みなさんは「ドイツ人の名前」と聞いてどんな名前を想像しますか?
「ミヒャエル」や「アレクサンダー」、「ユリア」という名前を思い浮かべる人もいれば、「ドイツ人の名前なんてどんなのか分かんないよ」という人もいるかもしれません。
先日ドイツ語教会(Gesellschaft für deutsche Sprache e.V.)が発表した新生児の名前ランキングによると、2019年に最も人気だった名前は女の子で「ハナ」、男の子は「ノア」。別のニュースでのコメントによると、最近の傾向としては短くて呼びやすい名前が人気なのだそうです。
そこで、今回のテーマはドイツで人気の名前。ドイツ語協会の資料をもとに、2019年に人気だった名前トップ10を紹介します。
10年前、100年前に人気だった名前も比較として紹介するので、ドイツでの名前のトレンドに興味のある人はぜひ読んでみてください。
Contents
2019年に人気だった名前 男女別トップ10
さっそく2019年の名前トップ10をみていきましょう。
女の子の名前
女の子の名前ランキングは以下の通り。
- ハナ(Hannah/Hanna)
- エマ(Emma)
- ミア(Mia)
- エミリア(Emilia)
- ゾフィア(Sophia/Sofia)
- リナ(Lina)
- クラーラ(Klara/Clara)
- エラ(Ella)
- ミラ(Mila)
- マリー(Marie)
出典:Gesellschaft für deutsche Sprache e. V.
例外はあるものの、2文字の短い名前が圧倒的に多いです。
「クラーラ」といえば「アルプスの少女ハイジ」を想像する人も多いかも。「ハナ」や「リナ」という名前は日本人でも見かけますね。
男の子の名前
- ノア(Noah)
- ベン(Ben)
- パウル(Paul)
- レオン(Leon)
- ルイス(Louis/Luis)
- ヘンリー(Henry/Henri)
- フェリックス(Felix)
- エリアス(Elias)
- ヨナス(Jonas)
- フィン(Finn)
出典:Gesellschaft für deutsche Sprache e. V.
私の友人に「ダニエル」や「ミヒャエル」、「アレクサンダー」という名前が何人もいるのでそれらがランクインすると思いきや、全く入っていませんでした。
トレンド的にはもう古い名前なのでしょうか…
6位の「ヘンリー」は2018年からトップ10入りしている名前。同じ年に英ヘンリー王子の結婚でメディアが盛り上がった事が影響しているのかもしれませんね。
「ベン」は「ベンヤミン」の短縮形として使われたりもしますが、最近は短いまま「ベン」と名付けるのがトレンドみたいです。
10年前(2009年)に人気だった名前
2019年のトレンドが分かったところで、10年前に人気だった名前も見て見ましょう。
括弧【】内は2019年の順位です。
女の子
- マリー(Marie)【10】
- ゾフィー(Sophie/Sofie)
- マリア(Maria)
- アナ(Anna)
- エマ(Emma)【2】
- ミア(Mia)【3】
- ゾフィア(Sophia/Sofia)【5】
- レオニー(Leonie)
- レナ(Lena)
- ヨハナ(Johanna)
出典:Gesellschaft für deutsche Sprache e. V.
2009年の名前は2019年に1位だった「ハナ」がトップ10圏外、10位だった「マリー」が1位でした。
2019年のランキングにも入っていた「エマ」、「ミア」、「ゾフィア」は、2009年から毎年トップ10入りしていて根強い人気です。
またどの年にも言えることですが、女の子の名前は母音で終わるものがほとんど。一方で男の子の名前は子音で終わることが多いですね。
男の子
- マクシミリアン(Maximilian)
- アレクサンダー(Alexander)
- レオン(Leon)【4】
- パウル(Paul)【3】
- ルカ(Luca/Luka)
- エリアス(Elias)【8】
- フェリックス(Felix)【7】
- ルーカス(Lukas/Lucas)
- ヨナス(Jonas)【9】
- ダヴィッド(David)
出典:Gesellschaft für deutsche Sprache e. V.
2019年はトップ10になかった「マクシミリアン」と「アレクサンダー」が1、2位。この2つの名前は、2000年から2018年までずっとトップ3に入っていました。
あとは「パウル」や「レオン」、「フェリックス」あたりも時代を問わず人気なようです。
100年前はどうだったかというと…
今から約100年前のトレンドも見てみましょう。当時好まれていた名前から、気になるものを抜き出してみました。
女の子
- アナ(Anna)
- エリザベス(Elisabeth)
- エリカ(Erika)
- エマ(Emma)
- ギゼラ(Gisela)
- ヒルデガルト(Hirdegard)
- マルガレーテ(Margarethe/Margarete)
- ヴァルトラウト(Waltraud/Waltraut)
出典:Gesellschaft für deutsche Sprache e. V.
「ヒルデガルト」や「ヴァルトラウト」は、若い人ではほとんど見かけない名前。
一方で「アナ」や、表にはありませんが「マリー」など最近のトレンドに入っている名前もあり、特定の名前は時代を問わず人気なのがわかります。
また「エマ」がトップ10入りするのは2009年からでしたが、100年前も人気だったんですね。日本ではレトロネームが流行っているみたいですが、ドイツでもそんな感じなのでしょうか。
男の子
- クラウス(Claus/Klaus)
- クルト(Curt)
- フランツ(Franz)
- フリードリヒ(Friedrich)
- ヨアヒム(Joachim)
- オットー(Otto)
- パウル(Paul)
- ヴァルター(Walter)
- ヴィルヘルム(Wilhelm)
出典:Gesellschaft für deutsche Sprache e. V.
「フリードリヒ」や「オットー」、「ヴィルヘルム」など、ヨーロッパ史でも見かける名前が目立ちます。
上の表は抜粋ですが、全体としては歴史上の人物や政治家で見かけるような名前が多いなという印象です。
「ノア」や「ベン」など最近のトレンドは影も形もありませんが、「パウル」は昔も人気だった模様。また2019年のランキングで6位だった「ヘンリー」と似た「ハリー」も以前は好まれていたようです。
2019年版 ドイツ人に人気の名前:まとめ
2019年の名前のトレンドとしては、短くて呼びやすい名前が人気。その他の特徴としては、特に男の子の名前で「ノア」や「パウル」、「レオン」、「ヨナス」といった聖書関連の名前が目立ちました。
2009年との比較では当時人気だった名前が依然として残っている一方、かつては珍しかった名前が徐々に人気を得るなど新しいブームが生まれているのが分かります。
このほかドイツ語協会のウェブサイトでは、人気だった名前のリストが1977年分から見られます。興味のある人はぜひ一読してみてください。
私もざっと目を通してみましたが、友人らの生まれた年代のリストをみると確かに彼らの名前があり、当時のトレンドだったんだな~と興味深かったです。
ちなみに私が生まれた1988年は、女の子は「カタリーナ」、男の子は「ダニエル」が最も人気とのこと。
通りで同年代にダニエル君が多いわけだと、リストを見ながら納得したのでした。
参考資料:Die beliebsten Vornamen (Gesellschaft für deutsche Sprache e. V.)
※本記事はドイツ語協会(Gesellschaft für deutsche Sprache e. V)より名前リストの使用許可を得て作成しています。