日本ではまだまだ無名なハルツ地方は可愛い町の宝庫!主な町と見どころを紹介します

ドイツのほぼ真ん中に位置するハルツ地方。

ハルツ地方」という名前を聞いた事のある人はあまり多くないと思いますが、ここには北ドイツで一番高い山「ブロッケ」をはじめ、山の周囲には個性的で可愛らしい町がいくつも点在しています。

可愛らしい木組みの家や歴史あふれる街並み、絵本に出てくる様な市庁舎など見どころ満載で、私も大好きな場所のひとつ。しかし残念ながら日本での知名度はかなり低く、ドイツ各地を巡るツアーでも取り扱われることはほとんどありません。

という訳で今回はそんなハルツ地方の魅力を皆さんにお伝えすべく、主な観光地や見どころを紹介します。

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魔女伝説が残るハルツ地方

ドイツ中央に広がるハルツ山地は古くから「魔女の住む山」として語り継がれてきました。年に1度、4月30日の夜には魔女たちがブロッケンの山頂に集まって宴会を開くと言われ、この「魔女の宴会(Walpurgisnacht)」のシーンはゲーテの「ファウスト」にも描かれています。

そんな魔女との繋がりが深いハルツ地方。ふもとの町には幸運を呼ぶと言われている魔女の人形のほか、お土産のいたるところに魔女の姿が見られます。今となっては「怖い」というより親しみのある存在として受け入れられている魔女ですが、中世では邪悪な存在とされ、無実の人々が「魔女」と決めつけられて「魔女狩り」や「魔女裁判」の犠牲になったという過去もあるのです。

かつては東西ドイツの国境が引かれて近づくことが出来ませんでしたが、現在のハルツ山地は「ハルツ国立公園」に指定され、多くの人がハイキングやブロッケンの登山、冬ならスキーと言ったアクティビティを楽しみます。

北ドイツで一番高い山ブロッケン

ブロッケンは北ドイツで一番高い山ですが、標高は1,141mとそこまで高いわけではありません。ドイツで最も高い山はオーストリアとの国境にあるツークシュピッツェ。こちらは標高2,962mとなり、ブロッケンはその半分にも及ばないのです。

実際にブロッケンを遠くから見ても、山というよりは「大きな丘」という表現の方がしっくりきます。

そこまで高くはないものの、特にドイツ北部に住む人々にとっては、わざわざ南のアルプスまで行かずとも山でのアクティビティが楽しめる貴重な場所であるのは確か。北ドイツに限らず各地から多くの人が登山やハイキング目的で訪れます。

そんなブロッケンには、山頂を目指すものや町から町へ巡るものなど、ハイキングコースが距離や難易度別にいくつも用意されています

私達も2017年の夏に、ハインリヒ・ハイネが通ったとされる11kmのコースでブロッケン山頂まで目指しました。コースの序盤は川のせせらぎを聞きながら森の中を歩いていきますが、しだいに傾斜が急になり、終盤は前に進むのがかなりきつかったです。約3時間半かけて頂上へ着いたときの達成感と、そこから見えた美しい景色は感動ものです。

ブロッケン山頂へはSL(ハルツ狭軌鉄道)でも行くことが出来ます。実は登山以前にも1人で訪れた事があり、その際は往復SLで移動しました。SLはこの後で紹介する町ヴェルニゲローデから発車し、いくつかの駅で停車しながらブロッケン山頂を目指します。

木組みの家が可愛いヴェルニゲローデ

ブロッケンの東に位置するヴェルニゲローデ(Wernigerode)。ここでぜひ訪れたいのが、町のシンボル的存在でもあるとんがり屋根の市庁舎です。まるで絵本の世界から飛び出してきたような可愛い市庁舎で、これを見るためにこの町を訪れるという人もいるほど。実は私もそんな1人でした。こんなに可愛い市庁舎が実際にあるなんて、なんだか信じられませんよね。

市庁舎以外にも、旧市街には町で一番小さな家「クラインステ・ハウス」をはじめ、色とりどりの木組みの家が沢山並んでいます。

また町を見下ろす山の上には「ヴェルニゲローデ城」が堂々と建っています。12世紀に建てられ、その雰囲気から「ラプンツェルが住んでいた城のモデル」と囁かれているメルヘンチックなお城です。

城の中で見逃してはならないのが、荘厳な雰囲気の漂う「祝祭の間」。他にもプロイセンのヴィルヘルム1世をはじめとする高貴な客人が宿泊した「王の間」や、陶器の壺やお皿が飾られている「陶器の間」など、それぞれ趣の異なる部屋がいくつもあります。

クヴェトリンブルクはドイツ発祥の地

ヴェルニゲローデからさらに東へ30kmほどの場所にあるのが、世界遺産にも登録されているクヴェトリンブルク(Quedlinburg)という町。ドイツ初代の王となるハインリヒ1世がこの地に王国の基礎を築いたことから「ドイツ発祥の地」とも言われています。

旧市街には1300以上もの木組みの家が残されており、中世の面影が色濃く残っています。ドイツには第二次大戦で破壊された町も多いですが、クヴェトリンブルクは戦禍を逃れたことから、これらの街並みも昔と変わらないまま。観光客もそこまで多くないので、のんびり町歩きが楽しめます

ハインリヒ1世が居城として町の南西に築いた城のテラスは、バラ園やハーブ園などから成る空中庭園。

テラスからはクヴェトリンブルクが一望でき、眼下にはオレンジで統一された屋根が並びます。

ゴスラーの落ち着いた街並み

11世紀に皇帝都市として栄えたゴスラー(Goslar)。これまで紹介した町はカラフルで可愛い町並みばかりでしたが、ゴスラーでは色味がぐっと抑えられ、街全体もどこか落ち着いた雰囲気であるのが特徴です。

マルクト広場の真ん中には黄金の鷹が乗っている噴水があり、その背後の建物にある仕掛け時計では、この町を発展に導いたランメルスベルク鉱山での様子を人形たちが演じます。

そのランメルスベルク鉱山では10世紀から1988年まで銀や鉛、銅が産出され、ゴスラーの町を繁栄に導きました。施設は博物館になっていて、かつての坑道をガイドツアーでまわる事ができます。ツアーは4種類あり、20世紀の坑道を見学するツアーではなんと当時使用していたトロッコにのって坑道の中へ!採掘現場の厳しい労働環境などがよく分かってかなり興味深いです。

ちなみにクヴェトリンブルクと同様、ゴスラーの旧市街も「ランメルスベルク鉱山、歴史都市ゴスラーとオーバーハルツ水利管理システム」として世界遺産に登録されています。

宿泊はヴェルニゲローデがおすすめ

ハルツ地方に滞在するのであれば、おすすめの町はヴェルニゲローデ。ゴスラーとクヴェトリンブルクの間に位置しているので、あちこち回るのに最適です。

それにブロッケン山頂へいくSLもこの町から発車するので、混雑しない朝一のSLに乗りたい時も便利(それ以降の時間だと夏は結構混雑します)。

ほかにも朝まだ誰も居ない中で旧市街の散歩ができたり、夜は夜でライトアップされたヴェルニゲローデ城が見えたり。町に泊まった人でしか味わえない特権がいくつもあるのです。

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観光に便利なハルツカード

城博物館やヴェルニゲローデを走るミニ機関車「シュロスバーン(Schlossbahn)」などが無料になるハルツカード(HarzCard)は、「48時間有効(32ユーロ)」と「4日有効(57ユーロ)」の2種類があります。

4日有効のものは「4日間連続使用」ではなく使いたい日を4日分選べるというもの。有効期間はその年の1月1日から12月31日までで、「買った日から1年間有効」ではないので注意しましょう。

また4日有効のハルツカードでは、ブロッケン山頂まで行くSL(ハルツ狭軌鉄道)も片道分カバーしています。往復のチケットが欲しい際は、往復料金から片道分(割引された分)を引いた差額を払う事になります。よくネットで「4日有効のカードではハルツ狭軌鉄道にも乗れます」と紛らわしい事が書かれていて、ハルツカードで往復分乗れると思われがちですが、往復全てが無料になる訳ではありません。

例えばブロッケン山頂まで行く場合、片道27ユーロ、往復41ユーロになります。4日有効のハルツカード所持者で片道だけ乗りたい場合は、そのまま無料。往復で乗りたい場合は、往復料金の41ユーロから、無料となった片道分27ユーロを引いた差額、14ユーロを支払う事になります。

 

長々と書きましたが、ハルツ地方は自然のアクティビティと町歩きとが一度に楽しめる場所。「可愛い街並みを散策を主にしながら、少しはドイツの自然にも触れたい」なんて人にはぴったりです

近郊の都市から日帰りも出来なくはないですが、せっかくならハルツの町に宿泊し、ハルツの魅力をじっくり味わいましょう!

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