ドイツで春を告げる味覚と言えばシュパーゲル(白アスパラ)。
ドイツ人が大好きな野菜のひとつで、「食べられる象牙」とまで称賛されている野菜の王様です。
これまで瓶入りのシュパーゲルしか食べた事がない人は、新鮮なシュパーゲルとの味の違いにビックリするはず。私もドイツで初めてシュパーゲル料理を食べた時は、いままで食べていたシュパーゲルは何だったんだと衝撃を受け、たちまちファンになったほどです。
今回はそんなシュパーゲルから、緑のアスパラとの違いや食べられる時期、現地でいちど食べてみたい定番料理を紹介します。
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野菜の王様シュパーゲル
冒頭でも触れたように、ドイツ人が愛してやまないシュパーゲル。
シーズンが始まると「待ってました!」とばかりにテレビや雑誌で特集が組まれ、「今年の育ち具合は…」、「値段は…」、「おすすめのレシピは…」などとシュパーゲルの話題で盛り上がります。
スーパーやマルクトにシュパーゲルがずらりと並ぶほか、農家直営の販売スタンドも登場。外国産の安いシュパーゲルもありますが、ちょっと高くてもドイツ産を好む人が多いです。
レストランには通常メニューに加え、シュパーゲルの特別メニューが登場。あとで紹介しますが、茹でたシュパーゲル&オランデーソースや、クリームスープは特におすすめの料理です。
そしてシュパーゲルの時期によく見かけるのが、シュパーゲルを使ったダイエット。100gあたり20kcal以下と低カロリーなうえアスパラギン酸が代謝を促すということで、スーパーフードとまでヨイショされている記事も読んだことがあります。
とにもかくにも、シーズン中には話題に事欠かないシュパーゲル。春にドイツ旅行するなら、一度は食べるべき旬の味覚なのです。
シュパーゲル産地をむすぶ「シュパーゲル街道」
「ロマンチック街道」のように「○○街道」が多いドイツですが、シュパーゲルの産地を結んだ「シュパーゲル街道」もいくつか存在します。
一番有名なのはニーダ―ザクセン州のシュパーゲル街道で、リューネブルクやハノーファー、ブラウンシュヴァイク周辺地域など750kmを結びます。
私が住んでいる南西ドイツには「バーデン・シュパーゲル街道」があり、属している町はシュヴェッチンゲンやラシュタットなど。特にシュヴェッチンゲンは「シュパーゲルの町」として有名で、町の広場にはシュパーゲル売りの像まであるのです。
シュパーゲル街道には可愛い木組みの町やお城も点在しているので、美味しいシュパーゲルのほか、町歩きや郊外でサイクリングなんかも楽しめるのが魅力です。
白と緑 シュパーゲルの色の違い
この記事で取り上げているのは白いシュパーゲルですが、私達に馴染みが深い緑のシュパーゲルもありますよね。
白のシュパーゲルも緑のシュパーゲルも品種は同じで、色の違いは栽培方法によるもの。
緑のシュパーゲルが太陽を沢山浴びて育つのとは対照的に、白いシュパーゲルは日が当たらないように盛り土をして栽培されます。そして土から頭がほんの少しだけ出たタイミングで、「Spargelstecher」と呼ばれる専用の器具で根元を刺して収穫するのが特徴です。
収穫の際はずっと中腰の体勢なので、体には結構な負担。そんな訳でシュパーゲル収穫の仕事はドイツ人から敬遠され、主に東欧からの労働者に依存しているという面もあります。
シュパーゲルが食べられる時期
シュパーゲルの収穫、出荷は4月の頭ごろからはじまり、「聖ヨハネの日」にあたる6月24日に終了します。
という事は、新鮮なシュパーゲルが食べられるのもこの期間中のみ。
6月24日を過ぎてもスーパーなどにシュパーゲルが並んでいますが、収穫してから日が経ったものか外国産。シュパーゲルは鮮度が命なので、鮮度のいいものを食べたければ時期には要注意です。
ところでなぜ6月24日で収穫を終えるのかというと、理由はシュパーゲルの根を休ませるため。次の年も高品質のシュパーゲルを収穫できるように、しっかり休んでもらう期間が設けられているのです。
ドイツで食べたいおすすめシュパーゲル料理
シュパーゲル事情について紹介したところで、ここからはドイツで食べてみたいおすすめのシュパーゲル料理を紹介します。
茹でたシュパーゲル&オランデーソース
シュパーゲルを食べるのが初めてという人におすすめしたいのが、王道ともいえる茹でたシュパーゲルとオランデーソースの組み合わせ。
シュパーゲルを扱うレストランなら必ず用意しているメニューで、シュパーゲル自体の味が一番感じられる食べ方です。
新鮮なシュパーゲルならではの上品な甘み。。。もうたまりませんね。
オランデーソースは、たっぷりのバターに卵黄やレモン果汁などを加えたソースで、シュパーゲルの味を引き立てるために無くてはならない存在。かなりカロリー高めでダイエットしている人にとっては悪者に思えるかもしれませんが、このソースなしではシュパーゲルの美味しさも半減です。
付け合わせには、ジャガイモやハムが添えられるのが一般的。店によってはシュニッツェルやステーキが一緒になった豪華版もあります。
シュパーゲルのクリームスープ
茹でたシュパーゲルのほかにもう一つおすすめなのが、クリームスープ。濃厚なスープのなかにシュパーゲルの味と香りが溶けこみ、私も大好きな料理です。
レストランでは前菜としてカップの様な容器で出されるほか、メインとして大きめのスープ皿で提供することもあります。
ちなみにドイツのスーパーにはマギーやクノールから出ている「シュパーゲルクリームスープの素」が売っていて、お土産にもおすすめ。鍋にスープの素と水をいれて煮るだけで、簡単にドイツの味が家でも楽しめます。
和食にも合うシュパーゲル
実は和食にも合うシュパーゲル。在独日本人のなかには炊き込みご飯や天ぷら、みそ汁の具などにしてシュパーゲルを楽しんでいる人もいます。
特にシュパーゲルの味が染みこんだ和風の炊き込みご飯は、斬新でありながらどこか懐かしい味わいでどんどん箸が進みますよ。
レシピは探せばいくらでもあるので、気になる人は検索してみてください。
新鮮なシュパーゲルは日本でも買える!
ドイツで絶大な人気を誇るシュパーゲル、量は少ないものの日本でも栽培されています。
国内の主な産地は、北海道と長野県。栽培方法はドイツの様に盛り土をするところは少なく、ビニールハウスや苗を遮光するのが一般的なのだそうです。
希少価値の高い国産シュパーゲル。興味のある人はぜひ食べてみてください。
春を告げる野菜シュパーゲル:まとめ
ドイツの春を告げる野菜シュパーゲル。
新鮮なシュパーゲルからはジューシーな食感とほんのりとした甘みがダイレクトに感じられ、「食べられる象牙」とまで称賛されるのも納得です。
数は少ないですが日本でも栽培されているので、瓶詰のシュパーゲルしか食べた事のない人はぜひ試してみてください。
初めてのシュパーゲルという人には、本文中でも紹介したオランデーソースとの組み合わせがおすすめ。瓶詰との味の違いにビックリするはずです。