南ドイツ

ネコ職員がお出迎え 城壁に囲まれた美しい町ネルトリンゲン

ドイツには沢山の観光街道がありますが、なかでも人気なのがロマンチック街道。

ロマンチック街道は、北のヴュルツブルクから南はフュッセンまでを結んだ約400kmの道のり。可愛らしい木組みの街並みや中世の趣を残す旧市街が点在していて、皆さんの想像する「ドイツらしい町並み」が各地で楽しめます。

そんなロマンチック街道上にある町のひとつが、ネルトリンゲン(Nördlingen)。

城壁が町をぐるりと囲んでいる様子から、人気漫画「進撃の巨人」のモデルになったのではとファンの間でささやかれている町です。危機迫る漫画の町とは一転、オレンジ屋根で統一された町の上をコウノトリが飛ぶといった、ロマンあふれる風景がひろがります。

また、教会の塔のうえでお勤めしているネコ職員も有名。運がよければ、勤務中の彼女に会う事もできます。



巨大隕石のクレーター上に築かれた町ネルトリンゲン

ネルトリンゲンがあるのは、いまから1500万年前の隕石の衝突によってできたクレーターの中。隕石は直径1kmと推定される巨大なもので、衝突により形成された直径24kmのクレーターは「リース・クレーター」と呼ばれています。

町にはこの「リース・クレーター」について学べる博物館もあるので、クレーターや隕石、地質学に興味のある方は訪れてみると面白いかもしれません。

さてネルトリンゲンが文献に初めて登場するのは、898年のこと。カロリング朝の領地として、ネルトリンゲンの前身となる「Nerdilinga」の名が残されています。

町はレーゲンスブルク司教のもとで発展し、フリードリヒ2世の治世である1215年には帝国自由都市の地位を獲得。主要交易路が交差する場所にあることから、中世にはフランクフルトとならぶ交易地になりました。

しかし17世紀には30年戦争をはじめとする数々の戦渦に巻き込まれ、町は衰退。時が下って第2次世界大戦では町の中心にある聖ゲオルグ教会や駅などが破壊されましたが、のこりの旧市街エリアは奇跡的にも爆撃を逃れたのでした。

教会の塔にお勤めするネコ職員

ネコ職員がいるのは、町の真ん中にある聖ゲオルグ教会の塔のいちばんうえ。教会は1505年に完成したゴシック様式の建物で、高さ90mの塔は「ダニエル」という名前で親しまれています。

らせん階段をぐるぐる上っていくと番人の部屋があり、運がよければ番人といっしょにネコ職員がお出迎えしてくれます。ネコ職員の名前は「ヴェンデルシュタイン」。男前な名前ですが実はメス猫で、塔の昔の呼称ががそのまま名前になっています。

塔の周辺にくる鳥を追い払ったり、観光客のおもてなしが彼女の仕事。その働きぶりはネルトリンゲンの職員として正式に認められるほどで、彼女目当てでここに来るファンも多いのだとか。

いつでも会えるわけではないので、もし会えたらかなり幸運なネコ職員です。

中世から町を守ってきた塔の番人

中世のネルトリンゲンにとって重要な意味を持っていた町の塔。塔の上には2人の番人がつき、火災や敵の襲撃をいちはやく町に知らせるという大切な役割を担っていました。

そんな超重要な使命をかかえた塔の番人ですから、夜でもしっかり見張りをしているか確認しなくてはなりません。夜、真っ暗ななかでも彼らがしっかり配置についているか確認するため、かつては塔の上から番人が「So, G’sell, so!」と叫んでいたのだといいます。

現在まで続いているこの伝統は、ネルトリンゲンの見どころのひとつ。夜10時から12時までのあいだ、30分ごとに番人が中世とおなじように塔の上から掛け声を叫ぶのです。

塔の上から見えるのは、オレンジ色に統一された美しい街並み。町の見張り台だったということもあり、城壁の外のエリアまでよく見渡せます。ネコ職員に会えるかは運しだいですが、この景色を見るだけでも塔に上る価値は十分にありますよ。

中世の趣が色濃くのこるマルクト広場

聖ゲオルグ教会のあるマルクト広場周辺は、町の中でも特に中世の趣が感じられるエリア。中世には毎年ここで見本市が開かれ、各地からやってくる商人や町の人の活気であふれていました。

周囲の建物よりも一回り大きく、存在感たっぷりなのが「パンとダンスの家(Brot- und Tanzhaus)」という変わった名前の家。中世の見本市期間中は布商人がこの建物中に商品を展示していたほか、それ以外のときは祝賀行事などに使用されていました。

屋根の上にはコウノトリが巣を作っていて、巣の様子は塔の上からもよく見えます。私が訪れた5月はじめには、巣の上には親鳥の帰りを待っているコウノトリの子どもがいました。

工事中のフェンスが被ってしまいましたが、写真右の黄色い建物は「ホテル・ゾンネ」という歴史あるホテル。かつてはフリードリヒ3世をはじめとする神聖ローマ皇帝が3人も滞在したほか、ゲーテも旅の途中に立ち寄りました。左に立っているのは市庁舎です。

マルクト広場からは道があちこちに伸びているので、時間があれば気の向くままに散策してみるのもおすすめ。広場周辺以外にも可愛らしい建物があちこちに点在しています。教会の塔はだいたいどこにいても見えるので、もし道に迷ったとしても塔まで戻って来れば安心です。

町をぐるりと囲む城壁

ネルトリンゲンの町をぐるりと囲む城壁では、壁の上を歩くことができます。教会の塔から見下ろすのとはまた違う町並みが楽しめるので、高い所が苦手でない方はぜひ歩いてみてください。

町に最初の城壁が築かれたのは、ここが帝国自由都市の地位を得たのとおなじ13世紀でした。14世紀になると町は皮なめし産業で発展し、人口も増加。これに対処すべく古い城壁を取り壊し、現在まで残る新しい城壁が築かれます。

城壁は全長2.6kmあり、だいたい40分くらいで1周できます。進んでいくとチェックポイントのように城門や塔が現れ、どれも形が違っていて面白いですよ。

ネルトリンゲンへのアクセス

ネルトリンゲンはロマンチック街道のちょうど真ん中らへんにあります。

アクセスしやすい主要都市はミュンヘンやニュルンベルク、シュトゥットガルトなど。各都市から電車での所要時間は以下の通りです。

  • ミュンヘン:1時間半~2時間半
  • ニュルンベルク:1時間半~2時間
  • シュトゥットガルト:2時間

ミュンヘンやニュルンベルクから来る場合は、ドナウヴェルト(Donauwörth )で乗り換えることが多いです。シュトゥットガルトから訪問するときはアーレン(Aalen)で乗り換えます。

また4月から10月にかけての水・土・日曜日にはロマンチック街道バスも走っています。ローテンブルクやディンケルスビュールなど、ほかにも街道の町をあちこち見てみたい方にはおすすめです。

おわりに

「進撃の巨人」の町のモデルでは!?と日本で一躍有名になったネルトリンゲン。これを信じるか信じないかは皆さん次第なので、ぜひ一度町を訪れて自身の目で真相を確かめてみてください。

町を訪れたら、ネコ職員にあいさつするのも忘れずに。たとえ会えなかったとしても、彼女が勤務する塔の上から望む街並みは一見の価値ありですよ。

ジャーマンレイルパス

自由気ままにドイツを旅行したければ、ジャーマンレイルパスがおすすめ。現地で毎回チケットを買う必要もないし、気の向くままに途中下車もできます。パス保持者には、ロマンチック街道バスの割引も。

ジャーマンレイルパスの詳細

 

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