ドイツで出産まとめ 妊娠したら知っておきたい10のこと

ドイツでの出産について、知っておくと便利なことを10項目にまとめました。

国が変われば出産事情も変わるもの。実際にドイツで妊娠・出産を経験してみると、日本では当たり前なことがドイツでは無かったり、その逆もしかりでなかなか興味深かったです。

ドイツでの出産で知っておくと便利な10項目

健診、出産、入院などの費用は保険適応で無料

妊娠中の検診では、規定回数のエコー(だいたい3回)、糖負荷テスト、CGT(ノンストレステスト)といった通常の検診内容は保険でカバーされて無料

B群溶血性連鎖球菌の検査や染色体異常のスクリーニング、規定回数以上のエコーや3Dエコーなどは、医師が必要と判断すれば保険適応になりますが、特に必要とされなくても妊婦さんの希望で行う場合は追加料金がかかります。

とはいっても、保険会社によってはこちらもカバーされる可能性があるので要確認。私の場合は、加入している公的保険(AOK BW)から出産後に「追加エコー分やそのほかの検査も300ユーロまで負担します」とお達しが来ていました。

出産費用も全て保険でカバーされ、これには無痛分娩も含まれています。その後の入院費用も個室など特別な希望を出さない限り無料(プライベート保険ではこちらもカバーされるみたいです)。

個室や家族部屋にしたい場合は追加料金ですが、私の利用した産院は空きがあれば無料で使えるという感じでした。この辺は産院によって変わってくると思うので、後に紹介する「病院説明会」でしっかり確認しておくと良いでしょう。

このほか後で紹介する出産準備クラスや、出産後の産褥体操クラスの費用も保険で賄われます

ヘバメへのコンタクトは早めが吉

出産前、そして出産後の強い味方がヘバメ。

日本語でいう「助産師」的な存在ですが、日本の助産師よりもサポート内容が幅広いのが特徴。基本的に出産後10日までは毎日、その後は12週間になるまで16回家庭を訪問し、赤ちゃんやお母さんの体の状態をチェックします。

訪問時には育児中に出てくるちょっとした疑問や悩みなどの相談も気軽にでき、とても頼りになる存在です。

▼ ヘバメについて

産後の頼もしい存在「ヘバメ」 探し方とケア内容

そんなヘバメですが、特に都市部ではヘバメ不足が深刻。人気のあるヘバメは予約でいっぱいなほか、下手すれば出産まで誰も見つからないという事態もあり得ます。

なので妊娠が確定したら、なるべく早くヘバメを探してコンタクトを取るのが吉。

探し方としては、「婦人科や産院でその地域にいるヘバメのリストをもらう」、「市の窓口で相談」、「知人、友人に聞いてみる」、「Hebammensuche.de」というサイトを使うと言った方法があります。

出産準備コース

産院やヘバメが開催する出産準備コースは、出産に関する知識を身に着けるほか、他のプレママとも知り合うチャンス。

ドイツではカップルでの参加が多く、参加費用は妊婦さんの分が保険で全額カバーされ(公的保険の場合)、パートナーの分は自己負担になります。

陣痛中のマッサージや沐浴、おむつ替えや授乳などなど、ドイツ流の出産から新生児のお世話に関する知識を学んだり練習したりできるので、第一子妊娠中の人はもちろん、日本で出産経験がありながらドイツでは初めてという人も学ぶことは多いと思います。

、、、とここまで書きましたが、私の時はコロナでコースが中止になって参加できませんでした。。

初めての出産で必ず参加したいと思っていたので、中止になって正直かなり不安だっやた妊娠後期。。幸いにも、産後ちょっと長めの1週間入院していた時に看護師さんにおむつ替えや授乳の指導をしてもらったり、退院後はヘバメと沐浴練習もできて何とかなりました。

こう書いてしまうと別に参加しなくても良いような感じがしますが、コースではほかのカップルと知り合えたり出産に関する疑問や不安も相談できたりするので、参加する意義は大きいと思います。

パートナーと参加することでお互いの意識も高まりますしね。

産院の説明会

産院では出産を控えたカップルを対象に「Infoabend」や「Elternabend」と呼ばれる説明会を開催しています。

細かい内容は産院ごとに変わってきますが、医師やヘバメの紹介、病院の説明、出産予約の説明、分娩室見学というものが一般的。出産予約は産院によっては不要なところもあります。

病院の雰囲気などは実際に見てみないと分からないものなので、これは必ず参加すべし!

こだわる人は早くから何件も見に行ったりしますが、私のまわりでは妊娠後期に1~2件見に行くという人が多かったです。

産休と手当の申請

ドイツの産休は出産予定日6週間前から産後8週間で、この期間は「Mutterschutz」と呼ばれています。

就労は禁止されていますが、お給料(手取り金額)の100%が産休手当(Mutterschaftsgeld)としてもらえるのが特徴。この産休手当は両親手当(Elterngeld)とは別物です。

手当の内訳は、法定保険に入っている場合は1日13€が保険会社から、残りは会社から支給されます。

申請方法は婦人科で出産予定日の書かれた証明書をもらい、それを保険会社と会社に提出。保険会社によっては別書類への記入が必要な場合もあります。

出生届提出の期限は1週間が原則

ドイツでの出生届は、1週間以内に提出するのが原則。

出生届の提出は産院でしてくれますが、出生届を提出するのに必要な書類というものがあります。

具体的に何が必要なのかは町によって若干異なりますが、私の町で必要だったものは以下の通り

  • 両親の身分証明書
  • Stammbuch(ドイツの婚姻証明書、結婚手続きで提出した私と夫の出生証明書が綴じてある)
  • 私の滞在許可証

しかし町によってはアポスティーユ付き戸籍謄本とその翻訳だったり、大使館で発行してくれる結婚証明書が必要な場合もあります。戸籍謄本を日本から送るとなるとその分時間がかかるので、出産後慌てないためにも妊娠後期になったらいちど出生届の必要書類を確認しておきましょう。

子供の日本国籍取得 タイムリミットは3ヶ月

生まれた子供の日本国籍を取得したいのであれば、生後3ヶ月以内に手続きが必要。

ドイツで出産すると、両親のどちらかがドイツ国籍またはドイツ永住権を持っていれば生まれた子供には自動的にドイツ国籍が与えられます。

一方で日本側としては、外国で生まれて外国籍を取得した赤ちゃんが日本国籍も取得したいのであれば、日本への出生届と国籍留保の提出(日本国籍を留保するという意思表示)が必要。これをしないと生まれた日にさかのぼって日本国籍は失われてしまいます。

そして、そのタイムリミットとなるのが3ヶ月。

3ヶ月もあるのかと思うかもしれませんが、出産後はバタバタして3ヶ月なんてあっという間。この期間を過ぎてしまえば日本国籍取得はほぼ不可能なので、取得を希望しているのなら忘れないよう要注意です。

▼ ドイツでの出生届提出から日本国籍取得まで

【ドイツで出産】産まれた子供の出生届提出から日本国籍取得まで

入院期間&期待してはいけない病院食

経腟分娩では2~3日、帝王切開でも5日くらいで退院というのが一般的。

もちろん赤ちゃんやお母さんの体に問題があれば、もっと長く入院して治療などする場合があります。実際に私が出産した時も、息子の黄疸治療で1週間入院していました。

そしてドイツでの出産で期待してはいけないのが、出産後の病院食。

ドイツ 出産 病院食

日本では「お祝い御膳」といった豪華な食事が出てきますが、ドイツの病院食はそれとはくらべものにならないほど普通。朝晩はパンにハム、チーズといった簡単なものしか出てきませんし、一番豪華な昼食も大学の学食みたいな感じです。

私はそこまで衝撃を受けませんでしたが、人によってはガッカリ度が半端なかったり、とても食べられないのでパートナーに食事を持ってきてもらったりする事もあるそうです。

というわけで、病院食に関してはあまり期待しないほうが◎もしかしたらパートナーに持ってきてもらう事になるかもしれないので、出産前から相談しておくと良いかもしれません。

▼ ドイツで出産後の病院食レポ

ドイツ 出産 病院食そこまでひどくない ? 気になっていたドイツでの病院食

両親手当の受給期間

育休中の両親手当(Elterngeld)は夫婦合わせて14ヶ月分もらえます。片方の親がもらえるのは最大12ヶ月分までなので、14ヶ月分の手当てが欲しければ片方の親が最低2ヶ月は育休をとらなければいけません。

支給額は給料の65%(とはいえ上限が1800€なので、働いている時と比べるとぶっちゃけかなり少ないです)。

そして専業主婦でも受給資格があります。この場合は最低金額の300€になるでしょうね。

このほか両親手当プラス(Elterngeld Plus)というのがあり、こちらの受給期間は最大28ヶ月。受給期間は長いですがその分ひと月の受給額は少なくなります。最終的に受け取れる合計金額は同じで、期間だけ長くなると言った方が分かりやすいでしょう。

また両親手当をもらっている期間は週30時間まで仕事してもOK。とはいえ産後8週間は法律で労働が禁止されているので、働きたいならその後からになります。

電動搾乳機が無料でレンタルできる

ドイツ 電動搾乳機

電動搾乳機は、処方箋があれば薬局にて無料でレンタルできます(借りる時にデポジットあり)。

レンタルできるのは、産院で使っているのと同じMedelaの電動搾乳機。ドイツで出産したほかの人のブログも読む限り、Medelaが来ると思ってほぼ間違いないでしょう。

電動搾乳機も安くないですから、無料でレンタルできるのは助かりますね。

▼ 電動搾乳機のレンタル方法

ドイツ 電動搾乳機【ドイツで出産】電動搾乳機のレンタル方法、料金、期間

ドイツでの出産:まとめ

以上、ドイツで出産した経験から「知っておくと便利かな」と感じた10項目でした。

これから出産を控えている人、妊娠を希望している人は頭の隅に入れておくと役に立つかも。出産準備コースや産褥体操コース、ヘバメは基本無料なので、どんどん利用しましょう!

あとは出生届提出や日本国籍を取得したい場合には期限があるので、そこは注意。出産してから慌てて準備しても運が悪ければ間に合わなかったりするので、早め早めの行動が重要だと思います。

▼ 出産レポ

【出産レポート】陣痛開始から1時間!逆子だけど間に合わずに普通分娩した話

▼ ドイツの病院食

ドイツ 出産 病院食そこまでひどくない ? 気になっていたドイツでの病院食

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