【出産レポート】陣痛開始から1時間!逆子だけど間に合わずに普通分娩した話

ドイツでの第一子出産は、逆子でありながら帝王切開が間に合わず普通分娩になりました。

在宅中にいきなり破水と陣痛が同時に来て、それから1時間後には産まれていたというスピード出産。

あまりない体験だと思うので、当時の様子をレポートします。

出産レポート

夜7時50分:自宅で破水&陣痛

シャワーを浴びて体を拭いていたら急にお腹を下した時の様な痛みがあり、「トイレ行かなきゃ」と思っていたらいきなり破水。

少し血も混ざっていたのに驚いて、半泣きになりながらよろよろと夫の部屋へ。破水したと言ったら夫もビックリ。そうこうしているうちに急にお腹が痛み出して、もはや立っていられないくらいの痛み。

以前検査入院の時に「今度何かあったらすぐ来て」といわれていたので、用意しておいた入院バッグを持って大急ぎで産院へ。

8時まえ:病院へ

産院までは車で20分。何度も痛みの波がきていたので、おそらく5分間隔を切っていたと思う。

痛みが強烈でうなる私を励ましながら安全運転を心がける夫。2月だったけど路面凍結はなく、混雑もしていなかったのが幸い。

「逆子で破水した場合、急がないと危ないことがある」みたいな記事を読んでいたので、とにかく不安。10ヶ月お腹の中で一緒にいたのにここでダメになってしまうのかと不安が襲ってきて、病院に着く頃には泣き出してしまう。

8時15分:病院到着

病院到着。入口にいた警備らしき女性に陣痛で来院したと伝え、歩けそうになかったので車椅子で分娩室のある階まで連れて行ってもらう。

夫は出産時の立会いが可能だけど、この時点ではコロナのこともあり入口で待機。

分娩室のあるエリアに着いて、病院付きのヘバメに事情を説明。まずコロナの簡易検査をしないといけないらしく、結果が出るまでノンストレステストをしながら待機。

待っている間に耐えられないほどの痛みが何度も襲ってきて、その度に誰もいない部屋で絶叫。痛みで手が震えだして、早くお腹切ってくれと心の中で切に願う。

8時30分:分娩室へ

コロナテストは陰性。ヘバメが来てエコーしながら子宮口のチェックをすると言うので、「まだそんなことするんですか!?」と言いながら別室へ。

痛みで支えがなければ歩けない状態。しかも歩くたびに羊水がパシャパシャと出るのでパニック。

「もうダメ!痛い痛い」と絶叫する私。ヘバメは「大丈夫大丈夫」なんて言っていたけれど、チェックしようと指を入れた途端にいきなり様子が変わり、大慌てで他のスタッフ達に助けを求めにいく(ほんとうにHife!Hilfe!って叫んでた)。

すぐに他のスタッフが数人きて、私は訳が分からないままベッドごと分娩室につれていかれる。着替える時間もなし。

「もう産まれるから!」と分娩台に移るよう指示されるけど、「え?帝王切開じゃないの?」とまたもや軽くパニック。この時点で何か説明があったかもしれないけど記憶にない。

痛みと戦いながらよろよろと分娩台に移り。四つん這いのような恰好に。

「つぎ波がきたらいきんで!」と言われいきんでみると、陣痛とはまた別にお股の部分が裂けそうで痛い。帝王切開だからいいやと何もケアしなかった事を、なぜか冷静に頭の中で後悔。
そうこうするうちに夫入室。手を握ってくれる。

難しい出産だからか医長(Chefarzt)も来て、ヘバメに何やら指示。

四つん這いのまま上半身を分娩台の背部分まで起こすよう指示されるけど、痛みでなかなか動けず。

波が来るたびに数回いきむけど、下が裂けていく感じの痛みがあり、怖くて思うように力が入らない。

またいきんだ所で何か出た感じがしたので、四つん這いのままお腹越しに下を見てみる。小さな足が片方だけ出ているのが見えて仰天。「早く出してあげなきゃ!」とお股が裂けようが関係なしに次の波で思いっきりいきむ。

後から聞いた話で、この時胎児の心拍数が数秒間止まって夫は頭の中が真っ白になったらしい。

2回くらいいきんだ所で息子誕生。陣痛が来てから1時間ちょっと、分娩室に入ってから30分で産まれる。

9時まえ:息子誕生

産まれたばかりの息子は、のろのろと少しだけ動いていて泣きはせず。生まれた瞬間「おぎゃー!」と泣くものと思っていたので、「あれ、泣かないんだ」と頭の中で考える。

つぎの瞬間いきなり上半身裸にされ、息子が胸の上に置かれてご対面。感動して絶対に泣くと思っていたけれど、やり切った感と疲れでそれどころではなかった。

「へその緒は誰が切る?」と聞かれたので、夫にお願いする。こういう話はしていなかったので、戸惑いながらもチョキンを切ってくれた。

すぐに赤ちゃんのU1検査が行われ、ビタミンKも与えられる。

夫、この様子を観察。息子の足が真っ青なのを見つけて聞いてみると、お腹の中でずっと足が下だったからで心配ないとの返事が返ってくる。

分娩台に残された私は、胎盤がでてくるまで待機。なかなか出てこないので排出を促す薬を飲み、ヘバメが何度かお腹を押したところで胎盤が出てくる。見てみたいか聞かれたので、見せてもらいながら「こっちがお腹側、、、」など説明してもらう。

その後、裂けた部分の縫合をしてもらう。麻酔の注射がちょっと痛い。

再び息子が胸元に連れてこられたので、抱っこしながら様子を観察。ここで初めて息子が少し泣いたので、なんとかあやしてみる。「しばらく体を休めてね」と言いながらヘバメ達が退室。

部屋に私達だけが残され、あらためて夫と喜びを分かち合う。

11時:病室へ

ヘバメ達が再び分娩室に入ってきて、病室に行くと言われる。

移動するため分娩台からベッドに自力で移る。もう自分で歩けた。

授乳してみるかと聞かれる。もうできるのかと思いながらおっぱいを息子の口にもっていくと、吸い付いたのでちょっと感動。

ベッドに乗ったまま病室まで移動。2人部屋にはすでにもう1人いる。

息子はタオルにくるまったままだったので、服を着せるために別室へ。夫もついて行く。

しばらくすると息子を乗せたベッドを押しながら夫が戻ってくる。時間も遅いので、少し話してから夫帰宅。

11時30分:いきなり息子と2人にされる

いきなり息子と2人だけにされ、何をしていいのか分からず。ちょうど別のヘバメが様子を見に来たので、正直に「なにすればいいんですか?」と聞く。

3時間ごとに授乳してといわれたので、そりあえずそれを意識。ヘトヘトなはずなのに目はものすごく冴えていて、一睡もできずに一晩を過ごす。

夫の立会いについて

コロナの感染対策として、出産に立ち会いできるのはパートナーのみ。

とはいえドイツ語が母語でなく意思疎通が難しい場合は、この限りではないということでした。

ちなみに帝王切開でも立ち合い可能で、当日は夫の立会いを予定していました。

立ち合いできたのは私が分娩室に入ってから。コロナの簡易テストで少し待たされたらしく、産まれる前に間に合って良かった。。。

夫に立ち会ってみてどうだった?と聞いてみたら、「すごく辛そうで可哀想だった(涙)けど、ヘバメの指示にしっかり従っていて偉いかった!Ich bin stolz auf dich!! (誇りに思うよ!)」と言ってもらえました。

今回の出産はとにかく運が良かった

息子が生まれたのは帝王切開予定日の10日前。普通分娩だった場合は予定日より3週間も前でした。

大急ぎで病院へ行ったにも関わらず、帝王切開に間に合わず普通分娩。少しでも遅れていたらどうなっていたか分かりません。

その点では夫のいる時間に自宅で破水し、すぐに病院へ行けたのでタイミングが良かったと思います。

2月だけど道に雪がなく、凍結や事故の通行止めがなかったのも幸い。

それに足からの出産で大きなトラブルがなかったのは本当に良かった!とはいえ後に首の問題が発生していまい、これについてはまた後日書こうと思います。

逆子の普通分娩でのリスクを改めて調べてみると骨折や低酸素症による後遺症など色々出てきて、これが息子に起こっていたかもしれないのかと怖くなりました。

ヘバメや周囲にも「運が良かった」と何度も言われました。

今回の出来事では無事に産まれる事が当たり前ではないんだなと身をもって感じたし、今日も元気な息子の姿を見られることに感謝しなければと思ったのでした。