ハルツ地方の古都ゴスラーのクリスマスマーケット

日本ではまだあまり知られていない、小さくて可愛い町が点在するハルツ地方。クリスマスの時期はそれぞれの町でクリスマスマーケットが開催され、趣のある街並みが一層輝くときでもあります。

そんなハルツ地方から今回紹介するのは、古都ゴスラーで開催されるクリスマスマーケット。

普段は銀色に輝く街並みがこの時期ばかりは優しいオレンジの光に包まれ、訪れる者を幻想的な世界へ。大都市とはまた違う、小ぢんまりとしながらも趣のあるクリスマスマーケットが楽しめます。

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銀の採掘で繁栄した古都ゴスラー

ゴスラーは近郊のランメルスベルク鉱山で968年から始まった銀の採掘によって栄えた町。1050年には神聖ローマ皇帝ハインリヒ3世がこの地に居城を築き、その後は帝国における重要都市、また自由都市そしてハンザ同盟の一員として栄華を極めました。

かつての繁栄を現代へと語り継ぐのは、皇帝居城「カイザープファルツ」のほか豪華な装飾がなされた建物の数々。ドイツの旧市街といえばカラフルな木組みの家というイメージですが、ゴスラーの街並みは銀色に輝き、皇帝都市の威厳も感じさせる落ち着いた雰囲気が特徴です。

この町を繁栄へと導いたランメルスベルク鉱山は、鉱山や関連する町の歴史を伝える博物館として公開されています。中世や20世紀などテーマに分かれたガイドツアーでは実際に鉱山の中を見学。当時の労働環境についての話を聞けたり、実際に器械を動かす様子を観れたりとかなり興味深い内容です。

ガイドツアーの様子は「世界遺産ランメルスベルク鉱山の坑道ツアー」でレポートしているので、気になる方は読んでみてください。

マルクト広場のクリスマスマーケット

クリスマスマーケットのメイン会場となるのがマルクト広場。市庁舎やオレンジ色の壁が印象的なカイザーヴォルトなど歴史ある建物に囲まれた広場が、クリスマスの時期には幻想的な空間へと変貌を遂げます。

イルミネーションの派手さはありませんが、背景となる町並みとよく調和しているという印象。

広場の中央に鎮座するのは、黄金に輝く「帝国の鷲」。よく見ると赤いサンタの帽子を被っていて、クリスマス風におめかししています。

マルクト広場ではクリスマスグッズや手工業品を扱うお店がならぶなか、特に木工製品の多さが際立っていました。木製の食器は手触りも滑らかで使いやすそう。木の温もりが感じられ、食卓の雰囲気もがらりと変えてくれそうです。

またハルツ地方名産のシュナップス(蒸留酒)やソーセージ類を扱う店も軒を連ねてました。ソーセージは鹿肉やイノシシ肉といった獣肉系のものもあるので、気になる方は挑戦してみては?

食べ物で面白いと思ったのが「カイザーターラー」という名の小さなパンケーキ。訳すと「皇帝の貨幣」という意味で、この町にかつて神聖ローマ皇帝の居城があった歴史をうまく関連付けています。確かに見た目は金貨のよう。

溶かしバターを粉砂糖をかけたノーマルバージョンのほか、ヌテラやエッグリキュール、さくらんぼソースなどトッピングの種類も豊富。普通のパンケーキよりもふんわり感があって、特に熱々のうちは病みつきになる美味しさでした。

さらに仕掛け時計のある建物の左側には光のトンネルがあり、通り抜けた先にも食べ物・飲み物のお店が何件かあります。

ツリーの前で輝く「I♡GOSLAR」は撮影スポットとして大人気。歴史情緒ある街並みの一角にこのような現代味のある物が置かれているところが、また面白くもあったのでした。

メルヘンチックな「クリスマスの森」

市庁舎の北側を通るマルクト通り沿いには、この時期限定で人口の森が造られています。約50本の木々がそそり立つ森。周囲の喧騒からも遮断され、ここが町の真ん中だということを忘れてしまいそうなくらい静かな空間です。

夜になるとこれらの木々に数えきれないほどの光が灯ります。森全体がキラキラ輝く様子はまさにメルヘン。

森から出た所にはちょっと怖いサンタたちが上からこちらをじーっと伺っています。なんだかメルヘンの世界から一気にまた別の世界に引き込まれた気分。

写真では暗くて分かりにくいですが、グリューワイン屋さんの隣がマルクト通り沿いの入り口。なかにも食べ物や飲み物のお店があり、グリューワインを片手に森の中でホッと一息つくのも良いですよ。

マルクト教会からクリスマスの町を望む

マルクト通り沿いに建つ教会の塔から、クリスマスに染まった町並みを望むのもおすすめ。塔の営業時間は通常17時までですが、クリスマスの時期は19時まで延長されるので美しい夜景をゆっくり楽しめます。

232段の階段を上ってたどり着いた展望台は、高さ66m。ここからはマルクト広場はもちろん、旧市街の外れにある皇帝居城などもよく見渡せます。上から眺める町並みは、オレンジの光に包まれて何とも優しい雰囲気。

光の帯が放射状に広がっているのがマルクト広場。クリスマスマーケットがない時期は、色の違う石畳で放射状の模様が描かれている様子が観察できますよ。

広場から視線を左下に移すと、さきほど紹介した「クリスマスの森」が見えます。こうして上から眺めるとここだけ輝きが際立っていました。

教会脇の木で煌めくのは「ヘルンフートの星」。この星はイエスの誕生を知らせたベツヘルムの星を象徴していて、ドレスデンをはじめとする東ドイツ地域で特に親しまれているクリスマスオーナメントのひとつです。

2018年の開催期間

クリスマスマーケット、クリスマスの森ともに開催期間は11月28日から12月30日まで。

クリスマス前にクリスマスマーケットが終了する町が多いなか、ゴスラーは開催期間が長めとなっています。

営業時間は以下の通り。

  • 10:00~20:00(月~土)
  • 11:00~20:00(日)

クリスマスの森はそれぞれ22:00まで営業しています。

またクリスマスイブやクリスマス当日、最終日は時間が短縮されるので注意が必要です。

  • 11:00~14:00(12月24日)
  • 12:00~19:00(12月25、26日)
  • 10:00~18:00(12月30日)

ゴスラーへのアクセス

ゴスラーがあるのはドイツ中心部よりもやや北にあるハルツ地方。周辺の大きな町としては、電車で1時間ほどの場所にハノーファーがります。

電車の場合、フランクフルトからはゲッティンゲン乗り換えで3時間、またはヒルデスハイムで乗り換えて3時間半。

ベルリンからはブランシュヴァイク乗り換えで2時間40分、ハノーファー乗り換えで3時間がめやすです。

ハルツ地方にはほかにも美しい町や大自然を満喫できるハイキングコース、北ドイツ最高峰のブロッケンなど見どころも沢山。時間が許すのであれば、どこかの町に連泊してこの地域の魅力をたっぷり味わってみてください。

ハルツ地方の魅力には別記事「日本ではまだまだ無名なハルツ地方は可愛い町の宝庫!主な町と見どころを紹介します」で詳しく紹介しています。

おわりに

ハルツ地方の町ゴスラーのクリスマスマーケット。大都市のような派手さはない一方、やわらかな光に包まれた町の中で、歴史情緒あふれる幻想的なクリスマスが繰り広げられます。

こじんまりとしたクリスマスマーケットですがその分混雑も少ないのが良いところ。ゴスラーの旧市街やクリスマスマーケットがもつ本来の魅力を存分に体験できるでしょう。

教会の塔から望む街並みも一見の価値あり。足腰に自信のある方はぜひ上ってみてください。

 

協力:ドイツ観光局

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