モノクロトーンの街並みが美しいフロイデンベルクの中世マルクト

この記事は昨年(2017年)にフロイデンベルクの中世マルクトの様子を取材した際に執筆したものです。2018年の開催は10月20(土)、21(日)となります。

 

週末にフロイデンベルク(Freudenberg)という町で開催された中世マルクトへ行ってきました。ドイツへ来てから早5年以上経ちますが、中世マルクトへ行くのは実は初めて。それっぽいクリスマスマルクトなら何度かありますが・・・。

そしてマルクトが開かれたフロイデンベルクも、実は前々から行きたいと思っていた場所。ドイツでよく見るカラフルな旧市街とはひと味違った、モノクロトーンが印象的な町です。

そんなドイツでも珍しい風景が楽しめる町、フロイデンベルクの中世マルクトについてレポートします。

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中世マルクト

珍しいお店ばかり

中世マルクトというだけあり、普段のマルクトとは違った珍しいお店が並びます。中世衣装のお店やアクセサリーのお店、中世風の装飾がされたカップを扱うお店など様々。

中でも私が一目ぼれしてしまったのが、この中世風ドレス。色も好きだし腕部分の装飾も素敵。マルクト開催中ずっと気になっていて何度もお店の前を通り・・・。帰る前に試着してみたらものすごく可愛くて、見ていた周りの人たちにも好評だったので、いい気になって買ってしまいました!

ドイツでは夏になると各地で中世マルクトや騎士祭りみたいなのが開催されるので、私も来年からはこの衣装を着て参加しようと思います。今から楽しみすぎる・・・。

このお店では「はちみつワイン(ドイツ語では「Met メット」と言います) 」をはじめ、ベリーや花梨、ハーブなどから作られたお酒が売られています。色々試飲もさせてくれますが、どれもアルコールが11%くらいあるのでお酒の弱い方はすぐに酔っぱらってしまいそう。

そしてはちみつワインや果実酒を飲むのに使うのが、この角みたいな形をしたカップ。中世の衣装を身にまとった人たちはこのカップを腰のベルトにぶら下げていて、屋台で飲み物を注文する時もこのカップに注いでもらいます。カップが違うだけでもだいぶ中世の雰囲気が楽しめそうです。

皮製品を扱うお店では、皮でできた鎧みたいな物もありました。形からして女性ものだと思いますが、だいぶセクシーですね。ここのお店では皮のムチも売られていましたが、決して変なお店ではなかったですよ。

大道芸人のパフォーマンス

中世マルクト開催中は、大道芸人のパフォーマンスが何度かありました。マルクトが開かれている通りを彼らが練り歩き、途中で写真のような音楽と合わせた芸を披露していきます。

芸をするのは一番右に写っているお兄さんですが、失敗しても「歓声が足りないからだよ!」なんて言っていてとてもお茶目でした。

スコットランドの衣装をまとってバグパイプを抱えたおじさんも彼らの仲間。ドイツじゃないじゃん・・・という声も聞こえてきそうですが、細かいことを気にしてはいけません。夜のパフォーマンスで判明したのですが、彼は結構危険人物です。笑

食べ物・飲み物

マルクトには食べ物の屋台も沢山あり、あちこちから美味しそうな匂いが漂ってきます。これらが中世の食べ物なのかはよく分かりませんが、どれも美味しいのは確かです。

面白いのは、どのお店も「ユーロ」ではなく「ターラー」という中世に使われた通貨で値段を言っていたことでしょうか。

ジャガイモにハーブソースをかけた料理は、ホクホクのジャガイモがたまらん。

こんな大きなフライパンで作っていました。

肉を豪快にかじったり・・・。

一番のヒットは油で揚げた生地にニンニクソースをぬり、さらにチーズやネギをかけたこの料理。かなりカロリーが高そうですが、生地とソースの相性が抜群でした。

一見するとちょっと恐そうでしたが、話すとチャーミングで面白いこの2人が作っていました。

そして中世マルクトでぜひ飲みたいのが、先ほども紹介したはちみつワイン。左に写っているのがそのまま、右はチェリーのジュースと混ぜた物です。混ぜた方は甘くて飲みやすいのでグビグビ飲めてしまいます。

飲みやすいですが飲みすぎには注意。夜もすごいパフォーマンスがあるので、酔いつぶれている場合ではないのです!

夜もまたすごい

夜の町は昼間とはまた違った幻想的な雰囲気に包まれます。

さっきのワイン屋さんは、本物のロウソクが入ったランタンでライトアップ。

占いの館も雰囲気でていますね。

占いの館というより魔法使いの館みたい・・・と思っていたら他のお店には魔女がいてお店の人とお喋りしていました。

そして夜のハイライトは炎を使ったパフォーマンス。昼間と同じ大道芸人達が登場し、火がついた棒でジャグリングしたり、燃えている鎖を振り回したりとかなり迫力があります。

そんな中、例のバグパイプおじさんは観客に向かって炎を吐きまくるという危険行為。本当に目の前で炎を吐いていたので、かなり怖かったです。

炎のパフォーマンスが終わった後も、みんな陽気にお喋りをしたりお酒を飲んだり。マルクトが見渡せる場所にあるホテルに泊まったのですが、外からは11頃まで歌声が聞こえていました。

フロイデンベルクの街並み

中世マルクトが開催されたフロイデンベルクは、ドイツ西部ノルトライン・ヴェストファーレン州にある町です。フロイデンベルクという名前の町はいくつもあるので、行かれる方は切符を買う際など注意しましょう。

町の歴史

かつては丘の上に立つ城塞と集落が町を形作っていましたが、1540年と1666年に町は大火事に見舞われます。1回目の火事では町が全て焼失、2回目では1軒の家のみが残るという、どちらも大惨事だったのです。

城塞があった場所には現在教会が立っています。写真では真ん中より少し上に写っているのがその教会。2度目の火災の後は当時の領主により家々が再建されましたが、その際に残っていた城塞の資材を使ったため、城塞自体が立て直されることはありませんでした。

城塞の面影を唯一残すのが教会の塔。かつては牢獄として使用されていたこの塔を中心に教会が建てられたのです。

ちなみに2度目の火災で唯一残ったのが、ツーリストインフォメーションの隣にあるこの家。

こちらがツーリストインフォメーションです。

旧市街

旧市街では家同士がかなり狭い間隔で並んでいます。火事で火がすぐに広がってしまうのもこれで納得。しかも当時は藁など燃えやすい物を各家庭で貯蔵していたため、よけいに火が広がりやすかったようです。

今回ガイドさんに町を案内してもらったのですが、彼女曰く「観光で訪れるのは良いけれど住みたいと思う人は少ない」とのこと。

確かにバルコニーも庭もないし、隣人との距離もかなり近いですからね。隣人との関係が良好ならいいものの、そうでなければかなり面倒になりそうです。

夏など天気のいい日はこのような家と家との間にテーブルや椅子を出してくつろぎます。

バルコニーはありませんが、どの家にも地下室があるとのこと。昔はその地下室で山羊を飼ったりしていたのだそうです。かつてこの町に住んでいた人は貧しい人ばかりで、彼らは高級とされていた牛を飼う事ができないため山羊からミルクを得ていたのだそう。ガイドさんが言う様に「貧しい人のための牛=山羊」だったのです。

山羊のチーズなんて今となっては特別な物という感じですが、当時は貧しい人のための食糧だったと聞いてびっくり。

ひとつひとつの家をじっくり見てみると、白黒だけと思いきや所々で色が使われています。色付き木材はかつてはお金持ちの象徴でした。

ドイツカラーにペイントした家もありました。

町を見おろす公園

フロイデンベルクを上から見渡せる場所がKurparkという公園。小高い丘の上に公園が広がっていて、整然と並ぶ家々を眺めながら一休みできます。

ちょうど今の時期は木々も色づき始めてとても綺麗。

中世の民が暮らすテントもありました。マルクト期間中彼らは本当にここで寝泊まりしてるとのこと。夜とか結構寒そう。

ここから眺める街並みは、時間ごとに様々な顔を見せてくれます。

夕暮れ時の哀愁漂う街並みや・・・

清々しい朝の街並み。背後にかかる朝もやがまた幻想的です。

おわりに

フロイデンベルクの中世マルクトは思っていたより少し小さかったものの、白黒でペイントされた独特の街並みがマルクトに一層特別感を与えているという印象がありました。

町自体もシックで落ち着いた雰囲気が漂い、冒頭にも書いたようにドイツの他の旧市街とはひと味ちがう風景が楽しめます

最近では日本のメディアでも取り上げられるなどして、旅行好きな人の間ではじわじわ知名度も上がってきているフロイデンベルク。皆さんもドイツへ行かれる際にはぜひ訪れてみてください。

 

6 COMMENTS

谷部 陽子

フロイデンベルクは一度訪れてみたいと思っていました。
中世マルクトの時期に行けたらいいですね

Mops

谷部陽子さん
私も今回初めて訪れましたが、ドイツでも珍しい白黒の家々が整然と並ぶ姿はとても美しかったです。公共交通機関を使用する場合は乗り換えなどもあって少し面倒ですが、それでも行く価値はあると思いますよ。
中世マルクトは毎年10月半ばに土・日という2日間のみ開催されます。タイミングが合えばぜひ行かれてみてください。

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