御用達であるエミールライマンのシュトレンを日本の通販で買うことができます。

 

シュトレン祭りの歴史

シュトレン祭りの由来は、アウグスト強王がこの地を治めていた1730年まで遡ります。スウェーデンの覇権をかけた大北方戦争の終焉後、アウグスト強王は自らの力を誇示するべく、ヨーロッパ中から客人を招待して盛大な軍事演習を披露。その際のパーティーでは、職人100人を集めて作らせた1.8トンものシュトレンを招待客に振舞ったのだとか。

そしてこの出来事から264年後の1994年、当時と同ように巨大シュトレンが作られドレスデン旧市街で披露されました。それ以降、毎年第2アドヴェント前の土曜日にはシュトレン祭りが開催され、いまでは十数万人もの観客が集まる人気イベントとなっています。

お祭りの日程・プログラム

シュトレン祭りが開催されるのは、第2アドヴェント前の土曜日。

2019年は12月7日(土)です。

お祭りのプログラムは以下の通り。まずシュトリーツェルマルクトが開催されているアルトマルクト向かいの広場でトークや巨大シュトレンの披露が行われ、その後にパレード。再び同じ広場に戻ってきた後、シュトレンが切り分けられて販売されます。

10:00
ドレスデンのシュトレン職人による開催宣言

10:40
巨大シュトレンのお披露目

11:00
パレード開始

11:50
巨大シュトレン帰還

12:00
ステージプログラム

12:15
シュトレン娘と秘密ゲストによるシュトレン入刀

12:20
シュトレン販売開始

開催宣言やシュトレンのお披露目はずっとドイツ語で喋っているので、分からない方にとってはあまり面白くないかも。どうしても見たいという訳でなければ、先にパレードの通り道でいい場所を確保しておく方が賢明だと思います。

パレードが通る道はシュトレン祭りの公式サイトに分かりやすい地図が掲載されているので、参考にしてください。

[jin_icon_info color=”#567fcc” size=”18px”]シュトレン祭り公式ウェブサイト(下にスクロールすると地図があります)

巨大シュトレン

シュトレンの大きさは年ごとに異なりますが、だいたい長さ4m、重さは3トンという想像を絶する規模。この巨大な形を一気に焼くのではなく、写真のような板状のシュトレンを焼き、それを積み重ねることで巨大なシュトレンが完成します。シュトレンを焼くのは、もちろんシュトレン協会に所属するパン職人、製菓職人たち。

私が訪れた2018年の巨大シュトレンは重さ3850kg!このシュトレンを用意するために小麦粉1350kg、レーズン100万個、バター830kg、砂糖310kgが使われたそうです。なんかもう、普段のお菓子作りと規模が違い過ぎて全然想像できませんね。

ちなみにこれまでの最高記録は、2013年のお祭りで登場した4246kgのシュトレンです。

旧市街を練り歩くパレード

お祭りの目玉は、なんと言っても巨大シュトレンが町を練り歩くパレード。シュトレンのほかにもアウグスト強王やシュトレン姫、バロック衣装に身を包んだ人々が次々と登場し、ドレスデンの街並みと相まってとても華やかな雰囲気が楽しめます。

馬車に乗っているのはシュトレン娘。シュトレンへの情熱はもちろん、製法や歴史について熟知している若い女性のなかから毎年選出されます。これまで選出されてきたシュトレン娘たちも、菓子職人の修行をしてきたという女性ばかり。

シュトレン祭りにとって無くてはならないもう一人の人物が、アウグスト強王。彼が巨大シュトレンを注文していなかったら、今のお祭りも誕生していなかったでしょうね。

シュトレン入刀に使われる巨大ナイフ。

そしていよいよ巨大シュトレンが登場。3850kgもの巨大シュトレンが、馬車にひかれて観衆の前を通り過ぎていきます。クリスマスマーケットで売られている物とは比べ物にならないほど巨大なシュトレンに、みんなも圧倒されっぱなし。いたずらされないように警備もしっかりついていました。

パレードが終了すると、いよいよシュトレン販売の開始。500gほどに切り分けたシュトレンを6€で購入できます。とはいえ買い求める人々でかなり押し合いへし合いになるので、相当の覚悟が必要です(ドイツ人は体も大きいですし)。

おわりに

クリスマスマーケット期間中のドレスデンで開催されるシュトレン祭り。ここにしかない巨大シュトレンを一目見に出かけてみてはいかがでしょうか。

パレードを見ている時は立ちっぱなしで体がどんどん冷えてくるので、しっかり防寒対策してくださいね。

お祭りで盛り上がったあとは、本場ドレスデンのシュトレンを味わってみるのも忘れずに!

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