ドイツの首都ベルリンから100kmほど南東にある自然豊かな森シュプレーヴァルト(Spreewald)では、「カーン」と呼ばれる小舟に乗って水路めぐりが楽しめます。
木漏れ日が差し込む水の上をゆっくり進みながら、自然の中に身をゆだねる癒しのひととき。ベルリンから1時間ほどで来れるので、都会の観光に疲れた方や自然の中で1日ゆっくり過ごしたいという方は行く価値ありです。
今回はそんなシュプレーヴァルトから、拠点となる町リュベナウへのアクセス方法やカーンの乗り方、私が実際に体験してみた2時間の運河めぐりの様子を紹介します。
Contents
緑豊かなシュプレーヴァルト
シュプレーヴァルトを特徴づけているのが、冒頭でも紹介した森の中を走る水路。シュプレー川の支流である水路が迷路のように走り、ここに住む人々の移動手段として生活に密接に関わっています。
場所によっては、郵便配達に小舟が使われているなんてところも。
そして植物や昆虫、動物が多様な生態系をつくりだす緑豊かな森は、1991年からはユネスコ生物圏保護区に指定されています。水路巡りでは、運が良ければビーバーやカワセミ、シカなどが姿を見せてくれるかもしれません。
またシュプレーヴァルトは、少数民族のソルブ人が住んでいる地域としても知られています。ソルブ人とは6世紀~10世紀にかけて中央ヨーロッパのカルパチア山脈北部から現在のドイツ東部に移住してきた、スラブ系民族の子孫。
古来から独自の伝統を着々と受け継ぎ、民族衣装と美しい模様が描かれたイースターエッグは特に有名です。
シュプレーヴァルトへの行き方
シュプレーヴァルド観光の拠点となる町はリュベナウ(Lübbenau)で、カーン乗り場もここにあります。ベルリン中央駅からはコトブス(Cottbus)行きの列車に乗り、所要時間は約1時間です。
リュベナウについたら駅前にまっすぐ伸びるポスト通り(Poststraße)をひたすら進むと、10分ほどで町の中心に出ます。
カーン乗り場は2ヵ所あり、大きい方の乗り場「Großer Spreewaldhafen」へ行くにはポスト通りと交差するエーム=ヴェルク通り(Ehm-Welk-Straße)を右折、200mほど進んでダム通り(Dammstraße)でまた右折する乗り場が見えてきます。
小さいほうの乗り場 「Am Spreeschlößchen」へは、エーム=ヴェルク通りを少し歩いたところにあるシュプレー通り(Spreestraße)で左折して200mほど進みます。
シュプレー通りにはこんな風に標識もあるので、迷子にはならないはず。道に迷ってしまったら通りにあるお店などで、乗り場がどこにあるか尋ねても良いでしょう。
小舟「カーン」の乗り方
コースと料金
カーンでの水路巡りにはいくつかのコースがあります。一番短い2時間のコースは料金12€、一番長いコースは所要時間10時間で料金は30€です。運営会社がいくつかありますが、どこも大体こんな感じでした。
コースによっては途中で1~3回村などに上陸し、観光する時間が設けられています。
サクッと水路巡りを体験したいのであれば2時間のコースで十分。人気があるのは2~4時間のコースだそうです。
乗船方法
公式には10時からカーンは営業しているものの、出発時刻は決まっておらず、人数が集まったら出発するシステムです。なので人があまり来ないような平日の朝に行ったりすると、人数が揃うまで結構待つことになります(私がそうでした)。
またどのコースになるかも、そのとき集まった人たちの希望次第。人がたくさん集まっている時はそれぞれ好きなコースに分かれればいいですが、人数が限られている時は希望通りにならない可能性もあります。
船着き場には船頭さんが何人かいるので、カーンに乗りたいと直接申し込みます。すると「今日は○時間のコースになりそうだよ」と教えてくれるので、それでOKなら人数が揃うまでその場で待機。
1艘に乗船できるのは最大で約20人。人が集まったらいよいよ出発し、料金は乗船後に船頭さんに支払います。
2時間の運河めぐりの様子
カーンは船頭が長さ4mほどある棒で川底を突くことによって前進します。港を出発してしばらくはカヌーレンタルや住宅があるエリアを走り、その後はしだいに森の奥へ。
木々の木漏れ日が優しく差し込む森の中では、あちこちから鳥のさえずりが聞こえてきます。
船頭さんは船を進めながらこの地域の歴史や文化、各所での見どころなどを説明してくれ、話し方もユーモアたっぷりでとても楽しいです。
ただドイツ語が分からないと何を言っているか理解できないのが残念なところ。ドイツ語が分からない方は、目の前に広がる景色にひたすら集中しましょう!
カメラのシャッター音さえためらわれるほど静かな森で、音もなく進んでいくカーン。なんだか自分も森の一部になったみたいで、とてもリラックスした気分になれますよ。
川の深さは1.5mくらいだそう。水草がゆらゆら揺れている間を、ときどき魚が泳いでいきます。あとは水面でヘビが泳いでいることも。
水辺で休んでいるカモがあちこちにいるほか、ビーバーの巣も何ヵ所かあり、通りすぎるたびに「あそこにビーバーの巣があるよ!」と教えてもらえます。
カワセミが飛んでいく姿も見えたのですが、あっという間に飛び去ってしまってカメラに納めることはできませんでした。
途中で喉が渇いたら、船頭さんから飲み物を購入する事も可能。
ビールやソフトドリンクのほか、この地名物であるピクルス液入りビールなんて面白い飲み物もあります。あまり美味しそうではありませんが、記念に試してみる価値はあるかもしれません。
森の中を抜けて、カーンは再び住宅のあるエリアへ。庭に船着き場がある様子からも、ここに水路が生活の一部だという事がよくわかりますね。
自然の中でたっぷり癒されて、2時間のコースは終了です。
シュプレーヴァルト そのほかの見どころ
のんびりとした町の散策
水路巡りの後は、リュベナウの町を散策するのもおすすめ。小さな町でありながらカフェや雑貨店、お土産物屋さんが並び、のんびりとした空気が流れています。
夏にはゼラニウムがベランダを彩り、とてもキュート。ベランダに飾られたゼラニウムは、夏のドイツを象徴する風景のひとつとも言えるでしょう。
とあるレストランの店先では、たわわに実ったブドウが。
歩き疲れたら糖分補給はいかがでしょうか。
エーム=ヴェルク通り沿いにある「Cafe Fontane」にはカフェメニューからがっつり肉料理まで揃っていて、テラス席で休憩がてらのんびり食事ができます。
Cafe Fontane
住所 | |
営業時間 | 15:00~23:00(火)
11:30~23:00(水~土) 11:30~18:00(日) |
休業 | 月曜 |
ウェブサイト | http://www.cafe-fontane.de/ |
シュプレーヴァルト博物館
町の西端にはシュプレーヴァルト博物館(Spreewald Museum)があり、19世紀にこの地域でどんな暮らしが営まれていたかを知ることができます。
ちなみに、アーチ型をした門の中にはホッキョククジラの顎の骨が架けられていて、こちらも必見。骨は18世紀にとあるハンブルクの商人が、故郷であるこの町に贈ったものだそうです。
館内ではパン屋や肉屋などが忠実に再現されていて、本当に19世紀の町に迷い込んだかのよう。説明はほとんどがドイツ語ですが、読めなくても展示だけでじゅうぶん理解できます。
こちらは皮製品のお店。私達にすれば、何を見てもレトロですね。
ソルブ人の民族衣装も展示されています。南ドイツに伝わるディアンドルとはまた異なる、柔らかい雰囲気の民族衣装です。
かつてリュベナウや他の町を結んでいた機関車は、「コトブス」という名前で親しまれていました。出力は148PSと現代の自動車くらいしかなく、最高時速も35kmとかなりゆっくりだったみたいです。
シュプレーヴァルト博物館(Spreewald Museum Lübbenau)
住所 | Topfmarkt 12, 03222 Lübbenau |
開館時間 | 10:00~18:00(3月30日~10月31日)
12:00~16:00(11月1日~3月29日) |
休館 | 月曜 |
ウェブサイト | Spreewald Museum Lübbenau |
名物ピクルス
シュプレーヴァルトに来たら食べてみたいのが、この地域名物であるキュウリのピクルス。肥沃な土壌と長い日照時間がキュウリの栽培に適している事から、ピクルス生産が盛んに行われています。
映画『グッバイ・レーニン!』では主人公が母親のために旧東ドイツのピクルス瓶を探すシーンがありますが、そのピクルスもシュプレーヴァルト産のものです。
カーンでの運河巡りでは、コースによってはピクルス売りをしている場所に寄ることもあります。リュベナウではカーン乗り場の近くや通り沿いに購入できるお店があるほか、レストランやカフェでも食べられる所があります。
また、周辺地域のスーパーでも購入可能。
カーンの船頭さんによると、「シュプレーヴァルトのキュウリ(Spreewälder Gurken)」はこの地で作られたものだけど、「シュプレーヴァルト風キュウリ(Gurken spreewälder Art)」とあるのは似せて作っただけだから気をつけてね!とのことです。
本物のシュプレーヴァルト産ピクルス!
紹介した場所の地図
①リュベナウの駅 ②カーン乗り場(大きい方の港) ③カーン乗り場(小さな方の港) ④Cafe Fontane ⑤シュプレーヴァルト博物館
おわりに
緑豊かな自然をめいっぱい感じられる、カーンでの水路巡り。
のんびりと船に揺られながら森の中を進んでいくのは本当に気持ちがいいので、ベルリンに滞在予定の方はぜひシュプレーヴァルトまで足をのばしてみてください。
またカーンの他にカヌーのレンタルもあり、自分のペースで水路を散策したいという方にはこちらがおすすめ。船に乗らず、徒歩で川沿いの散策もできます。
今回紹介したリュベナウまでは、ベルリンから電車で1時間。刺激たっぷりのベルリンから1日だけ抜け出して、大自然の中に身を任せてみるのもなかなか良いものですよ!
私がホテル予約する時にいつも使っているサイトがBooking.com。
登録されている宿泊施設が150万件とトップクラスで、様々な条件から自分に合う宿を見つけられます。オンラインで予約・変更・キャンセルの管理がしやすいのも特徴。
[afbtn href=”ボタンのURL” class=”raised accent-bc strong”]» 公式サイトを見る[/afbtn]
年会費無料なのに海外旅行保険が自動付帯しているエポスカード。無料のクレジットカードのなかでは補償内容がトップクラスなので、持っていて損はありません。
最短で即日発行。Visaブランドで、海外でも使い勝手がかなり良いです。
[afbtn href=”ボタンのURL” class=”raised accent-bc strong”]» 公式サイトを見る[/afbtn]
VELTRAでは海外現地ツアーの予約が日本語でできます。
自力で行くのが不安なスポットも、ツアーなら便利だし安心。様々なツアーがあるので、見ているだけでも面白いですよ。
[afbtn href=”ボタンのURL” class=”raised accent-bc strong”]» 公式サイトを見る[/afbtn]