ドイツにおける重要な春のイベントがイースター(復活祭)。
十字架にかけられて亡くなったキリストが3日後に復活したことを祝う日で、ドイツをはじめとするキリスト教圏においてはクリスマスと並ぶ最大のイベントです。
イースターが近づいてくるとお店には可愛らしいウサギや卵が飾られ、町が一気に春らしい雰囲気になります。
今回はそんなドイツのイースターから、過ごし方やイースターならではの見どころ、旅行時の注意点を解説します。
イースターはいつ?
キリストの復活を祝うお祭りであるイースターは、ドイツ語では「オースターン(Ostern)」と呼びます。クリスマスのように毎年決まった日ではなく、「春分の日のあとにくる最初の満月の次の日曜日」に祝われる移動祝日です。
毎年だいたい3月中旬から4月中旬のどこかの日曜日がイースターに該当。
2020年のイースターは4月12日、2021年は4月4日。この時期は学校も2週間のイースター休暇になります。
ちなみに、「イースターまで46日間の断食期間が始まる前に、思い切り騒いで楽しもう!」というのがカーニバル。ドイツではライン川流域のマインツやケルンを中心に、大規模なパレードが開催されます。
ドイツでのイースターの過ごし方
ドイツにおけるイースターの過ごし方は、家族が集まって団らんする事からもクリスマスのそれに近いです。
私達がフランクフルト近郊に住んでいた時も、クリスマスとイースターが夫実家に帰る唯一の機会でした。
金曜日から月曜日まで4連休になり、復活祭にあたる日曜日には子供がエッグハントをしたり、皆でごちそうを食べたりします。
キリスト教の復活を祝うお祭りなのでミサに行く人もいますが、そこまで信心深くない人は「春を祝うお祭り」として捉えていることも多いです。
ドイツ北部では、高く積み上げた薪を燃やすことで悪霊を払ったり豊穣を願ったりもするのだとか。
復活祭はカーニバルが終わってから46日間続いた断食期間の終了でもあるので、この日のごちそうは特に豪華。断食といっても、甘いものやお酒、お肉などを控える程度なんですけどね。
私達の場合、夫の実家は無宗教なので断食はしませんが、それでもイースターの食事はかなりリッチです。復活祭に食べる伝統的な食事としては、ウサギやラム料理が定番。
このほか連休を利用して旅行する人もいます。
イースターエッグとイースターバニー
イースターに欠かせないのがイースターエッグとイースターバニー。
卵はキリストの復活を表し、ウサギは多産であることから豊穣のシンボルとなっています。イースターの日にウサギが卵を隠すと伝えられているため、家の中や庭に隠されたイースターエッグを子供が探す風習があるのです。
卵以外にもウサギや卵の形をしたチョコレートや、小さなプレゼントを隠すことも。卵を隠すのはウサギがほとんどですが、地域によってはニワトリやキツネだったりもするそうです。
イースターエッグはカラフルに絵付けされたものが沢山ありますが、中でもその美しさで知られているのが「ソルブのイースターエッグ(Sorbische Ostereier)」。
ソルブとはドイツ東部、チェコとの国境付近にあるラウジッツ地方に住む少数民族。可愛い民族衣装やソルブ語など、独自の文化を守り続けています。
「ろうけつ染め」といわれる手法で繊細な模様が描かれたイースターエッグはまさに芸術品。ザクセン州のバウツェンやブランデンブルク州のシュプレーヴァルトではイースターの時期にマルクトが開かれ、彼ら手作りのイースターエッグを購入することができます。
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イースターの泉
また南ドイツの各地で見られるのは、泉をイースターエッグで飾り付けた「イースターの泉(Osterbrunnen)」。
フランケン地方に起源をもつ風習で、1900年頃から始まったと伝えられています。この地方で水不足がよく起こったことから泉の汚れを落として飾りつけをすることで水の大切さを表しているのだそう。
写真の泉はローテンブルクで撮影したもの。
シュトゥットガルトから車で1時間ほどの場所にあるシェヒンゲン(Schechingen)という町には、南西ドイツで最も有名なイースターの泉があります。
ダチョウやガチョウ、ウズラの卵など、大きさも様々な卵1万2000個が使われていて、間近でみるとかなりの迫力です。
卵にはそれぞれ手書きで絵が描かれています。
旅行時の注意
買い物はいつできる?
イースターの時期にドイツを旅行する方は、祝日に注意してください。先ほども触れたように復活祭前の金曜日と復活祭翌日の月曜日は祝日となるので、お店は閉まってしまいます。
中日となる土曜日は通常営業ですが、みんなが買い物に行くので特にスーパーは激混みです。
日・月と2日連続でお店が休みになるので旅行者には辛いかもしれません。お土産など、お買い物は計画的に行いましょう。
【お店が休み】金・日・月
デパートや雑貨屋さんには卵やウサギの形をした置物など可愛い雑貨が並ぶので、それらをお土産にするのもおすすめですよ!
天気にも注意
またこの時期、ドイツの天気はとっても気まぐれ。さっきまで晴れていたと思ったら急に雨が降り出すなんてこともあり、このように変わりやすい天気のことをドイツでは「4月の天気(アプリルヴェター)」と呼んだりします。
風が強いことも多いので、できれば風邪を通さない上着を用意できるといいですね。
旅行中の服装については「ドイツ旅行の服装 季節ごとの気をつけるべきポイント」で解説しているので、こちらも参考にしてみてください。
おわりに
家族で集まり、ご馳走を囲みながら団らんするのがドイツでのイースターの過ごし方。
この時期にドイツを旅行予定の方は、お店の営業時間に注意しましょう。イースター期間中は金、日、月曜日にお店が閉まってしまいます。
天気もコロコロ変わりやすいほか急に嵐になったりもするので、できれば風を通さない上着がおすすめです。
荷物に余裕があれば、イースターの雑貨をお土産に買っていくのもアリ。私も毎年少しづつ買い足して、こんな風に部屋に飾っています。
日本で購入できるオーナメントもあるので、興味のある方はお家で取り入れてみると楽しいですよ。ちょっと飾るだけでも部屋が一気に春の雰囲気になります。
日本人にとってはまだ馴染みのないイベントですが、ぜひ自宅でもイースターを楽しんでみてください。
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