【フランクフルト近郊】優雅な雰囲気の漂う町ヴィースバーデン

フランクフルトから日帰りで楽しめる町として以前マインツを紹介しましたが、今回のテーマはそのマインツから電車で10分の場所にあるヴィースバーデン(Wiesbaden)。

高級保養地としても有名なヴィースバーデンは、カジノが入っている建物「クアハウス」をはじめとする優雅な建物が立ち並び、どことなくハイソな雰囲気を感じさせる町。温泉の湧き出る泉や、水の重みで動く少し変わったケーブルカーなど、ちょっと変わった見どころがあるのも特徴です。

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ヘッセンの州都&温泉の町 ヴィースバーデン

ヴィースバーデンはドイツ中部に位置するヘッセン州の州都。ヘッセンの州都はフランクフルトと思われがちですが、実は違うんですよ(私も以前はフランクフルトが州都だと思ってました…)。フランクフルトは金融の町、州議会が置かれているヴィースバーデンは行政の町という風に、それぞれ役割がしっかり分かれています。

またヴィースバーデンは温泉が湧き出ることから、19世紀には貴族が集まる高級保養地としての地位を確立。古くはローマ時代から温泉施設が造られ、現在でも町には27ヵ所の源泉が湧き出ていると言われています。

今回は紹介しませんが、町には温泉を利用したスパ施設や治療施設があるほか、高級ホテルでもスパサービスを提供。のんびり町歩きを楽しんだ後に、リッチにスパやエステで至福のひと時が過ごせたりします。

ちなみにヴィースバーデンをはじめ、名前に「入浴」を意味する「バーデン」や「バート」という言葉が入っている町は、温泉または特殊なミネラル分を多く含んだ「治癒の泉」とゆかりのある所が多いです。

代表的な町は、ヴィースバーデンと同じく高級保養地のバーデン・バーデン。ほかにもフランクフルト近郊ならバート・ホンブルクやバート・ナウハイム、バート・シュヴァルバッハなど。これらの町には大概「クアハウス」や「クアパーク」という優雅な建物や公園があり、かつて温泉治療の場や社交場として使用されていました。

クアハウスとクアパーク

正面がギリシャのパルテノン神殿を彷彿とさせるヴィースバーデンのクアハウス(Kurhaus)は、もともとこの場所にあった古いクアハウスを取り壊して1907年に建てられました。その美しさは当時のドイツ皇帝ヴィルヘルム2世が「世界で最も美しいクアハウス」と賞したほど。

建物の中に入ると、目に飛び込んでくるのは見る者を圧倒するロビー。高さ21mドーム天井やモザイク画が上品な空間を演出し、まさに貴族の社交場と言った雰囲気です。館内はイベントやシンポジウムなどの会場として使用されるほか、カジノも入っていますよ。

ロビーをそのまま突き抜けるとクアパーク(Kurpark)に出ます。バラやもみじなど季節ごとに様々な表情を見せてくれる、まさに市民の憩いの場。日本とは雰囲気もまた違いますが、ヨーロッパの紅葉も素敵なんです。

公園内では湖を囲むように歩道が整備され、水辺で休んでいる鳥などを眺めながらゆっくり散策できます。たまに野生のウサギも見かけるので、皆さんも運が良ければ会えるかもしれません。

園内の一角にはローマ時代のものとみられる遺跡も残されています。

温泉が湧き出る泉

さきほどヴィースバーデンには14の源泉があると紹介しましたが、町の北には温泉が湧き出る面白い泉「コッホブルネン(Kochbrunnen)」があります。暑い温泉が湧き出ているので泉からは湯気が立ちあがり、特に寒い冬には湯気も沢山あがって神秘的な光景をつくりだします。。

すぐ近くのマンホールからも湯気がモクモク出ていて、辺り一帯はだいぶ硫黄臭いです。

すぐ近くのあずまやでは、蛇口から温泉水が。案内板によると、ミネラル分が高くて薬理作用がある一方、そのミネラルの多さゆえに日常的な飲用には向いていないとのこと。長期間続けて飲む場合は医師の管理のもと飲用するようにと警告していました。

とはいえほんの少し味見するくらいなら健康への害もなさそうなので、興味がある方は指にとって味を確かめてみてください。ただお湯はかなり熱いので、やけどには注意です。

水の重みで走る「ネロベルク鉄道」

町の郊外には水の重みで走る面白いケーブルカー「ネロベルク鉄道」があり、約450mの線路がネロベルク山頂駅と麓の駅を結んでいます。ネロベルク鉄道は山頂駅で車両に7000リットルもの水を注入し、その重みで降下。その時の力でもう片方の上り車両を山頂駅まで引っ張り上げるという仕組みで運行しています。

麓の駅に着いた車両は勢いよく水を放出。7000リットルもの水を放出するのですから、音もかなり大きいです。駅の近くまで来ていた私は、近くに滝でもあるのかと思ったほどです。

運よく車両の先頭部分に陣取ることができれば、運転士が作業している姿や対向車両が向かってくる様子をよく見ることができます。この場所は3人くらいしか入れないので早いもの勝ち。

ネロベルクの山頂は見晴らしの良い丘になっていて、ヴィースバーデンの街並みが一望できます。日陰でくつろいだり、周辺の森の中を散策する地元民の姿が沢山。

森の中を散策しているとやがて見えてくるのが、金色の屋根が輝くロシア教会。19世紀半ば、愛する妻エリザヴェータを出産で失ったナッサウ公アドルフが、彼女を偲んで建設させました。

森の中にぽつりと教会が立っている様子からしても、結婚後わずか1年で妻を亡くしたアドルフの悲しみがこの場所に染み付いているかのよう。ロシア教会ですが、ギリシャ教会として使用されていた過去もあります。

数々の聖人画やモザイクで彩られた内部は一見の価値ありです(撮影禁止)。

町の中心に立つマルクト教会

ネロベルクからもよく見えていたのが、1853~1862年にかけて建てられたマルクト教会。美しい赤レンガの教会は89mの塔を持ち、ヴィースバーデンで最も高い建物でとなります。

内部では全長50mもある身廊とネオゴシック様式ならではの高い天井が、広々とした空間を演出。ヴォールトと呼ばれるアーチ形の天井部分には、よく見るといくつもの小さな星が描かれています。

内陣には、キリストを中心に聖人像が並びます。大理石の像はどれも等身大なのだとか。

また教会のあるマルクト広場では年間を通じて様々なイベントが開催されます。中でも私のおすすめは8月に開催されるワイン祭り(Rheingauer Weinwoche)。周辺地域のワイナリーが参加し、出店数も100件以上の大規模なお祭りです。

お店によっては100mlから注文できるところもあるので、私みたいな「お酒は強くないけど色々試してみたい」なんて方には嬉しい限り。チーズ盛り合わせやフラムクーヘンなど食べ物系も充実しています。昼間から青空の下で飲むワインは「最高」ですよ。

ビーブリッヒ城

中心地から離れたライン川のほとりには、白とオレンジが眩いばかりのビーブリッヒ城が建っています。ライン川沿における最も重要なバロック建築でもある城は、ナッサウ・イトシュタイン公のゲオルグ・アウグストが建てた庭付きの小さな家を何度も拡張して現在の姿となりました。

1841年までナッサウ公の居城として使用されていた城は現在では州の管理下に置かれ、政府の祝賀イベントなどに使用されています。

城の目の前にはライン川が流れるほか、反対側は広大な公園になっていて散歩をしている地元の人が沢山。近くに住んでいた時は、暖かい季節にここでピクニックをしたりライン川沿いを散歩するのが、私のお気に入りの過ごし方でした。

ヴィースバーデンへのアクセス&市内交通

ヘッセン州の西、ライン川までもすぐそこという場所に位置するヴィースバーデン。

フランクフルトからはSバーン(S1、S8、S9)のほか、リューデスハイム方面へ行くローカル線(VIA)でも行けます。所要時間はSバーンで40~50分、VIAでは30分ちょっとです。

マインツまでは電車で10分しかかからないので、ヴィースバーデン観光で時間が余ったらこちらまで足をのばしてみるのも良いでしょう。

 

中央駅から町の中心までは徒歩で15分ほど。駅前から中心地へ向かうバスも多いので(4、14、45番など)、それらを利用しても良いと思います。

私のおすすめする観光コースは、まず駅前から1番のバスで終点のNerotalへ行き、ネロベルク鉄道に乗ったりした後で再び1番のバスで停留所「Kochbrunnen」へ。そこで温泉の噴水を見てからクアハウスやクアパークを散策し、マルクト広場へ出るという道順です。

おわりに

ヴィースバーデンは可愛らしい木組みの町並みとはまた異なる、上品な雰囲気に包まれた大人の町です。あちこちに公園があり、都会でありながら窮屈さを感じさせないのがこの町の良いところ。のんびり散策するにも、ショッピングなどを楽しむのにぴったりの場所です。

今回は紹介しませんでしたが、町が誇る温泉を体験したいという方は「カイザー・フリードリヒ・テルメ」などの温泉施設もぜひ利用してみてください。またはスパ付きの高級ホテルに宿泊するのもアリだと思います。

他にもフランクフルトから日帰りで行ける町は、「フランクフルトから日帰りで行けるおすすめの町」で紹介しています。ヴィースバーデンからライン川方面へ行きたいという方は、以下で紹介している記事も参考にしてみてください。

 

 

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