フランクフルトから日帰りで行けるおすすめの町10選

ドイツ最大の国際空港や欧州各地をつなぐ電車が発着するなど、国際ターミナルとしての顔を持つフランクフルト。

日本からの直行便も飛んでいることから、フランクフルトからドイツの観光を始めたり、帰国前にフランクフルトに滞在するという方も多いのではないでしょうか。

またはフランクフルトに滞在しなが、ら周辺の町の観光を計画している方もいると思います。

フランクフルト周辺には電車で1時間ほどあれば行けてしまう素敵な場所が沢山あります。特に荷物が多い時などは、あちこち拠点を変えるよりもフランクフルトから日帰り旅行をするのがおすすめ。

そこで今回は、フランクフルトから1時間あれば行けてしまう距離にある町の中から、個人的に雰囲気が素敵だと思う10ヵ所を厳選。

町の見どころと一緒に紹介します。

フランクフルトから日帰り おすすめの町10選

ライン川観光の拠点リューデスハイム

フランクフルトからの日帰り旅行地としてまず紹介するのは、ライン川観光の拠点として観光客で賑わうリューデスハイム。

ワインの生産地として有名ですが、ドイツを代表するブランデー「アスバッハ」が生まれた地でもあります。素朴で可愛らしい雰囲気の旧市街には、ワインショップや地元産のワインが楽しめるレストランのほか、お土産屋さんも沢山並んでいてそぞろ歩きが楽しい町です。

この町で一番有名な場所が、「つぐみ横丁(ドロッセルガッセ)」という通り。昼間は観光客で賑わう通りも、朝の早い時間はしんと静まり返って別世界のようです。風情ある通りのあちこちにブドウのモチーフが隠れているので、ぜひ探してみてください。

時間に余裕があれば、ワイン畑の上を走るゴンドラでニーダーヴァルト記念碑まで行ってみましょう。

ニーダーヴァルト記念碑は普仏戦争後のドイツ帝国誕生を記念して1883年に完成した記念碑。一番上のゲルマニア像だけでも高さ12.5mとかなりの迫力があります。ゲルマニア像の土台あるレリーフに描かれているのは、ドイツ初代皇帝のヴィルヘルム1世のほかドイツ各地の将相たち。下から見るとあまり分かりませんが、人物像は等身大なんだそう。

記念碑のある場所は展望台にもなっていて、眼下に広がるのは雄大なライン川やぶどう畑の絶景。夏には青々とした葉が輝くほか、秋には畑が黄色一色に染まるなど、季節ごとに様々な表情を見せてくれます。

このほか、町を見学後にライン川クルーズをするのもおすすめ。リューデスハイムからザンクト・ゴアールまで1時間半ほど船に揺られながら、次々と現れる古城やローレライの眺めを楽しんでみてはいかがでしょうか。

フランクフルトからのアクセス

普通列車(RB10、Neuwied行き)で1時間10分

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「バラの町」エルトヴィレ

「バラの町」として知られるエルトヴィレ。初夏から秋にかけて町のあちこちでバラが咲き、木組みの街並みに優雅さを添える姿はとても素敵です。

エルトヴィレが「バラの町」となったきっかけは、1871年にカール・シュミットという人物が設立したバラの栽培学校。この学校で栽培された50万株ものバラは町のバラ園や城壁を彩ったほか、その美しさで大変な評判となります。それは当時のロシア皇帝も顧客に持つほどだったそうです。

やがてバラの栽培は学校にとどまらず、個人でも楽しまれるようになります。こんな風にして町のあちこちバラが植えられ、現在の街並みが作られたのでした。

選帝侯城の前に広がるバラ園は、バラのほか様々な花が咲き乱れるまさにパラダイスの様な空間。写真はイベント開催中の時に撮ったものでルター像が沢山いますが、普段のバラ園には彼らはいません。

木組みの家が並ぶ細い道の散策は、まるでメルヘンの世界に迷い込んだかのよう。町自体は小さく、滞在時間は2時間ほどで十分です。

フランクフルトからリューデスハイムへ行く電車が停車するので、リューデスハイムへ行く際にエルトヴィレに立ち寄ってみるのも良いと思います。

ちなみに、エルトヴィレからバス(172番)で15分ほどの場所には、映画「薔薇の名前」のロケ地でもあるエーバーバッハ修道院があります。アーチが美しいホールやバジリカ、回廊など、寂しさと美しさの混じった独特な魅力が修道院全体に満ち溢れ、かつてここで厳しい生活を送った修道士たちを懐かしんでいるかのよう。

フランクフルトからエルトヴィレへのアクセス

電車(RB10、Neuwied行き)で54分
エルトヴィレからリューデスハイムまでは電車で15分ほど

 

ロマネスク様式の大聖堂がシンボルのマインツ

ケルン、デュッセルドルフと並び、毎年派手なカーニバルが開催されることで有名なマインツ。宗教改革における追い風のひとつとなった活版印刷術を発明したグーテンベルクもマインツ出身です。

中世には司教座として発展したマインツでしたが、マインツ大司教は神聖ローマ帝国の君主を決める選挙権を与えられた7人の選帝侯のひとりでもありました。ライン川に架かる橋から見る町からは教会の塔がいくつも伸びていて、現在でも中世の面影が感じられます。

町のシンボルともいえる大聖堂は、ライン川沿いに建つロマネスク建築のなかでも最重要とされる建物のひとつ。内部ではどっしりとした柱から力強さ、高い天井のアーチからは優雅さを感じられます。

大聖堂の裏手にある「キルシュガルテン」は、木組みの家が並ぶエリア。つい入ってみたくなるような可愛いショップやカフェもあり、のんびり散策するにはもってこいです。

マインツにある教会のなかでも、多くの観光客を魅了しているのがシュテファン教会。シャガール作の青いステンドグラス教会内を青く染め、神秘的な空間を作り出しています。青い色にヒーリング効果があるのか、まるで海の中にいる様な気分でリラックスできますよ。

豪華絢爛な装飾のアウグスティーナ教会も、マインツでぜひ訪れたい教会のひとつです。

フランクフルトからのアクセス

電車(RE2、RE14、RE3、またはS8)で30分~40分

 

木組みの街並みが可愛いイトシュタイン

色とりどりの木組みの家が並ぶイトシュタインも、フランクフルトからぜひ訪れたい町のひとつ。町は1721年までナッサウ・イトシュタイン公により治められ、周辺地域の中心地として発展しました。

町に並ぶ木組みの家々は、主に15世紀から18世紀にかけて建てられたもの。中でもひときわ見事な装飾が施され、町で最も美しい建物と言われているのは1615年に建設されたキリンガーハウスです。

中には市立博物館と観光案内所が入っています。日本語で町の案内が書かれたパンフレットも置かれているので、観光の前に立ち寄ってみましょう。

ほかにもオレンジ色が鮮やかな市庁舎や傾いた青い家など、町の中にはまるでおもちゃ箱をひっくり返したかのような世界が広がります。

町のなかにひっそりと立っているユニオン教会の内装は、その小さな外観からは想像もできなほど壮観なもの。ここが祝賀の間と言われても信じてしまいそうです。

町のロゴに使用されるなど、イトシュタインのシンボル的存在であるのが「魔女の塔」。高さ42mの塔は普段は施錠されていますが、観光案内所で鍵を借りて塔の内部を上ることができます。

フランクフルトからのアクセス

電車(RE20、リンブルク行き)で36分

 

木組みの街並みで路地散策が楽しいリンブルク

イトシュタインからさらに北へ行くと、こちらもまた木組みの家が美しい町リンブルクにたどり着きます。数年前、ドイツでは自身の邸宅に3100万ユーロ(約41億円)を投じていたとある司教の贅沢ぶりが問題視されましたが、その司教が住んでいたのがこの町です。

旧市街には赤を基調とした木組みの家が並び、狭い路地では家々がこちらに迫ってくるかのよう。路地の中では方向感覚がつかみにくく迷子になったりもしますが、周囲の家並みが美しく、道に迷う事さえ楽しいと思えるほどです。

かつて魚市場があった事から、現在でも「フィッシュマルクト(魚市場)」と名付けられている一角。カフェの壁には大きな魚が誇らしく掲げられています。

丘の上で堂々とした姿を称えているのは、リンブルク大聖堂。設立は9世紀ごろではないかと言われていますが、はっきりしたことはまだ分かっていません。

すっきりとした開放感あふれる大聖堂内部では、いたるところに13世紀頃に描かれたフレスコ画を見ることができます。ドイツ各地にある大聖堂のなかでも、リンブルク大聖堂は太陽光を多く取り入れた明るい内部であるのが特徴です。

時間が許すのであれば、ラーン川にかかる橋まで足をのばしてみてください。川の背後に大聖堂がそびえる様子は、まるで古い絵葉書のような哀愁を帯びた美しさがあります。

フランクフルトからのアクセス

電車(RE20、RB22)で1時間~1時間10分

 

中世の趣がたっぷりのクロンベルク

フランクフルトの北西にあるクロンベルク。木組みの町が並ぶ旧市街やクロンベルク城、古城ホテルや野生のビーバーがいる公園など、小さいながらも見どころがぎゅっと詰まっている町です。

12世紀に城砦として建てられたクロンベルク城では、中世の趣が残る敷地内での散策を楽しみましょう。高さ44mの塔の上からは、天気が良ければはるか遠くにフランクフルトのスカイラインも望めます。

そしてクロンベルクでぜひ泊まってみたいのが、5つ星の古城ホテル「シュロスホテル・クロンベルク」。かつて夫であるドイツ皇帝フリードリヒ3世を亡くした妻ヴィクトリア妃のために建てられてたお城が、現在はホテルとして利用されています。

ホテル内では至る所にアンティーク家具や肖像画が飾られていて、まるで自分自身が城の主になった様な気分。レストランで頂くフランス風の料理は見た目も味も最高。きめ細やかなサービスも素晴らしく、優雅なひと時を過ごせます。

フランクフルトからのアクセス

電車(S4)で20分

 

グリム童話の世界にどっぷりと浸れるマールブルク

フランクフルトから北へ電車で1時間ほどのマールブルクは、「メルヘン街道」の町。

町にはグリム兄弟やグリム童話に関するスポット16ヶ所を結んだ「グリム兄弟の小道(Grimm-Dich-Pfad)」という散策コースがあり、コース上には「カエルの王様」に登場するカエルのオブジェや「白雪姫」の鏡などが隠されています。

「シンデレラ」の靴のように分かりやすいものもあれば、なかなか見つからないスポットも。コース通りに回れば町の見どころも一通り巡れるようになっているので、興味のある方はぜひチャレンジしてみてください。16ヵ所のスポットの詳細は町について紹介している記事「メルヘン街道の町マールブルクでグリム童話の主人公をさがせ!」を参考にしてください。

聖エリザベート教会はドイツ最古のゴシック教会のひとつ。エリザベートは13世紀を生きた女性で、わずか4歳でルートヴィヒ4世の婚約者としてハンガリーから嫁いできました。2人はテューリンゲンのヴァルトブルク城で暮らしますが、やがて夫が亡くなるとエリザベートは城を去り、マールブルクにたどり着きます。

彼女はこの地で貧しい人や病人の救済に身を捧げ、その後24歳という若さで亡くなりました。聖エリザベート教会のすぐ近くには、彼女が建てた病院の一部が残されています。

フランクフルトからのアクセス

電車(RE30、RE98など)で約1時間

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ユーゲントシュティールの聖地ダルムシュタット

ヨーロッパの世紀末芸術やフンデルトヴァッサーのファンなら訪れたいのがダルムシュタット。木組みの家こそないものの、町には19世紀からの大公国時代に建てられた優雅な建物が数多く残されています。

町の東にある「マチルダの丘」は、19世紀末から20世紀にかけて当時の大公エルンスト・ルートヴィヒがヨーロッパの名だたる芸術家を集めて作った芸術家村。丘の上にはヨゼフ・マリア・オルブリッヒ作の「結婚式の塔」やペーター・ベーレンスが建てた「ベーレンス・ハウス」など、ユーゲントシュティールの建築が並びます。

結婚式の塔はルートヴィヒ公とエレオノーレ妃の結婚を記念して建てられたもので、現在でもここで結婚式が行われます。塔の上からは町を一望できるほか、入り口のロマンチックなモザイク画も必見です。

町の中心から少し離れた場所にある「ヴァルトシュピラーレ」は、フンデルトヴァッサーが設計した集合住宅。2000年に完成しましたが、その直前にフンデルトヴァッサーが亡くなったため彼の遺作となりました。

カラフルや外観や玉ねぎ型の屋根は、まるでメルヘンの世界に登場するお城のよう。1000個以上ある窓は全て違う形をしているなど、細部までじっくり観察したくなるような建物です。

フランクフルトからのアクセス

電車(RE60、RB68など)で約20分

 

赤ひげ王の町ゲルンハウゼン

「赤ひげ王(バルバロッサ)」こと神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世により、1170年に築かれた町ゲルンハウゼン。フランクフルトとフルダを結ぶ交易ルート上にあったことから商人が定住し、13世紀にはフランクフルトに匹敵するほどの財力を抱え栄えた町です。

旧市街の見どころは、カラフルな木組みの家やガス灯風の街灯、とんがり屋根のマリエン教など。可愛らしい小道もいくつかあり、木組みの家を眺めながらのんびりと散策が楽しめます。

旧市街から少し離れた場所にあるのは、フリードリヒ1世が居城として造らせた建物の跡が残されています。町の成立とおなじ1170年に建設され、1180年にはこの場所で初となる帝国議会も開催されました。

建物は一部しか残されていませんが、そこからでも十分に当時の威厳が感じられます。2階や3階部分まで上って敷地全体を眺めてみるのもおすすめ。整備された庭がとても美しいです。

フランクフルトからのアクセス

電車(RE50、RB51など)で約40分

 

「若きヴェルテルの悩み」の舞台となったヴェッツラー

フランクフルトからドレスデンまで続く「ゲーテ街道」の町ヴェッツラ―は、文豪ゲーテ作「若きヴェルテルの悩み」の舞台となった場所です。

「若きヴェルテルの悩み」は失恋がもとで自殺した友人と、ゲーテ自身の失恋体験を題材にした物語。物語に登場するシャルロッテはゲーテが叶わぬ恋に落ちた人物であり、彼女が住んでいた家は「ロッテハウス」として公開されています。

シャルロッテの家は、かつてドイツ騎士団の館としても使用されていた立派な建物。彼女に夢中だった若かりしころのゲーテは、この場所に足しげく通っていたのでした。内部には当時の住まいが再現されているほか、各国言語で翻訳された「若きヴェルテルの悩み」の本も展示されています。

ほかにも大聖堂やライカ工場・博物館、失恋のためにピストル自殺を図ったゲーテの友人イェルザレムの家が、ヴェッツラーの見どころです。

またヴェッツラ―は「木組みの家街道」にも属していて、旧市街には保存状態の良い立派な木組みの家が数多く残されています。通りの両側にカラフルな家々が並ぶ様子は圧巻のひとこと。この町並みを見るだけでも訪れる価値は十分にあります。

フランクフルトからのアクセス

電車(RB40、RE99など)で1時間~1時間40分

 

フランクフルトからの日帰り旅行 紹介した町の地図

今回紹介した町は、フランクフルトから20分~1時間ほどで手軽に行けてしまうところばかり。

フランクフルトから日帰りで行こうと思えば、ローテンブルクやフランスのストラルブールも行けなくはありません。しかし公共交通機関を利用して行くと移動時間が長くなり、現地でのんびり散策できないという点で私としてはあまりお勧めできないので、今回はあえて紹介しませんでした。

またフランクフルト内での見どころ市内交通については「フランクフルト 基本情報と主要観光スポット」を参考にしてみてください。フランクフルトは見る物がないとよく言われますが、意外と観光スポットは多いですよ。

また紹介した町の位置関係は下の地図にある通りです。

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