旅の楽しみのひとつが現地での食事。
ドイツでの食事といえば肉とジャガイモ、パンのイメージが強いですが、四季折々でその時期にしか食べられない食材も沢山あります。
という訳で今回は、ドイツで食べてみたい旬の味覚を季節ごとに紹介。
限られた期間にしか味わえないドイツの味覚を、ぜひ味わってみてください。
Contents
春の味覚
シュパーゲル
ドイツの春を代表する食べ物といえばシュパーゲル(Spargel: 白アスパラ)。
4月からスーパーやマルクトに登場し、「聖ヨハネの日」にあたる6月24日に収穫を終えるという伝統があります。
この時期のレストランではシュパーゲルの特別メニューが登場するので、春にドイツ旅行をする人はぜひお試しを。
王道の食べ方は茹でたシュパーゲルにオランデーソースをかけ、茹でたジャガイモを添えた料理。写真はハムも付いています。
ちょっと豪華になるとシュニッツェルや魚のソテー、ステーキなどが添えられることもあります。
このほか、シュパーゲルのクリームスープも人気料理のひとつ。シュパーゲルの味がしっかりついた濃厚なスープは、一口たべると病みつきになります。
主な食べ方
- 茹でてオランデーソースをかける
- クリームスープ
- オムレツ
イチゴ
シュパーゲルから少し遅れて登場するのがイチゴ(Erdbeer)。スーパーやマルクトで買えるほか、道のわきに立っている農家のスタンドでシュパーゲルと一緒に売られている事も多いです。
マルクトや農家の売り場で売っているイチゴは、粒も大きくて味も濃いのが特徴。生のままで食べたい人は、ぜひマルクトなどで地元農家のイチゴを買ってみてください。
このほか旬のイチゴをたっぷり使ったケーキもおすすめ。フレッシュなイチゴのケーキをカフェのテラス席で食べるのが、また至福のひとときでもあります。
ちなみにですがドイツでもイチゴ狩りのできる場所が沢山あります。旅行中にわざわざ行く人は少ないと思いますが、日本とはまたシステムが違っていて興味深いです。
主な食べ方
- 生で食べる
- ケーキ
- アイスパフェ
- ジャム
ルバーブ
赤色の茎が見た目にも鮮やかなルバーブ(Rhabarber)。
酸味のある味わいが特徴で、ケーキなどのスイーツやジャムに利用される事が多いです。
特にルバーブのケーキは私も大好き。甘酸っぱいルバーブとサクサクのシュトロイゼルの組み合わせはもうたまりません。
ルバーブのケーキはカフェのほかパン屋さんに置いてある事も多いので、気になる人はぜひ食べてみてください。
主な食べ方
- ケーキ
- ジャム
クマニンニク
クマニンニク(Bärlauch)は行者ニンニクの仲間。ドイツではスープにするほか、ソーセージに練りこんだりパスタソースにする事も多いです。
そのほか私はニラの代わりとして餃子の具にしたり、野菜炒めに入れたりもします。
森の中に群生していて、自分で採りに行く人も。とはいえ猛毒のスズランの葉っぱによく似ているので、間違えないよう要注意です。
主な食べ方
- クリームスープ
- パスタソース
グリューネゾーセ
フランクフルトでは春の味覚としてグリューネゾーセ(Grüne Soße)も有名です。
グリューネゾーセはパセリやチャイブ、ガーデンクレスなど7種類のハーブを使ったソースで、茹でたジャガイモとゆで卵を添えるのが王道の食べ方。
フランクフルトのレストランでは他にもシュニッツェルにかけたり、同じく春に旬を迎えるシュパーゲルと一緒に出される事もあります。
フランクフルト名物 ゲーテも愛した春の味覚グリューネゾーセ夏の味覚
サクランボ
6月頃からはサクランボ(Kirsch)が出回り、カフェにもサクランボを使ったケーキが登場します。
マルクトで新鮮なサクランボを買って、そのまま食べるのもおすすめです。
主な食べ方
- 生で食べる
- ケーキ
- ジャム
キイチゴ、ブラックベリーなどのベリー類
ベリー類も、「夏はベリーの季節」と言ってもいいほど様々な種類が登場します。
- キイチゴ
- ブラックベリー
- ブルーベリー
- フサスグリ
- グーズベリー
- カシス
ベリー類をたっぷり使ったケーキは、夏のドイツ旅行で食べたいもののひとつ。
チーズケーキとベリーの組み合わせもあります。また暑い日にはベリー系のアイスも美味しいです。
ちなみにベリー類は庭で育てている人も多く、食べきれない分はジャムにして保存したりもします。
主な食べ方
- 生で食べる
- ケーキ
- ジャム
平べったい桃
ドイツで見かける桃にはいくつか種類がありますが、中でも面白いのが平たい形をした桃。
ドイツ語では見た目そのままに「平たい桃(Plattpfirsich)」と呼ばれています。
ジューシーで甘味が強いほか、形が平らなので丸かじりしやすいのも◎
とっても美味しいので、見つけたらぜひ食べてみてください。
主な食べ方
- 生で食べる
ミラベル
日本では見かけない果物のミラベル(Mirabelle)。フランス、ロレーヌ地方での栽培が盛んですが、ドイツでもいろんな所で庭に木があるのを見かけます。
大きさは巨峰の実よりもひと回り小さいかなという位で、酸味はほとんど無いのが特徴。どちらかというと「甘ったるい」感じで正直私はあまり好きではないのですが、「ドイツならではの果物」という事で旅行中にチャレンジする価値はあると思います。
そのまま食べるほかケーキやジャムにしたり、ミラベルを使用したりキュールや蒸留酒もあり。
8月後半~9月初めと旬が短いほか痛むのも早いので、マルクトで新鮮なミラベルに出会えたら幸運者です。
主な食べ方
- 生で食べる
- ケーキ
- ジャム
西洋スモモ
8月頃から登場する西洋スモモ。ドイツではツヴェッチュゲン(Zwetschgen)と呼ばれ、こちらも家庭の庭で沢山取れる人気の果物です。
ほど良い酸味があってそのまま食べても十分美味しいほか、このツヴェッチュゲンをたっぷり使ったケーキも最高。私もよく作ります。
ツヴェッチュゲンのケーキはこの時期カフェに行くと必ずといっていいほど見かけるので、スイーツ好きの人はぜひ食べてみてください。生クリームも添えるともっと美味しくなります。
ほかにもジャムやコンポートにして楽しむほか、ソースは肉料理にもよく合います。
主な食べ方
- 生で食べる
- ケーキ
- ジャム
- ソース
秋の味覚
アンズダケ
アンズダケ(Pfifferlinge)は8月~10月頃に旬を迎える、ドイツでとても馴染みのあるキノコ。
アンズのような香りが名前の由来で、この独特な香りとコリコリとした食感が特徴です。
シュパーゲルと同様にこの時期にはレストランで特別メニューが登場する事も多く、クリームスープやオムレツ、炒めてパスタに合わせるなど色々な食べ方があります。
特におすすめしたいのは、アンズダケを使ったクリームソース。こちらはパンで作った団子やシュペッツェレ(南西ドイツ地方のパスタ)を合わせるのが王道です。
主な食べ方
- クリームソース
- クリームスープ
- オムレツ
- サラダ
フェーダーヴァイサー
そして秋の味覚で忘れてはいけないのが、発酵途中のワイン「フェーダーヴァイサー(Federweißer)」。
ドイツのほかオーストリアやチェコでも生産されていて、秋の訪れを告げる飲み物として親しまれています。
微炭酸で甘味もあり、特に女性に好まれそうな味わいが特徴。アルコールは5%ほどで、日が経つにつれて11%くらいまで高くなります。
そしてフェーダーヴァイサーのお供といえば、「玉ねぎケーキ」が定番。ケーキと言えども甘くはなく、キッシュに近い料理です。
ワインの仕込みが行われる9月~10月末までしか飲めないほか、瓶の栓がしっかりできないので日本への持ち帰りも不可。
限られた時期に現地でしか飲むことのできない貴重な飲み物なので、秋にドイツ旅行する人はぜひお試しを!
リューデスハイムやコッヘムなど、ワイン生産地域では秋にフェーダーヴァイサー祭りも開催されます。
ドイツならではの秋の味覚フェーダーヴァイサーりんご
りんご(Apfel)は品種によってはすでに夏にお店に並びますが、秋には一層りんごコーナーが賑やかになります。
世界には3万種類ものりんごがあると言われていますが、そのうちドイツ国内では4,000種ものりんごが栽培されているのだそうです。
ちなみにドイツのりんごは日本の「ふじ」などに比べると小ぶりで、そのまま丸かじりしている人が多い様子。
生で食べても美味しいですし、ケーキやアプフェルシュトゥルーデルなどリンゴを使ったスイーツも沢山あります。
またクリスマスマーケットでは、「ライブクーヘン」というハッシュドポテトの様な料理にりんごソースが添えられていて、こちらもなかなか美味しいです。
主な食べ方
- 生で食べる
- ケーキ
- アプフェルシュトゥルーデル
- ソース
かぼちゃ
日本では緑色の皮をしたかぼちゃが多いですが、ドイツでよく見かけるのは「Hokkaido」という名前をしたオレンジ色のかぼちゃ。
面白い名前の背景は、幼少期を北海道で過ごした在独日本人がこのかぼちゃの種を日本から輸入し、ドイツで広めたことに由来しているのだそうです。
今ではドイツですっかりおなじみのHokkaidoですが、輸入されたのが1993年とそんなに古くないのにも驚きですね。
レストランではローストして肉野菜料理に添えたり、スープやリゾット、グラタンとしてメニューで見かけることが多いかぼちゃ。日本ではかぼちゃスイーツも多いですが、ドイツではそこまでメジャーではないかなという感じです。
Hokkaidoのほか、バターナッツもドイツではお馴染みのかぼちゃ。こちらもスープやグラタン、ローストなどにして食べます。
主な食べ方
- クリームスープ
- ロースト
- グラタン
- パスタなどの生地に練りこむ(またはソース)
冬の味覚
ノヂシャ
「ラプンツェル」に登場する植物として知られているノヂシャ(Feldsalat)。
今となっては年中見かけますが、もとは冬に収穫できる貴重な葉野菜のひとつでした。
サラダや付け合わせに使われ、食べてみるとナッツの様な風味がほんのりと感じられます。鉄分やビタミンCを多く含むなど、栄養価が高いのも特徴です。
主な食べ方
- サラダ
グリューンコール
特に北ドイツで冬によく食べられるのが、グリューンコール(Grünkohl)。日本では青汁の材料である「ケール」として知られている野菜です。
食べ方としては細かく刻んだものをカッスラー(豚肩肉の燻製)やベーコン、ピンケルヴルストといったソーセージと一緒に煮込むのが定番。
寒い冬に食べると体が温まるほか、ノヂシャと同じくビタミン類が豊富に含まれているので、昔は冬の貴重な栄養源だったのでしょうね。
主な食べ方
- 煮込み料理
パースニップ、ビーツなどの根菜類
パースニップやビーツ、ニンジンといった根菜類も冬に大活躍する野菜。
パースニップはローストして肉・魚料理の付け合わせになっていることが多いです。ビーツもローストしたり、薄くスライスしてカルパッチョ風やサラダに混ざっているのをよく見かけます。
個人的には薄くスライスしてオーブンで焼き、チップスみたいにして食べるのが好きです。
主な食べ方
- ロースト
- スープの具
- サラダ(ビーツ)
クリスマスのお菓子
ドイツの冬と言えばクリスマス!
この時期になるとスーパーにはシュトレンやレープクーヘン、バウムクーヘン、クッキーなど、様々なクリスマスのお菓子が並びます。
スーパーで買うよりも値段は上がりますが、本格志向の人は専門店やカフェで買うのもおすすめ。カフェと一体型になっているケーキ屋さん(Konditorei)では、この時期限定でシュトレンなどクリスマススイーツを提供している所も多いです。
シュトレンに関して言えば、金色のマークが張られた「ドレスドナー・シュトレン」は一度食べてみたいもの。
「ドレスドナー・シュトレン」の名は、シュトレン発祥の地ドレスデンにある「ドレスドナー・シュトレン保護連盟」が定めた品質評価をクリアしたシュトレンのみが名乗ることができます。
厳しい基準をクリアしているだけあり、他のシュトレンとはひと味違ったリッチな味わいが楽しめますよ!
ドレスドナー・シュトレンはドレスデンのカフェやベッカライでよく見かけますが、他の地域でも取り扱っているお店があったり、クリスマスマーケットで販売されていることがあります。
とっても美味しいので、見かけたらぜひ食べてみてください。
ドイツで食べたい旬の味覚:まとめ
ドイツで季節ごとに登場する旬の味覚から、ぱっと思いついたものをまとめてみました。
個人的には季節のフルーツをたっぷり使ったケーキや秋に登場するアンズダケ、フェーダーヴァイサーが特に好きですが、皆さんは食べてみたいものが見つかりましたか?
旬の食材はレストランで特別メニューが登場したり、日替わりメニューに使われる事も多いので、気になる人は食事の際にチェックしてみてください。
またその時期に地元でとれた野菜が並ぶマルクトを見に行くのも楽しいのでおすすめです。