その姿はドイツのヴェニス 島の上に美しい旧市街があるリンダウ

前回の投稿でボーデン湖の可愛い町メーアスブルクを紹介したので、今回は同じく湖畔にある町リンダウ(Lindau)について紹介します。

リンダウは、メーアスブルクから湖沿いを1時間ほど車で走ったところにある町。湖の上にある島が旧市街になっていて、その美しい姿はドイツ版ヴェネチアのようでもあります。

交易地として栄えた裕福な町だったので、町全体がどことなく優雅な雰囲気。港に立つ灯台の上から望む街並みや、美しいフレスコ画の描かれた旧市庁舎は必見です。

島の上にあるリンダウ旧市街

リンダウの旧市街があるのは、ボーデン湖に浮かぶ島のうえ。町の歴史は9世紀まで遡り、当時「菩提樹(ドイツ語で「リンデ」)の育つ島」という意味で使われていた「リンダウ」という言葉が、そのまま町の名前になったと伝えられています。

はじめは島の上に修道院があっただけでしたが、中世にはボーデン湖上における物流の要所として大きく発達。島にはスイス方面から果物やワイン、ドイツのアルゴイ地方やチーズや家畜などがもたらされ、商人による取引がされました。

13世紀には神聖ローマ皇帝ルドルフ1世により、帝国自由都市の地位を授けられたリンダウ。その後は貨幣鋳造権(独自貨幣を造る権利)を手にしたことで、町はさらに裕福になります。

17世紀の30年戦争では攻めてきたスウェーデン軍から町を守り、町を破壊から守ることに成功。第二次大戦でも被害を受けなかったため、町には中世の趣をたたえる美しい街並みが残されています。

ちなみにリンダウから車で15分ほどの町ブレゲンツには「プフェンダー(Pfänder)」という山があり、山頂からはボーデン湖に浮かんでいる旧市街の様子が綺麗に見えます。規模は違えど、その姿はまるでドイツ版ヴェネチアと言ってもいいほど素敵です。

湖畔のプロムナーデ

リンダウでは電車が旧市街のある島まで走っています。駅を出ると港沿いにプロムナーデが広がり、高級ホテルやカフェ、レストランが並んでリゾート感たっぷり。

プロムナーデてで特に目を引くのが、高さ20mの「マング塔(Mangturm)」。中世に建てられ、19世紀に新しい灯台ができるまで海の安全を見守ってきた歴史ある塔です。窓からラプンツェルの髪を思わせるロープがぶら下がっているのにも注目してみてください。

現在はプロムナーデに立っているマング塔ですが、かつては塔の周りも全て水に囲まれていたのだそう。

港の入り口には灯台と、バイエルンの紋章にも描かれているライオンの像が立っています。遠くから見るとそこまで大きく見えませんが、ライオン像は高さ6m、重さ50kgある巨大なもの。雄大なアルプスを背にしながら、湖畔に灯台とライオン像が立つ光景はとても美しいです。

プロムナーデの突き当りにあるのは、階段状の破風が特徴的な警察の建物。建物の前からは町のなかを巡るミニトレインが走っているので、時間のある方は乗ってみると面白いかもしれません。

灯台の上から港を眺める

港の入り口にある灯台は中を上ることができ、上からはリンダウの街並みやボーデン湖が望めます。139段の階段を上らなければいけませんが、5階層になっていて各階部分で休憩ができるので安心です。

内部では壁に沿って階段がらせん状に続き、真ん中の部分は上から下まで吹き抜けになっています。かつてはこの部分を使って、荷物の上げ下げをしたのかもしれません。床や階段、手すりは木製で、古い漁師の家といった雰囲気。

各階では、ボーデン湖にまつわる知識がイラストとともに紹介されています。興味深いものばかりですが、落書きも目立つのが少し残念です。

灯台の上から見下ろす港とプロムナーデ。右手に見えるライオン像は、下にいる人と比べてみるとその大きさがよく分かります。

反対側からはボーデン湖が一望できます。対岸はオーストリアとスイスで、天気が良ければ写真のようにアルプスもよく見えます。

フレスコ画が一面に描かれた旧市庁舎

さきほどの警察の建物前から港とは反対側へ進んでいくと、やがて目の前にダイナミックなフレスコ画の描かれた旧市庁舎が現れます。14年の歳月をかけて1436年に完成し、1496年にはここで神聖ローマ帝国の帝国議会も開催されました。

建物はゴシック様式とルネサンス様式が融合しているのが特徴で、外壁には町の歴史や帝国議会のシーンが鮮やかに描かれています。

北側部分には雅な階段が取り付けられ、この部分だけなんとなくアジアっぽい雰囲気でもあります。

隣に立つ鮮やかなオレンジ色の建物は、1717年に完成した新市庁舎。毎日昼の11時45分になると、24個の鐘が奏でる音色が周囲に響きわたります。

旧市庁舎の南側にあるのは「リンダヴィアの泉(Lindavia-Brunnen)」。ノイシュバンシュタイン城を作らせたことでも有名なルートヴィヒ2世の即位20年を記念し、1884年に捧げられました。

その2年後に彼はバイエルン南部のシュタルンベルク湖で水死体となっているのが発見されますが、詳しい死因はいまだ解明されていません。

趣のある通り

新旧市庁舎の北側を東西にのびているマキシミリアン通り(Maximilianstraße)は、リンダウの目抜き通り。レストランやカフェ、お店などがずらりと並び、行きかう人も多くて活気にあふれています。

面白い形の屋根や階段状の破風、それぞれデザインの異なる出窓など建物のデザインも様々で、じっくり観察しながら歩くのが楽しい場所です。

こんな風にパステルカラーの建物が並んでいる所のほか、出窓がずらりと並んでいる静かな通りもあります。細い路地にも可愛い家があったりするので、あちこち探検して見ると楽しいですよ。

ボーデン湖で最古の教会

賑やかな通りから少し離れた場所にあるのはペータース教会(Peterskirche)。島およびボーデン湖における最古の教会で、かつて漁師(ドイツ語で「フィッシャー」)の守護聖人に捧げられていた事から「フィッシャー教会」とも呼ばれています。

内部にあるクリストの受難や聖母マリアの戴冠を描いたフレスコ画は、華やかさでこそ旧市庁舎に負けるものの、歴史の重みを感じさせる素晴らしい作品です。

教会のすぐ裏には、町の最盛期である14世紀に建てられたディープス塔(Diebsturm)が立っています。塔の内部にはかつて罪人が閉じ込められていたほか、35mの高さにある小屋は周囲の様子を見張るために使われていました。

教会から北へ少し歩くと、「ナレン・ブルネン(Narren Brunnen)」という泉があります。並んでいる像は、リンダウのカーニバルに登場する道化師たち。カーニバルは「ファッシング」や「ファスネット」とも呼ばれ、特に南西ドイツは伝統衣装とお面を身に着けた道化師が町を練り歩くことで有名です。

また教会や泉がある辺りはかつての城壁が残されていて、一部のみですが壁の上を歩くことができます。

ルイトポルト軍営

島の西側に広がるルイトポルト軍営(Luitpoldkaserne)は、20世紀初めに建設された軍駐屯地の跡地。当時使用されていた建物は、現在学校や研究所、病院、住居として使われています。

湖畔に面して建っているのは火薬塔(Pulverturm)。中世に建てられた当時は周囲を見張るために使用されていましたが、18世紀末からはここに火薬が保管されるようになりました。

周辺はちょっとした公園になっているので、天気のいい日はボーデン湖を眺めながら散歩してみるのも良いでしょう。公園の北は巨大な駐車場、逆に湖に沿って南へ歩いていけば、港やプロムナーデのある場所に出ます。

リンダウへのアクセス

リンダウへは電車、バス、車のほか、ボーデン湖の町からフェリーでアクセスもできます。

電車

島の西側に駅があり、駅を出るとすぐ港とプロムナーデが広がります。

各都市からリンダウへの所要時間は以下が目安です。

  • シュトゥットガルト:3時間半~4時間(乗り換え1~2回)
  • ミュンヘン:2時間半~3時間(直通またはブーフローエ乗り換え)
  • ブレゲンツ:10分(乗り換えなし)

シュトゥットガルトから来る場合は、どこを通るかによって乗り換えする場所も変わります。ウルムを経由する東ルートの場合はウルムとケンプテン、ボーデン湖沿いを走る場合はジンゲンとフリードリヒスハーフェンで乗り換えをする事が多いです。いずれにせよ、発車前に接続を確認するようにしましょう。

バス

格安バス会社のFlixbusがリンダウを各地を結んでいます。

各都市からの所要時間は以下の通りです。

  • ミュンヘン:2時間10分(乗り換えなし)
  • アウグスブルク:3時間(乗り換えなし)
  • シュトゥットガルト:6~6時間半(ミュンヘンまたはアウグスブルクで乗り換え)

ただバスが停まるのが旧市街のある島ではなく陸地のほうなので、そこから旧市街まで路線バスで行くのがちょっと大変です。どこに宿をとるかにもよりますが、大きなスースケースがあって旧市街(島)にホテルがある場合は、旧市街の真ん中まで行ってくれる電車を使った方が楽だと思います。

長距離バスのバス停があるのは「Berliner Platz」。ここから旧市街へ行くときは、まず3番のバス(Oberreitnau, Nord 行き)に乗り、「ZUP-Anheggerstr. 」という停留所まで行きます。

そこで1番のバスに乗り換え、終点の「Lindau Hbf」で降りてください。降りたところが中央駅、つまり港の目の前です。

旧市街には駐車場が数ヵ所あります。夏は結構混みますが、収容台数も多いのでどこかしら停められるはずです。島は小さいので、基本的にどこに停めても観光するには問題ありません。

私達が行った時は、島の北側にある「パークハウス・インゼルハレ(Parkhaus Inselhalle)」を利用しました。立体駐車場なので、特に夏で炎天下のなかに車を停めるのが嫌な方にはおすすめです。

また中央駅の西側には巨大な野外駐車場もあります。

フェリー

ボーデン湖の他の町からフェリーで向かうという方法もあります。眺めも良いので、天気が良ければちょっとしたクルーズ気分も楽しめますよ。

各町からの所要時間は以下の通りです。

  • コンスタンツ:3時間10分
  • メーアスブルク:2時間半
  • フリードリヒスハーフェン:1時間半
  • ブレゲンツ:20分

コンスタンツからの船はメーアスブルク、フリードリヒスハーフェンを経由してリンダウに到着します。その後リンダウを出航し、オーストリアのブレゲンツへ向かいます。

詳しくはフェリーを運航しているBSBのウェブサイトを参照してください。ページ下にある「more information」の部分をクリックすると時刻表、料金表をダウンロードできます。

おわりに

島の上にある美しい旧市街が、なんとも旅情をそそる町リンダウ。メーアスブルクほど見どころがある訳ではありませんが、ここならではの優雅な雰囲気が「大人の休日」みたいで、個人的にはとても好きな場所です。

町が発展した歴史を想像しながら、趣ある街並みをのんびり歩いてみてはいかがでしょうか。

本文でも少し触れましたが、時間が余ったら隣のブレゲンツまで行ってプフェンダー山を上ってみるのもおすすめです。「Bregenz Hafen」駅まで電車で10分、駅前からまっすぐに伸びているシラー通り(Schillerstraße)を150mほど歩くとロープウェイ乗り場があります。

ボーデン湖の上に島が浮いている様子が綺麗に見えるので、時間があればぜひ足を運んでみてください。

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