ドイツ観光での人気アトラクションのひとつがライン川クルーズ。
リューデスハイムからコブレンツまで続く約65kmの区間は「ライン渓谷中流上部」として世界遺産に登録されいて、クルーズ船は雄大な流れにのりながらゆっくりと走っていきます。
目に飛び込んでくるのは、中世の雰囲気をたたえる古城や可愛らしい街並みなど、ドイツらしいロマンあふれる風景の数々。ゆったりと流れに身を任せながら、かつて多くの作家や芸術家の作品に影響を与えた風光明媚な眺めを楽しむのは至福のひと時です。
今回はそんなライン川クルーズでのおすすめ乗船区間や見どころ、途中で立ち寄ってみたいスポットを紹介します。
Contents
世界遺産に登録されているライン渓谷
ドイツでは「父なるライン」として親しまれているライン川。スイスのアルプスを源流に、フランスやドイツを北上して最終的にはオランダから北海に注ぎます。
ライン川は古くから重要な交易路や軍事拠点として利用され、ローマ時代にはローマ人が駐屯地として流域に数々の都市を建設しました。
ローマ人が築いた都市から発展した例が、現在のケルンやマインツ。これらの町には大体ローマ時代関連の博物館があり、遺跡や出土品といった展示を通して町のルーツや当時の暮らしぶりを知ることができます。
そしてさきほども紹介したように、リューデスハイムからコブレンツまで約65kmの区間は世界遺産。ライン川流域において最も風光明媚なパノラマが楽しめ、世界中からの旅行者を魅了しているエリアです。
流域ではワインの製造も盛んで、川沿いの斜面一面にブドウ畑が広がる様子もよく見かけます。ワイン好きの方なら、小さなワイナリーを巡りながらのワイン旅行もおすすめですよ。
おすすめの乗船区間
ライン川クルーズで私がおすすめする乗船区間は、リューデスハイムからザンクト・ゴアールまで。ラインシュタイン城やライヒェンシュタイン城をはじめとする古城や両斜面にひろがるぶどう畑、伝説のある岩ローレライなど、ライン川のハイライトばかりを集めた区間です。乗船時間は1時間45分ほど。
せっかくなので世界遺産に登録されている区間を全てクルーズしたいという方もいるかもしれませんが、リューデスハイムからコブレンツまでは約4時間の船旅。はじめのうちはお城など珍しくて楽しいですが、途中から絶対に飽きてきます。
私は何度か家族や友人とライン川クルーズをした事がありますが、リューデスハイムからザンクト・ゴアールまで1時間45分の船旅でも、最後の方は退屈してくるゲストが多かったです。彼らが言うには、城も確かにいいけど同じような景色ばかりだから飽きるとのこと。
チケット購入とお得な割引
クルーズ船を運航している会社はいくつかありますが、運行本数が多く利用しやすいのが「KD社」。クルーズ中は見どころごとにアナウンスが流れ、今見ている城やスポットがどんな場所なのかが分かって便利です。アナウンスは日本語もあり(便によってない場合もあります)。
チケットはクルーズ船の乗り場またはKD社のウェブサイトから購入可能です。船の出発直前とかでなければ、夏でも当日に乗り場で十分購入できます。ウェブサイトでは時刻表や料金も調べられるので、旅行計画を立てる際に参考にしてみてください。
参考までに、リューデスハイムからザンクト・ゴアールまでの料金は20,80€(2019年現在)。コブレンツまで行く場合は44,40€です。
またKD社はお得な割引も多いです。例えば4歳以下の子供は無料、4歳~13歳までは区間に関わらず6€で船に乗れます。27歳までの学生は学生証提示で50%、60歳以上の方には30%、当日が誕生日であれば50%の割引が適用されます。
さらにはドイツ鉄道のチケット提示で20%の割引も。クルーズ船乗り場のある町までは鉄道で行く方が多いと思うので、そのチケットで割引になるのはとても便利です。
ライン川クルーズのみどころ いくつもの古城とローレライ
ライン川クルーズの楽しみと言えば、やっぱり中世の雰囲気たっぷりの古城。ロマンティックな風貌のものから廃墟の様なものまで、次々と姿を現す古城は圧巻です。
これらの古城は中世に、ライン川を通行する船から通行料を徴収する税関や、防衛のための要塞として建てられたものがほとんど。現在では城博物館や古城ホテルとして使用されている所も多いです。
いくつもある古城のなかでも特に美しいのが、「ラインの宝石」とも称されるラインシュタイン城。19世紀にはプロイセンのフリードリヒ王子が夏の離宮として使用していたこともある、ロマンティックなお城です。
内部の城博物館やバラが咲く中庭のほか、中庭からの眺めも絶景。ちなみにラインシュタイン城は私達が結婚式を挙げた思い出の場所でもあります。
ラインシュタイン城の近くにあるのが、ライヒェンシュタイン城。こちらの城も博物館やホテルとして利用されています。ロマンティックなライヒェンシュタイン城とはまた違った、重厚な雰囲気をまとったお城です。
ピンクの壁が印象的なお城は、12世紀前半に建てられたシェーンブルク城。ライン川流域の他の古城と同様に、17世紀に発生したプファルツ継承戦争での破壊から復活を遂げたという過去があります。現在は古城ホテルになっていて、アンティーク調の家具でまとめられた部屋で優雅なひと時が過ごせます。
そしてライン川クルーズで忘れてはならないのが「ローレライ」。ただの岩にしか見えませんが、ローレライには「美しい川の妖精に見とれた船乗りがかじ取りを誤り、船ごと岩に衝突した」という伝説が残されています(伝説には様々なバリエーションあり)。
実際にこの区間は流れが早かったり、川底に大きな岩があったりして、かつては船の事故が多かったのだそう。そのことからやがて伝説が生まれ、今ではライン川観光のハイライトとして多くの旅行者が訪れる人気スポットになったのです。
ライン川クルーズでは他にもいくつか古城が登場しますが、全部挙げるとキリがないので紹介するのはここまで。今回紹介したのは、すべてリューデスハイムからザンクト・ゴアールまでの区間で見られるスポットです。
クルーズの途中に立ち寄りたいスポット
ここではライン川クルーズの船が停車する町から、途中下船して楽しめるスポットを紹介します。
KD社の船では、目的地までの途中で下船することも可能。下船する際は、忘れずにチケットにスタンプをついてもらってください。
ライン川観光の拠点リューデスハイム
ライン川観光の拠点として旅行者で賑わうリューデスハイム。ライン川下りをするためにこへ向かう方も多いと思いますが、町自体にも見どころは多いです。ブドウ畑に囲まれた町で、ワインショップも沢山。
左右にレストランやワインショップ、お土産物屋さんなどがひしめき合う「つぐみ横丁」は、この町を訪れるのであれば必ず足を運びたい場所。ワインの町らしく通りのあちこちにブドウのモチーフが描かれているので、ぜひ探してみてください。
時間に余裕があれば、ゴンドラに乗って丘の上にあるニーダーヴァルト記念碑まで行ってみるのもおすすめ。眼下に広がる広大なぶどう畑や悠々と流れるライン川を見れば、この地域が多くの人を惹きつけている理由が分かるはずです。
また、ニーダーヴァルト記念碑から隣町のアスマンズハウゼン方面へハイキングもできます。途中にいくるかある展望台からライン川の絶景が望め、私も何度もリピートするほど大好きな場所です。
アスマンズハウゼンへはリフトで降りることができますが、リフトからの眺めも最高。すぐ下にはぶどう畑が広がり、ライン川の対岸にはラインシュタイン城が見えます。アスマンズハウゼンからライン川クルーズの船に乗ることも可能です。
可愛い木組みの町バッハラッハ
ライン川の観光へ行く人に私が必ずおすすめするのが、バッハラッハという小さな町。ローマ神話に登場するワインの神「バッカス」が町の名前になっているという、素敵な由来のある町です。
可愛らしい木組みの家が並ぶ通りはメルヘンそのもの。旅行者で賑わうリューデスハイムに比べると人の数も減り、美しい街並みを眺めながらのんびりと散策が楽しめます。
町の裏の丘に広がるぶどう畑は、11月頃になると色づいた葉っぱが黄金のように輝いてロマンチック。
ぶどう畑の上まで上るとライン川が見渡せます。坂は結構急で、しかも夏は日差しがかなり強いので、ここまでたどり着くのは体力勝負。上につく頃にはヘトヘトになりますが、行くだけの価値はあります。
またバッハラッハの山の上には古城「シュターレック城」を改装したユースホステルがあります。ドイツで最も美しいと言われているユースホステルで、私も以前宿泊したことがあるのです。
ユースホステルなので部屋自体にロマンさはありませんが、間近で見るお城は中世の雰囲気たっぷり。山の上にあるので、部屋やテラスからライン川の素晴らしい眺望が楽しめます。
ライン川の雄大なカーブが見える展望台
最後に紹介するのは、大きくUの字にカーブするライン川が見渡せる「ゲデオンズエック」という展望台。もしリューデスハイムからコブレンツまで船に乗るのであれば、気分転換も兼ねてぜひここで途中下船してみてください。
ザンクト・ゴアールからさらに1時間ほど船で走り、ボッパルトという町からリフトで展望台へ向かいます。ちなみに、ここからさらに1時間半くらいでコブレンツに到着。コブレンツ方面からだと所要時間は2時間ほどです。
展望台から見えるのは、これまで紹介してきたものとはまた違うライン川の大パノラマ。大きくカーブするライン川や対岸の町、斜面のブドウ畑がよく見渡せ、とっても気持ちがいいです。
展望台にはカフェがあり、テラスで絶景を眺めながら食事やお茶ができます。場所柄か風が結構強いので、髪の長い方はヘアゴムを持って行くと便利です。
おわりに
ゆったりと船に揺られながら、中世の古城や風光明媚な眺めが楽しめるライン川クルーズ。フランクフルトやケルンから日帰りで楽しんでも良いですし、川沿いの町や古城ホテルに宿泊しながら数日かけて川を下るのも素敵ですよ。
紹介した学割やシニア割、ドイツ鉄道チケット提示での割引はかなりお得だと思うので、行かれる方はぜひ覚えておいて利用してみてください。
ライン川は本当に素晴らしい眺望が多く、この投稿を書きながら私もまた再訪したくなりました。また機会があれば、周辺の町や古城をじっくりと巡ってみたいものです。
またフランクフルトやケルン発の現地ツアーでは、ライン川クルーズとハイデルベルク観光、ワインの試飲などを合わせたツアーがあります。移動には専属の運転手がついてくれるので、効率よくあちこち観光したい方にはおすすめです。
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