ロマンチック街道で必ず訪れたいスポットのひとつが、フュッセンの近郊にあるヴィース教会(Wieskirche)。
外観は草原の中に立つ素朴な印象の教会ですが、内部の装飾は「ドイツ・ロココの最高傑作」と称されるほどの美しさ。天井に描かれたフレスコ画やスタッコ装飾がつくりだす壮大な世界は、年間100万人もの人々を魅了しています。
今回はそんなヴィース教会から、アクセスや見どころ、周辺の様子を紹介。
ヴィース教会を訪れるツアーについても解説するので、「自力で行くのはハードルが高い」と思っている人はぜひ利用してみてください。
Contents
教会に伝わる「鞭打たれるキリスト」の伝説
ヴィース教会の設立と深い関係があるのが、次のような「鞭打たれるキリスト」の伝説です。
1732年、ヴィース教会からも近いシュタインガーデンの修道院に「鞭打たれるキリスト」の像がもたらされます。像は普段は屋根裏部屋に安置され、聖金曜日(イースター)の行進というわずかな機会にしか人々の目に触れることはありませんでした。
そんなキリストの像は1738年、マリア・ロリーという名の農婦の手にわたります。そしてマリアが熱心に祈り続けたところ、ある日キリスト像の目から涙が流れたのです。
この「ヴィースの奇跡」は瞬く間に広がり、噂を聞きつけた人々がマリアの家に押しかけます。1740年には「鞭打たれるキリスト」のために牧草地に小さな礼拝堂が建てられますが、「像を拝んだら病気が治った」などという話も広まったことから巡礼者は増える一方でした。
これに対応するため建てられたのが、現在のヴィース教会。1745から建設がはじまり、おおよそ完成して献堂式が行われたのは1754年のこと。内部の装飾など完全に完成するまでには、この後さらに数年かかりました。
教会内の見どころ
ドイツ・ロココの最高傑作
ヴィース教会の設計を手掛けたのは、ドイツ・ロココの巨匠とも言われたドミニクス・ツィマーマン。修道院や教会などいくつもの宗教建築を手掛けた人物で、宗教建築に関しては当時彼の右に出る者はいないとさえ言われていました。
教会の建設が始まった時はすでに60歳。その後の人生をヴィース教会に捧げたと言っても過言ではなく、完成後もすぐ近くに移り住み、80歳で亡くなるまで教会を見守り続けたといいます。
内部に足を踏み入れれば、外観からは想像もできないような幻想的な華麗さが見る者を圧倒。優美な天井の周囲を華やかなスタッコ装飾や彫刻が囲み、まるですぐ頭上に天が降ってきているかのような錯覚を覚えるでしょう。
変化に富んでいながらも、どこか落ち着きがあって居心地のいい空間。バロックの伝統を受け継いだ華やかさがありながらも、仰々しさや押しつけがましさがない幻想的な世界が広がります。
窓から差し込む光、色合いや装飾のバランスなどが完璧に計算しつくされた優雅な美しさは、まさに「ドイツ・ロココの最高傑作」。ヴィース教会はドイツ・ロココの巨匠と称えられたドミニクス・ツィマーマンの生涯における集大成でもあるのです。
「天から降ってきた宝石」と称えられる天井画
ヴィース教会の見どころのひとつが、「天から降ってきた宝石」とも称えられる壮大な天井画。この画は教会を設計したドミニクス・ツィマーマンの兄であるヨハン・ツィマーマンによる作品です。
ヨハン・ツィマーマンはドイツのバロック、ロココ時代を代表する芸術家。ヴィース教会のほか、ニンフェンブルク城や数多くの教会などで宗教芸術を手掛けました。
フレスコ画のテーマはイエスキリストによる神の恩恵。世界の創成者としてのキリストは、王座ではなく約束の虹の上に座っている様子が描かれています。
王座の反対側に描かれているのは「永遠の扉」。天井画を囲むスタッコ装飾との調和も相まって、立体的で奥行きのある世界観が演出されています。
天と地を結ぶオルガン
「永遠の扉」のちょうど下には、天と地を結ぶ役割を担うオルガンがあります。
オルガンはこの地域を代表するオルガンマイスターだったヨハン・ゲオルグ・ヘーテリヒという人物が、南ドイツに伝わるオルガンの伝統に則って造ったもの。この方式で作られたオルガンは今日では貴重な物で、完成してから今日に至るまで何度も改修がされてきました。
2892本あるパイプのうち、475本が1757年の完成当時からあるもの。ミサやコンサートでは、時代を超えて人々を魅了してきた美しい音色が教会中に響き渡ります。
「鞭打たれるキリスト」の像がある祭壇
正面の主祭壇には、ヴィース教会が建設されるきっかけともなった「鞭打たれるキリスト」の像が置かれています。血を流すキリストの姿があまりにも残酷で、像が造られた当時は決して人々から好かれるものではありませんでした。
祭壇の赤い柱はキリストの血を表現するとも言われていて、白亜の聖人や天使像とのコントラストが見事ですね。
上部に置かれている銀色の羊は、自己を犠牲にして民の罪を負うキリストを表現しています。
教会のまえにあるレストランで休憩もおすすめ
ヴィース教会が立っているのは、のどかな草原のど真ん中。大自然にかこまれたロケーションということで、ハイキングやサイクリングがてら教会を訪れているような人も沢山いました。
教会の目のまえには「Gasthof Schweiger」というカフェ兼レストランがあるので、見学後に個々で休憩するのもおすすめ。テラス席ではのどかな牧草風景や教会を眺めながら食事が楽しめます。
料理メニューはシュニッツェルや豚肉のロースト、アルゴイ風シュペッツェレなど、ドイツ料理やアルゴイ地方の伝統料理が中心。写真は牛の胸肉を茹でたもので、ホースラディッシュとドイツ風ジャガイモサラダが添えられています。
せっかくなので地ビールも飲んでみましょう。私達が訪れた時は、ビールだけ飲みながら休憩している人もチラホラいました。
ガストホーフ・シュヴァイガー(Gasthof Schweiger) | |
住所 | Wies9, 86989 Steingaden |
営業時間 | 9:00~18:00 |
電話 | 08862 500 |
見学可能時間など基本情報
ヴィース教会の開館時間は、夏(4月~10月下旬)は8:00~20:00、冬は8:00~17:00。
ミサや特別な行事などがある場合は、上記の時間でも見学できません。例えば日・祝日はミサがあるので13:00まで見学不可です。
ヴィース教会のウェブサイトでは見学可能な時間帯が表になっているので、こちらを参考に訪問計画を立てることをおすすめします。
表の見方は、「緑=見学可」、「赤=見学不可」、「黄=ミサやガイドツアーがなければ見学可」です。
ヴィース教会へのアクセス
バス
以前はロマンチック街道バスがヴィース教会に停車していましたが、現在は停車しません。
フュッセンからアクセスする場合、駅前のバス停から73番、9606番、9651番のバスに乗って所要時間は45分ほどです(乗り換えなし)。
- 73番:ヴィース教会(Wieskirche)行き
- 9606番:ガルミッシュ・パンテンキルヒェン(Garmisch-Pantenkirchen)行き
- 9651番:エヒェルスバッハー・ブリュッケ(Echelsbacher Brücke)行き
ミュンヘンからの所要時間は、2時間半~3時間半がめやす。ミュンヘンからフュッセンまでは直通列車もあれば、カウフボイレン(Kaufbeuren)などで乗り換える場合もあります。
とはいえノイシュヴァンシュタイン城やリンダーホーフ城も併せて訪れたいのであれば、ミュンヘンからの日帰りはおすすめしません。田舎でバスの本数がかなり少ないので、待ち時間のロスが大きくて後半でかなり忙しく観光する事になると思います。
ノイシュヴァンシュタイン城、ヴィース教会、リンダ―ホーフ城を訪れたいのであれば、せめてフュッセンに宿泊するか次で紹介する現地ツアー利用がおすすめです。
車またはタクシー
車の場合は所要時間30分。教会のすぐ近くに広い駐車場があります。
タクシーはフュッセンの駅前にタクシー乗り場があるので、そこから利用すると便利。だいぶ割高にはなりますが、帰りの分もお願いすればバスを利用するよりもはるかに効率よく観光できます。
ヴィース教会を訪れる現地ツアー
ミュンヘンからはヴィース教会やノイシュヴァンシュタイン城、リンダ―ホーフ城をセットで訪れる現地ツアーが出ているので、自力で行くのが心配な人はこちらを利用してみましょう。
教会がある地域はバスを1本逃すだけでかなりの時間ロスになるので、時刻表を気にせず観光できる現地ツアーはかなり便利です。
ミュンヘン発
またフランクフルトを出発し、ライン川やローテンブルク、ノイシュヴァンシュタイン城、ヴィース教会を経てミュンヘンで解散する2日間のツアーもあります。
経験豊富なガイドが歴史や見どころを日本語で説明してくれるので、旅が一層充実した物になりますよ。
ドイツで一度は訪れたいヴィース教会
ドイツ旅行をするなら一度は訪れてみたいヴィース教会。
ドイツ・ロココの最高傑作と称えられる教会内部は息をのむほどで、これまでドイツで色んな教会を見てきた私にとっても3本の指に入る美しさでした。
バスの本数が少ないのでアクセスがちょっと面倒ですが、この教会は本当に訪れる価値あり!
自力で行くのが心配な人は、ミュンヘンから出ている現地ツアーの利用も検討してみてください。日本語のツアーもあるので、英語が心配な人でも安心です。
また車があるならフュッセンやその周辺を拠点に、教会などあちこち回るのもおすすめ。私達はフュッセンに宿泊しながら、ノイシュヴァンシュタイン城、ヴィース教会、エッタール修道院、リンダ―ホーフ城の順で1日観光をしました。
フュッセンや周辺の観光、宿泊については別記事があるので、こちらも参考にしてみてください。
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