週末は夫とモーゼル川沿いの小さな町巡りをしてきました。
可愛い町の散策をしながらモーゼルワインを楽しむ予定だったものの、胃の調子が悪くてあまりワインを飲めず。とはいえ天気も良かったし、ずっと行きたいと思っていた木組みの町「ベルンカステル・クース」や、「黒猫ワイン」で有名なツェルにも足を運ぶことができ、とても充実した2日間でした。
そんな1泊2日のモーゼル旅行から、今回は1日目の様子をお伝えします。
1日目はまず山の上にそびえる古城「アラス城」でランチ。その後は黒猫ワインの町ツェルと訪れ、宿泊ホテルのあるツェルティンゲンへ向かいました。
Contents
古城「アラス城」のレストランでランチ
車で1時間半ほど走って到着したのが、アルフ(Alf)という町にあるアラス城。
950年に建てられたとされるアラス城は、ドイツ最古の城塞のひとつ。プファルツ伯やトリーア大司教の居城でしたが、17世紀のプファルツ継承戦争中はフランス軍により破壊、戦争後には城が採石場として使われるなどして衰退していきました。
そんな中、この塔だけが唯一破壊されずに残ったのだそう。破壊を逃れて1000年以上もこの地に立ち続ける塔は、モーゼル川流域における最古の建造物です。
塔の中には拷問部屋があったもよう。
その後ときは流れ、1990年に当時の所有者によって居住可能な状態にまで再建されました。現在のお城にはホテルのほか、レストランや美術館が入っています。
レストランは古城らしいシックな雰囲気。フロアから1段上がった小部屋のような場所にもテーブルが1つだけあったので、そこに座ってみました。高くなっている場所から部屋を見下ろせるので、ちょっと偉くなった気分。
壁には鹿と思われる角がいくつも飾られています。メニューに書いてある獣肉のグラーシュとは、まさか君たちのことかい?
ここで頂いたのはサーモンのフィレ。身がしっとりしていて、とても美味しかったです。他にも獣肉のグラーシュやモーゼルソーセージ、白ソーセージなどがありました。ケーキ類もあるので、博物館の見学をしながらここでお茶するのも良いかも。
アラス城へは車以外でのアクセスがかなり制限されています。公共交通機関を利用する場合、電車でブレイ(Bullay)まで行き、そこからタクシーを利用することになるでしょう。アクセス難ですが、行く価値ありです。
アラス城(Burg Arras)HP
【住所】Wittlicher Str. 1, 56859 Alf
※ホテル、レストランは1月、2月は休業
黒猫ワインの町「ツェル」
ランチの後に向かったのは、黒猫ワインで有名な町ツェル。この町や周辺で製造されたワインのラベルには黒猫が描かれているほか、黒猫グッズもあちこちで見かけます。
なんでそこまで黒猫が有名なのか。それには以下のような伝説があります。
そのむかし、美味しいワインを求めてアーヘンの商人たちがこの町にやってきました。商人たちはとある醸造所でワインを試飲。3つの候補まで絞れたものの、その中からどれがいいのか決められずにいました。
すると黒猫がそろりとやってきて、いきなりあるワイン樽の上に飛び乗ったのです。そして商人たちにむかって威嚇するような態度をとりました。商人たちは「猫がこんなに威嚇するのだから、この樽のワインは特別に違いない」と確信し、黒猫が乗ったワインを買っていきました。
しばらくすると再び同じ商人たちがやってきて、買っていったワインと同じものを全て買いたいと言いました。商人たちが持ち帰ったワインは大変な人気となったため、彼らは再びワインを買いにきたのです。
そしてその後、同じ畑で造られたワインは「ツェラー・シュヴァルツァー・カッツ(Zeller schwalzer Katz)」と呼ばれるようになったのでした。
以上が黒猫にまつわる伝説の大まかな内容です。
町について早速ワインを買いに行きましたが、どのラベルにも可愛い黒猫が描かれていて、ついつい集めたくなってしまいました。猫好きの方にはたまらないでしょうね。
お店で試飲をさせてもらい、購入したのがこの2本。夫は運転しないといけないので少し試飲しただけ。よってグラスに注がれたワインを飲み干すのは私の役目になります。私はワインは好きですが強くはないので、試飲しただけでほろ酔い状態でした。
ちなみに、ドイツでは少量の飲酒であれば運転もOKなんです。血中アルコール濃度が0.05%以下なら運転しても罰せられることがなく、「ビール2本くらいならいける」なんて友人もいっぱいいます。日本人とは体質が違うんでしょうね。
少し話が逸れましたが、ワインのラベル以外にもツェルの町では黒猫をあちこちで見かけます。
いつも観光客に囲まれているのが、市庁舎前にある黒猫の噴水。そのむかしアーヘンから商人たちが来た時も、こんな風にして威嚇していたのでしょう。
建物の壁や看板にも黒猫が隠れていて、探しながらの散策が楽しいです。そしてどの猫も威嚇ポーズ。
建物の壁や頭上にはぶどうの蔓がはっていました。ワインの町ならではの光景ですね。
そしてこの町にも古城ホテル「ホテル・シュロス・ツェル」があります。トリーア選帝侯だったバルドゥイン・フォン・ルクセンブルクが14世紀に建てた城。この城にはかつて、神聖ローマ帝国の皇帝マクシミリアン1世や、プロイセン王のフリードリヒ・ヴィルヘルム4世も滞在しました。
そんな時の権力者も滞在したホテルに泊まれてしまう訳ですが、塔の部分が部屋になっている「タワールーム」はダブルで130€とかなりお手頃でびっくり。シングルは105€から。ツェルの町でワインを楽しみながら、古城滞在なんていかがでしょうか。
黒ではありませんでしたが、駐車場のそばには本物の猫もいました。
もうすぐ完成 モーゼル川にかかる全長1.7kmの巨大な橋
ツェルを後にした私達は、宿泊ホテルがある町ツェルティンゲン・ラハティグ(Zeltingen-Rachtig)へ。
モーゼルワイン街道のまちツェルティンゲンは、ベルンカステル・クースをはじめとする川沿いの町巡りをするのに便利な場所にあります。ベルンカステル・クースまでは車で10分弱、私が先日取材をしたトリーアへは40分、コッヘムへは50分ほど。
またこの町からモーゼル川の遊覧船に乗ったり、ハイキングを楽しむことも出来ますよ。観光客の少ないのどかな町で、自然と戯れながら美味しいワインを堪能したい!という方におすすめの滞在先です。
ホテルでチェックイン後は、町はずれにある完成間近の巨大な橋を見に行きました。
モーゼル川の上に架かる「ホッホモーゼルブリュッケ(Hochmoselbrücke)」は、ツェルティンゲンと対岸のユルツィヒ(Ürzig)を結ぶ橋。全長1.7km、高さは最大158mというヨーロッパ屈指の巨大な橋です。2019年に完成予定。
こうして見ると、「川の両岸に架かる」というよりは「両側にある山同士を結んでいる」といった方が正しいかも。
高さ158mというのは、ケルン大聖堂のファサード部分と同じくらいの高さ。真下から見下ろすとかなりの迫力があります。
柱こんなに細くて大丈夫?と心配にもなりますが、そこはドイツの建築マイスターたちが設計したのだから大丈夫なはず。柱が細いせいか、どことなくスタイリッシュな印象をうけました。
橋の下にはぶどう畑が広がっています。この地域では珍しい赤ワイン用のぶどうもありました。
ホテルのレストランでの食事
1日目の夕食はホテルのレストランで頂きました。
ワインだけでも160種類ほどあるらしく、ワインリストはまるで百科事典のよう。7月にクロンベルク城に泊まった時もレストランのワインリストにビックリでしたが、こちらも負けていません。
ここでワインを存分に楽しむ予定のはずが、私は胃の調子がどうも悪かったので、夫が注文したものを味見させてもらう程度でした。ワインの代わりに飲んだのは、ぶどうジュースのショーレ(炭酸割り)。
メニューには肉、魚、ベジタリアン料理のほか、イノシシや鹿といった獣肉料理も豊富でした。私が選んだのは山羊のチーズが添えられたサラダ。山もりですが全て野菜なのでペロリです。
夫はチキンソテーのパスタ添えでした。
デザートは、盛り合わせを2人で分けて食べました。右上にあるバジルのアイスがとっても美味しくて感動。うちにも山ほどバジルが生えているので、レシピを調べて真似してみたいです。
宿泊ホテル ホテル・ツェルティンガーホーフ
今回宿泊したのは、ホテル・ツェルティンガーホーフ。
カテゴリーの異なる部屋がいくつかあり、私達が泊まったのはアパートタイプの部屋でした。アパートですが朝食付きです。
チェックインの際にはウェルカムワイン。
アパートなのでキッチンはもちろん付いていますが、サウナまであったのには驚き。ダブルベッドのある寝室も2つあり、家族やカップル同士での宿泊にはかなり便利そうです。
リビングも広々。アパートは長期滞在で利用することが多いからか、DVDやゲームまでありました。
キッチンもモダンで使いやすそう。食器や調理器具、食洗器も一通り揃っています。1泊しかしなかったうえにキッチンも使わなかったので、とても勿体なかったです。
ホテル名 | ホテル・ツェルティンガーホーフ Hotel Zeltinger Hof |
---|---|
星 | ★★★ |
住所 | Kurfürstenstraße 76, 54492 Zeltingen-Rachtig |
チェックイン | 15時 |
チェックアウト | 11時 |
詳細・料金 | ▶Booking.com ▶Expedia ▶Agoda |
これにて1日目は終了。翌日はベルンカステル・クースやモーゼル川を見下ろせる展望台へ向かいます。
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