私がドイツで好きな場所の5本の指に入るのが、南ドイツにあるマイナウ島(Insel Mainau)。
ドイツ、スイス、オーストリアをまたぐボーデン湖にある島は、年間を通じて様々な花が咲き乱れることから「花の島」とも呼ばれています。
マイナウ島は基本的にどの時期に行っても楽しめますが、季節ごとの見どころは様々。いつ何が見頃なのか分かれば、旅のプランも立てやすくなります。今回はマイナウ島の見どころと、季節ごとにどんな花が咲くのかを紹介します。
Contents
「花の島」マイナウ島の歴史
「花の島」としてマイナウ島の歴史が始まるのは1932年のこと。バーデン大公フリードリヒ1世の所有物だったこの島を彼のひ孫だったレンナルト・ベルナドッテ伯爵が譲り受けたことで、島は花の楽園へと姿を変えていきます。
フリードリヒ1世の死後、「彼の島をそのままの形で残したい」という残された妻の願いから、島は手つかずのままでした。「そのままの形で」というのは聞こえはいいですが、実際は手入れも何もされなかったので島は荒れ放題。そんな島をベルナドッテ伯爵が引き取り、手入れをして花や木でいっぱいの島へと作り替えて一般に公開したのが、「花の島」のはじまりです。
現在のマイナウ島はそんな彼の思いを継ぐべく、子孫であるベルナドッテ伯爵家が引き続き管理。花や緑であふれる島には、年間を通じて世界中から120万人以上が訪れます。
ここを逃したら魅力半減!押さえておきたいポイント
見どころ満載のマイナウ島。ただ歩いているだけでも色々な花や草木が目に飛び込んできて十分楽しめますが、その中でもここだけは絶対行ってほしい場所があります。これを見なければマイナウ島を半分も楽めなかったと同じです。
見ておきたいスポット
- 花で造られた鳥のオブジェ
- 地中海テラス(Mediterran-Terrassen)
- イタリア式水の階段(Italienische Blumenwassertreppe)
花で造られた鳥のオブジェ
マイナウ島には入り口で皆さんを出迎えてくれる花のオブジェのほかに、花で造られたクジャクとアヒルの巨大なオブジェがあります。クジャクは羽の部分まで全て花で描かれていて、まさに花の芸術。
すぐ近くには可愛いアヒル達もいて、池の部分までしっかり再現されています。
オブジェに使われる花は、当然のことながら季節ごとに変化します。上の2枚の写真は夏に撮ったものでしたが、こちらは春バージョン。夏はマリーゴールドやベゴニアが使用されていたのに対し、春はビオラがメインです。
春のアヒルに使われている花もビオラ。湖の部分は「忘れな草」で造られています。
地中海テラス
島の南に位置している地中海テラス。噴水を中心に整えられた花壇のほか、ここから眺めるボーデン湖の眺めも最高です。
大きなヤシや眼下に見える湖といった景色も相まって、本当に地中海にいるかのよう。このテラスから次に紹介する「イタリア式水の階段」も見下ろすことができます。
イタリア式水の階段
両側を花に囲まれた美しすぎる階段。マイナウ島の紹介でもよくこの階段の写真が使われているので、もしかしたら見た事がある方もいるかもしれません。
階段は正面から見てももちろん美しいですが、上からの風景も素敵です。
季節ごとの見どころ
春:一面のチューリップ
春のマイナウ島の見どころは、チューリップ、ビオラ、水仙、クロッカスなど。
クロッカスはちょうど今頃(3月初旬)から咲きだし、宮殿前の庭一面を埋め尽くします。
4月になるとチューリップやビオラ、水仙が見頃をむかえます。チューリップの数はかなり多く、チューリップのない場所は無いといってもいいほど。見た事の無い様な種類もあってチューリップ好きにはたまりません。
「春の通り(Frühlingsallee)」は春のマイナウ島で必ず訪れたい場所。並木道沿いの斜面一面がチーリップで覆われ、それはそれは美しいのです。写真は4月の頭に訪れた時のものですが、年によって開花時期は前後します。
まるでチーリップの絨毯のような光景は、オランダのキューケンホフにも負けないほど。これだけのチューリップを手入れするのも相当な苦労でしょうね。
さきほど紹介した水の階段も、春はチューリップ一色です。
春らしい水仙やビオラ、プリムラなどを集めた寄せ植えもあります。
夏~秋:花の種類が豊富!ローズガーデン、ダリア園など
春はチューリップがメインという印象でしたが、夏から秋にかけては見られる花や緑の種類も多く、マイナウ島へ初めて行く方にはおすすめの時期です。
宮殿の南側にあるローズガーデン。立木のバラやつるバラなど1,200種類ものバラが植えられ、しかもそこに毎年新しい品種が仲間入りするのだそう。バラの香りに包まれている庭園は、かなりロマンチックな雰囲気です。
ローズガーデンと共にこの時期のマイナウ島の目玉となるのが、8月末から10月中旬にかけて咲くダリア。島の南側、イタリア式水の階段へ続くエリアでは12,000本ものダリアが咲き乱れ、その美しさと迫力には息を飲むほどです。
咲いているダリアの品種も様々。4cmほどの小さな花をつけるものから、大きい物では直径25cmという巨大な花を咲かせます。毎年ダリアコンテストも開催され、一般の人が好きなダリアに投票することも可能。皆さんもダリアの時期に行ったら、ぜひお気に入りの花に投票してみてください。
ほかにもペチュニアやゼラニウム、アジサイをはじめとする様々な花が至る所に咲き、その様子はまさに「花の楽園」。花好きの方やガーデナーなら1日いても飽きないくらいです。
温かい夏はサボテンも植えられています。
植えられている植物のせいなのか、夏は島全体にどことなく南国の雰囲気が漂っていて、ここがドイツだということを忘れてしまいそう。
ジャングルのような場所も。写真はこの後で紹介する「蝶の館」のすぐ近くにあるエリアです。
冬:花はないけれど料金は半額
秋の深まる頃には紅葉も楽しめるマイナウ島。しかし冬になると、残念ながら花も緑もほとんどありません。旅行で来られる方は、せっかくのドイツ旅行での貴重な時間を使ってまで来る必要はない、というのが私の正直な考えです。
コンサートなどの催し物も開催されますが、基本的に冬は「近くに住んでいる人が散歩に訪れる」といったスタンス。花がほとんどない代わりに、料金は半額となります。
年間を通じての見どころ
マイナウ島では季節ごとに異なる見どころがある一方、年間を通じて同じアトラクションが楽しめる場所もあります。
- 蝶の館(Schmetterlingshaus)
- ヤシの温室(Palmenhaus)
- 動物(Bauernhof)
- 宮殿(Barockschloss)
蝶の館
気温25℃~30℃、湿度90%という温室の中にアフリカ、アジア、中南米から集められた120種類もの蝶が放し飼いにされています。蝶の標本は博物館などで見ることがあっても、それらが生きたまま飛んでいるところを間近で見られるのは貴重なことですよね。
蝶が集まるよう各所に果物が置かれているので、蝶の様子もじっくり観察できます。目玉の様な模様の蝶は羽を開くと綺麗な青色をしていますが、停まっている時はそれが見えないので残念。飛んでいる姿を撮影しようとしても、すぐどこかへ行ってしまいます。
蝶以外に熱帯植物も沢山。池があって亀や魚もいます。
ヤシの温室
宮殿のすぐ横にある巨大な温室内には、巨大なヤシがいくつもあって南国そのもの。ここには20種類以上のヤシがあり、特に15m以上もの高さを誇るカナリーヤシは迫力満点です。
温室内では度々イベントや特別展も行われます。これから3月から5月にかけては蘭展が行われ、様々な珍しい蘭が展示されます。
動物
マイナウ島ではアルパカや山羊、ウサギといった動物が飼われています。一部柵の中に入って山羊たちと触れ合ったり、お子さん向けのポニー乗馬(体重45kgまで可)があったりと、楽しみは花だけではないのです。
牛やロバもいて農場さながら。農場と言えば、島ではブドウをはじめとする果物も栽培されています。
宮殿
左右対称の美しい宮殿はこの島を管理しているベルナドッテ伯爵家族が住んでいるほか、一部は一般にも公開されています。3月にクロッカスが満開になるのは、この宮殿前の芝生の部分です。
隣には教会があり、結婚式を挙げることも可能。ここも相当人気があるみたいで、私が訪れると毎回結婚式に遭遇します。
マイナウ島基本情報
マイナウ島が空いている時間は「日の出から日没まで」との通りはっきりとは決まっていません。島へは様々な方法でアクセスできます。
【バス】コンスタンツ駅からバス4/13(Dettingen方面行き)に乗って「Mainau」で下車します。所要時間は約15分。
【フェリー】ボーデン湖の対岸にあるメーアスブルクや、コンスタンツの港からフェリーで来ることも可。往復チケットと島の入場券がセットになったお得なチケットがあります(料金表:BSBのHP)。
【車】専用駐車場があります。
そのほか項目別料金は以下の通りです。
2018年3月15日まで | 2018年3月16日~10月21日 | |
大人 | 10€ | 21€ |
12歳以下の子供 | 無料 | 無料 |
学生 | 6€ | 12€ |
家族チケット | 取り扱い不可 | 42.50€ |
駐車場料金 | 無料 | 5€ |
マイナウ島訪問の拠点になるのはコンスタンツ。スイスとの国境になる町で、徒歩で国境を越えてスイスへ行くこともできます。
ボーデン湖周辺にはマイナウ島以外にもメーアスブルクや「修道院の島」ライヒェナウ、スイス方面ならヨーロッパ最大の滝である「ラインの滝」や野外博物館のような美しい町シュタイン・アム・ラインなど見どころが沢山あります。マイナウ島だけ見て帰るのは勿体ないので、ぜひ連泊して周辺のスポットも訪れてみてください。
ボーデン湖観光の拠点
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